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第26話 投資

「ではあらためまして。レイナール王国の三大商会の1つ、メリエス商会のメイ・メリエスです」

「えっと、ディスモア義勇軍隊長のフレイです」

「……ディスモア義勇軍副隊長、オラージュよ。本当、よく気付いたわね」

「オラージュ様が隊長であれば、必ず交渉が先のはずですから、フレイ様こそが隊長だと分かりましたわ」


メイさんと対面して、お茶を啜るとメイさんが自己紹介してくる。そういえば、自己紹介がまだだった。さっきまでの態度とは打って変わって丁寧な対応は、なんか凄く不審だよ!


「ところでフレイ様は、冒険者でしょうか?もしそうであるなら、ランクは幾つほどで?」

「まだ冒険者にはなり立てで、10等級冒険者です……」

「……ふむ。

オラージュ様はフレイ様とどういう関係で?」

「答える義理はないわね。その情報が欲しいならお金を払いなさい」

「え?そんなの隠すひふむー!」

『フレイはちょっと喋るな。大きい商会に睨まれると後々活動が面倒になるんだよ』


パルマーさんに口を塞がれたけど、その様子を不審そうに見つめて来るメイさん。というかオラージュちゃんが私の下にいることに疑問を持って、私のことを探りに来たんのかな?もしそうなら、頭良いと思う。


『商会の偉い立場にいる奴の頭が悪いとか無いし、フレイより頭の悪い人間はそうはいないと思うぞ』

(うー!いい加減にしないと私泣くよ!?)

「やはり、霊ですか?」

『!?』

(え!?パルマーさんが見えてるの!?メイさんも凄い人!?)

『いや、見えていたらお茶をもう一つ出すとか粋な真似をしそうな奴だから見えているわけではないな。一旦帰りかけたわけだし、確信を持っているわけじゃない』


パルマーさんが、見えているかのような発言をするメイさんだけど、パルマーさんは見えていないと判断しているから見えてはいないんだと思う。私の後ろでプカプカ浮いている存在だし、見えていたら初対面の時に突っ込まれてそう。オラージュさんは絶句してるし、じゃあ、誤魔化す方が良いのかな?


「れ、霊なんているわけないよー」

「……200年前の崩落の日より、霊の存在を示唆する文章が世界各地で発見されています。

何よりそこにいるオラージュ様が、よく霊の存在を肯定していますよ?」

「崩落の日?」

「ダンジョンの最下層が丸々崩れ落ちて埋まったとされる日のことよ。そのことを信じている人は少ないけどね」


霊なんていないと言ったら、メイさんは霊を信じる人のようで通じなかった。それよりも気になるワードが出て来たけど、崩落の日?200年前ならパルマーさんとか知ってないかな?


(パルマーさんって崩落の日は知ってる?)

『さー?オラージュに聞けば?』

「え、何でダンジョンの最下層が埋まったの?」

「……フレイの守護霊に聞いたら早いんじゃない?」

「パルマーさんもオラージュちゃんに聞けって」

「あ、馬鹿!」

「ふむ。パルマーさん、ですか。奇遇ですね。私がよく調べていた人物の名前と一致します」


パルマーさんに聞いたらオラージュちゃんに聞けと言われて、オラージュちゃんに聞いたらパルマーさんに聞けと言われる。……知識不足なことは理解しているけど、もうちょっと教えてくれても良いじゃん。そしてメイさんが1人で納得しているけど、パルマーさんって知ってる人は知ってるんだ。私は出会うまで、名前すら知らなかったのに。


『無知が過ぎる。もう一回学習装置付けるか?』

(下手したら死ぬようなことしたくないよ!……大体、どれぐらいの割合であれって死ぬの?)

『生き残ったのは7人中4人だな』

(半分ぐらい死んでる!?)

「フレイ様の率いる義勇軍に、まだスポンサーは居ませんわね?」

「す、すぽんさー?」

「……本気なの?」

「ええ、本気です。恐らく、オラージュ様と同じぐらいには本気だと思います」


メイさんはしばらく考え込んだ後、私達のすぽんさーになると言い出した。すぽんさーって何かパルマーさんに聞いたら、ため息を吐きながら「お金を出してくれる存在だ」と言われた。それを聞いて喜んだら、パルマーさんから追加で「当然、対価は要求される」と言われる。な、何を要求されるんだろう?


「それは決まってます。これから武器や防具、兵糧を購入する際は必ずメリエス商会をご利用下さい。後は土地持ちの領主になられた際、メリエス商会のための土地を確保して下されば、それだけで定期的な献金と武器や防具、兵糧の割引をさせていただきます」


少し要求には身構えたけど、メリットが多い割には要求が少ない?とりあえずここで了承したら、武器や防具、兵糧には困らなさそうだし、受けるべき話なのかな?


『ちょっとは自分で考えろ。

でもまあ、契約書を見る限り受けても大損はしないな』

(それって損はするってこと!?)

『長期的に見ればな。とりあえず契約の見直しを10年毎から1年毎に変えるよう提案していけ。短期的に見ればこちらが得をする条件だ』

(う、商会のお嬢様相手に商談をするのもそりゃ私の役目だよね……。ちゃんと交渉出来るかな)


パルマーさんもオラージュさんも、難しい顔をしている。長期的に見たら……まず長期的に見たらどこで損をするのかも分からないや。でも、短期的に見ればお得な話なのは分かる。だってまず、武器と防具と兵糧を400人分提供するって書いてあるしね。これは、どうするのが正解なのかな?


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― 新着の感想 ―
[一言] 主人公が現代人並の13歳なのでパルマーというチートあってもすごい苦労してますね。
[一言] まぁ女子中学生で教養も無いってのならフレイはまだマシな方ですよね、学校にも通ってない、知り合いは貧農ばかりってのなら、言ってみれば未開の部族レベルでしょうからねぇ。 知識は有っても情報や取…
[良い点] 今話もありがとうございます! [気になる点] ……えっと、一癖も二癖も有りそうなメリエス商会のご令嬢のファーストネームは、正式には『メイ』で確定? 『メア』は通称? 偽名? それとも地方に…
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