: 三限目
『──三限目の時間になりました。ディベートの時間です。が、その前に、まずは先ほどの授業を受けた上での匿名参加者からのアドバイスタイムです。』
「ほう?聞こうじゃないか。午前の授業をまるまるーっと見ていたんだ、さぞかし有意義なご意見を頂けるのだろうなあ」
(こわ…)
『こわ…。』
(AIも同じこと思ったんだ?!)
『コホン。失礼しました。』
そんなわけで匿名参加者からアドバイスをもらえることになった。うう、どんなことを言われるんだろうか。俊輔は少しだけ胃が痛くなってきた。それでもしっかり聴くために背筋を伸ばす。
『マイクをオンに…え、しなくてもよい?では私からお伝えいたします。』
「はー?せめててめーの声で喋れや。腹立つわあ、マジで」
「海野くん、聞こえるよ…」
「聞こえるように言ってんだよ」
「『こわ…』」
「そこ、シンクロしてんじゃねえ!おらさくさくいけ、さくさく!」
海野少年は匿名参加者に対してかなり苛ついている。ぶっちゃけ普通に怖いんですけど。…怖いけど、海野くんって、怒っててもミステリアスな雰囲気無くならないなあ…と、場違いにも俊輔はそう思った。
『一、集中力がない。能力はリラックスした状態で行使できることがベスト。通常時と行使時の切り替えスイッチを作りなさい。』
「…たしかに。始めの頃は、切り替えができないと苦労するかもしんねえ」
「えっと、たとえばどんな…?」
「能力を使う前に深呼吸するとか、三秒数えて精神統一とか…が、多いな。これは自分で試行錯誤して最適を見つけた方が良いと思う」
「そうだね、色々試してみる、かな」
『ニ、想像力がない。雷の形や、どこにどう堕とすとか、具体性がない。想像力は力になる、己が能力をよく知り学び、励みなさい。』
「上からすぎんだろ、何様だてめー」
「え、えっと…要するに、きちんとイメージして力を使えってこと?」
「ああ、大体そんな感じ。慣れればイメージ通りに能力を使えるようになる、普通は」
『三、目標がない。知識や経験を積むために簡単な任務を受けて、早急に目標を作るべきでは。目標があれば前に進める、なければ……色々迷ってしまうから。』
「おい。任務とか無茶振りやめろ、初日だぞ」
「えっと、任務って?」
「…詳細はあとで教える」
『四、少し力みすぎ。その能力はもう貴方の体の一部なのだから、呼吸をするくらい自然に、気軽に。』
「一理ある」
「あ、はい」
『五、自信を持って。『雷の能力を使える自分』に、自信と誇りをもって。潜在能力は高そうだから自信を持つだけでだいぶ変わるはず。』
「百理ある」
「百理!?!」
「貴重な能力持ってんだから、上手く使えよ」
「そんなこと言われてもまだ全然わかんないことだらけなんですけど!」
「そのための授業だろ」
『───こんなところです。期待しています、新たな同志。任務で一緒になることがあれば、その時は宜しくお願いします。おやすみなさい。──授業終了』
『え、おやすみなさい?!あ、あの、ありがとうございました!』
「今のでてめーの正体がが誰かわかった。次会ったら文句ぶちかますから顔洗って待ってろよ」
こうして、怒涛のアドバイスタイムが終わった。少し話の内容が多くて疲れたが、絶対に将来のためになる話だと確信し、俊輔は一言一句漏らさずメモを取った。
『終了受諾。お疲れ様でした。匿名参加者のアドバイスは以上です。メモを取りますか?携帯端末に送りますか?』
「あ、もうメモしました」
「早いな。アナログ派なのか…」
「というか、まだ慣れてなくて…支給された携帯?の操作」
「使わなきゃ慣れねぇだろ、今度から使ってみ」
「そうしてみるかな」
『それではみなさん。予定していたディベートを始めます』




