第28話 遺失兵器
『それを聞くってことは、相当歴史を学んでいるか、ただのアホか。
まあ質問に答えるなら、それは実在したし、現役時代と200年前に使った、としか言えないな。現存する技術がどれほどのものかが分からないから、現時点で生産可能かどうかは答えられない』
「……回答ありがとうございます。ちなみに、技術的な質問には答えられますか?」
『答えられるけど500万だと桁が8つぐらい足りないな。』
「8つ!?」
パルマーさんがメイさんからの質問に答えるけど、1000年以上前のものが作れないということに驚きだよ!あと、そんな兵器を使ったからパルマーさんは魔王と呼ばれるようになったんだと納得をする。1000万人が一瞬で死ぬ兵器って言ってたけど……ちょっと現実味が無さ過ぎて想像出来ないや。
『実際に一瞬で1000万人が死んだわけじゃないしな。何回かに分けて使って、その合計が2000万人だ』
(あれ、何か数が増えたような……?
とりあえず今は、その兵器は無いって認識で良いの?)
『あったらパル教徒が使っているだろ。それより契約を受ける方向で話を進めろ。全員フレイ待ちの状態だぞ』
(え?そうなの?)
「メイさん、契約書は読んだし、私はこの話を受けるけどメイさん側はこの条件で良いの?」
「ええ、もちろん。義勇軍を支援し、黒衣賊の脅威から民を守っていることを宣伝すればこちら側にも益はありますし、何よりも取引先がこれ以上潰れるのはこちらも困るので」
「取引先?」
「先日黒衣賊によって陥落させられたディスモアには、メリエス商会の者もいましたし、その街の住民は全員が顧客です。それが一夜で消え去ったのですから脅威ですよ」
イマイチ商人のメイさんが、私達を支援する理由が分からなかったけど、短期的には黒衣賊の脅威を減らしたかったで合っているのかな?
……これから先のことなんて分からないけど、とりあえずは義勇軍を大きくしよう。義勇軍がたくさんいたら、ディスモアを襲った時のような黒衣賊を、跳ね返すことも出来ると思うし。
「これから先は、王都で義勇軍に参加する人を集める予定ですか?」
「違うよ。ダンジョンに行って、隊員を鍛えるんだ。
みんな、ディスモアから逃げた人達ばかりだし、少しでも強くならないと」
「ダンジョン、となるとメルヴィルですか。……私達も同行しましょう。元々王都に行く予定でしたが、メルヴィルは王都からすぐですし、護衛の方はお願いしますね」
「うん、任せておいて」
話が纏まって、今日はこの地で野営することになったので、馬車から降りて私とオラージュちゃんの天幕に入る。……今義勇軍に所属している人達のほとんどは、20人ぐらい入れる大きな天幕を使っているけど、この天幕は私とオラージュちゃん専用です。元々は、オラージュちゃんの私物だけど……。
「……さっきの話って、遺失兵器よね?」
『遺失したかどうかが分からんから何とも言えん。
ただ一つ言えるのはディスモアぐらいの街並みが2時間で8つ地図から消えたな』
「え、消えたってどういう意味?」
『文字通り消えたぞ。人も、建物も、他の動植物や城壁も、一瞬で塵になった。
一応、作った張本人として責任は感じているから全部回収してぶっ放したぞ。200年前に』
「……話はある程度繋がったわ。ありがとう」
「え?何が繋がったの?」
その天幕の中で、途中から黙っていたオラージュちゃんがパルマーさんに質問していたけど、そのたくさん人を殺した兵器は遺失兵器っていう名前なのかな?パルマーさんは全部処分したらしいけど、残っていたら危ない?
『残ってねーよ。似たようなのは残ってるかもしれんが』
「あ、そうなんだ。
……結局メイさんって、パルマーさんがいるから私と契約してくれたんだよね?」
「そりゃそうよ。今のフレイの価値って9割9分がパルマーによるものなのよ?」
「うっ、そんなズケズケと言わないでよ……」
『俺の1分もあったら十分だろうが。仮にも俺は一応大陸を統一した王だぞ?一応』
「み、味方がいない……」
今日もちょっとだけパルマーさんの昔話を聞いて、眠りに着く。ダンジョンのあるメルヴィルに到着したのは、メイさんと出会ってから2日が経った夕方頃だった。
「着いたー!凄い人の数!」
「本当に、いつ来ても騒がしい街ね。……傭兵団も多いし、フレイは隊員の管理をするのよ?」
「うん。
とりあえず、安い宿を纏めて借上げないとね。……到着して早々だけど、明日からダンジョンでお金を稼がないと経営は不味いかも」
「いっそのこと、宿を建てたら?結構大工上がりの隊員が多いわよ?」
とても大きい城塞があるし、中央部は区画が綺麗に整理されている。その中央部にあるのが、ダンジョンへの入り口で、南にある別大陸とも繋がっているから商人の行き来も多い。そりゃ、人が賑わうわけだよ。
メリエス商会の店も結構あるから、買い物では困らないかな。班は移動中に決めていったから、明日からはその班毎にダンジョンに行ってもらって、訓練して貰おう。




