未知なる授業 : 一限目
『おはよう御座います。受講者の方へ、この授業は初心者向けです。お間違いはありませんか?』
───海野少年が授業の開始を告げると、ホワイトボードのような白い黒板の縁が一瞬七色に光り、低い起動音とともに白抜きのネオンカラーに光り出した。次いで抑揚のない機械音声が流れ、それに合わせるように、黒板に文字が浮かぶ。
「間違いない。受講者は何人?」
『三人です』
「まあ、難易度Eなんて基礎中の基礎だ。俺らだ、け…」
『ここにいる二人と、オンラインで一人参加しています。』
(すごい、機械が…いや教室?が喋ってる)
まるで会話のように黒板の文字が消えては浮かぶ、機械音声に合わせて。地球の授業とはあまりにもかけ離れたその光景に、俊輔は思った。ここでは紙と筆でもなく、タブレット端末ですらないのか。
これが、ハイテクノロジー…?
「なんで佐原井以外が初心者用の授業を受けてんだよ。誰だ」
『情報の開示を要求……拒否。匿名での参加になります。』
「………わかった、このまま授業を開始。コースは難易度Eで一週間初心者基礎コース。佐原井 俊輔向けに」
『かしこまりました。海野 茂樹及び匿名者はアドバイザーとしての参加ということでよろしいですか?』
「匿名者さんとやらはそれでいい?」
『構わないとのことです。』
「クソやりづれえな……誰だよマジで。校内で会ったらどつくからなコラ」
『佐原井 俊輔の情報は確認済みです。』
「え?!は、はい!」
『そんなに緊張なさらないで。私はただの授業用AI、人類に危機をもたらしません。』
「は、あ」
ここにも、AIや機械はあるんだな…。
忽然としたような、漠然とたような、言葉にできない小さな焦燥感がちりっと胸の奥で燻った気がした。
『それでは授業を始めましょう。本日の授業内容はざっとこちらです。
『能力の扱い方について』
『能力を知るためのディベート』
『海野 茂樹との能力を扱うための実践』
『海野 茂樹との模擬試験。匿名者からのアドバイス』
座学二時間、実践二時間となっております。途中休憩を何度か挟みます。筆記用具とノートの準備を推奨します。必要であればメモってください。』
「は、はい!というかやっぱ紙使うんだ?!」
『端末にメモとかでも構いませんよ、お好きな方法を。』
「俺はサポートだからいいや」




