未知を知る人
(まだ一息すらつけてないんですが!展開が早すぎる!)
がっくりと項垂れる俊輔を無視して、華麗に椅子に腰をかけながら保健医はお構いなしに続ける。
「ワタシ達が使える能力には、区分というものがあるの」
「は、はい」
そういえば注射された時にそんなことを言っていたような気がする。あの時は余裕がなくて聞き流してしまった。俊輔はカップを持ったまま、しっかり保健医に向き合う。今後の自分にとって、大事な話だと思ったから。
「まあ簡単に言うとカテゴライズね。『そのひとが一度に使うことができるできる能力の数を表したもの』のこと。能力区分とも呼ぶこともある」
「能力区分…」
保健医は頷いて続ける。
「大きく分けて三種類の区分があるのよ。
一つの能力を最大限使用できる『カースドワン』
二つの能力を使用できる『トゥーフェイス』あるいは『デュアル』
三つの能力を使用できるけどその分リスクを背負う『エンペラー』」
「はあ…」
「アナタはトゥーフェイスに該当すると数値が示したから、さっき判明した『雷』と『砂』の能力を同時に使えるってこと」
「………」
───二つの能力を使える、トゥーフェイス。俺はそれに当てはまるらしい。そうだよな。一時的とはいえ、あんな力が使えたんだ、そりゃ人間じゃないよな。人間じゃない……。
心の中で、小さな虚無感が芽生えたのを感じた。保健医はまだ続ける。
「ここまでで何か質問はある?」
「…えっと、トゥーフェイスとデュアルの違い、ってなんですか」
「簡単なことよ。『トゥーフェイス』は二つの能力を均等な力で使用できる。『デュアル』は二つの能力に幅があるから、能力が偏っているのよ」
「?すみません、ちょっとよくわかりません。能力を二つまで使える、のは同じですよね?」
彼は混乱した。保健医は眉を寄せて何か考えるような仕草をすると、
「そうねえ、例えるなら…」
「例えるなら?」
「ん!やっぱなし、ワタシこういう説明向いてないのよね。そこにいる湖礼くんにでも聞いて!はい起立起立!」
「ええ?!いきなり?!ちょ」
「何か気分悪くなったりしたらすぐきてね、転校生くん!じゃ!」
こうして、俊輔は意味もわからないままフリーダムな保健医に部屋を追い出されたのであった。
「……ワタシなんかより、これから戦友になる子から聞いたほうが良いはずよ……その方がきっと、あなたのためになるはず。佐原井くん、神なんてとっくに信じてないけど、どうか、」
───どうか、新しい同胞が、あの子たちが、無事に生きられますように。




