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第23話 練兵

王都方面に更に移動する元ディスモア市民達を見送った後、城塞都市クラウスで更に人を集った結果、402人になった私が率いる義勇軍は今後の方針についてパルマーさんとオラージュさんに相談する。


「……このまま王国軍について行って、戦場で戦って良いのかな?」

「何よ、そのために義勇軍を立ち上げたんじゃないの?」

「そうだけど、みんなが少しでも強くなってからの方が良いんじゃないかなって」

「そんな短期間で強くなるのは無理ね。私だって5歳の時からずっと魔物を狩って、盗賊団の討伐依頼を何回も受けたから強くなったわけだし……冒険者になってまだ1週間も経ってないのに殿を務めたフレイが例外過ぎるわよ」


少しでも、全員が強くなったら犠牲は少なくなる。私自身、とても弱いことは自覚しているから、それこそ流れ矢で死んでしまうかもしれない。王国軍はたくさんいたし、彼らについて行くよりも、小規模で活動している黒衣賊を討伐して回る方が救える人は多くなるんじゃないかな?


『雑魚狩りして練兵するのは調子に乗る奴が出て来て困ることになるぞ。それならダンジョン行った方がマシというか、練兵するならダンジョンが一番だろうな』

「雑魚狩り?って、そっか。ダンジョンが近いんだ」

「……ダンジョンのことは知っているのね。アーティファクト狙い?」

『それもあるし、純粋に今のダンジョンがどうなっているのか気になるわ』


パルマーさんからはダンジョンに行った方が良いと言われるけど、王都の南東にあるから少し移動しないといけない。それにダンジョンで練兵って、死亡率がとても高いのに賛同なんか出来ないよ。


『でもアーティファクトを掘ることが出来たら資金繰りは一気に楽になる。どうせ王都の東側でもいずれ黒衣賊がポップする流れになるだろうし、東側で知名度を上げた方が活動は楽だ』

「パルマーの言ってる言葉が時々理解できなくなるけど、1000年前の言葉なのかしら?

というか400人全員でダンジョンに突入するわけじゃないわよね?そうなると義勇軍に所属する旨味がなくなって、人が出て行く流れになると思うんだけど」

『どうせこんな集団に属そうと思う奴に大した奴はいないぞ。オラージュ班以外に戦える奴は最高でも7等級冒険者だしな』

「げっ、思っていたよりも泥船ね。ま、私もダンジョンでお金を稼ぐ案は賛成よ。これだけの人がいるなら、低層でも収支は良いんじゃないかしら」


でもオラージュちゃんやパルマーさんはダンジョンでのお金稼ぎに前向きだ。……そういえば、何でオラージュちゃんは私の義勇軍に入ってくれたんだろう?


(ねえ、何でオラージュちゃんは私の義勇軍に入ってくれたのかパルマーさんは分かる?)

『あ?

俺が副隊長の座で釣った。だから義勇軍の隊長はフレイで副隊長はオラージュだぞ。ちゃんと義勇軍の稼いだ金の1割はオラージュに渡せよ』

(え、何それオラージュちゃんに400人で稼いだお金の1割を渡すの!?)

『当たり前だろうが。オラージュがいるからオラージュ含めて9人も高ランク冒険者が義勇軍入ったんだし、権利も金も一部を譲渡するのは当然だ。あ、オラージュ派に金銭を渡し過ぎたら他からの反発を食らうし、オラージュに多額の金を流さなかったら反発される恐れがあるから派閥コントロールはしっかりやれよ?』

(そ、組織のトップってみんなそんなことしてるの?というかオラージュちゃん強欲!)


パルマーさんに尋ねてみると、パルマーさんが誘ったという事実が発覚。私のあずかり知らない場所でどんどん話が進むのって凄く怖いし、コントロールなんて出来ないと思う。うぅ、こんな時にネーヴェちゃんが居てくれたら頭良いから助かるのに……。


「うぅ、ネーヴェちゃんはどこに行ったんだろ?こういう時、居てくれたら頼りになるのに」

『黒衣賊に対する義勇軍を立ち上げたのに黒衣賊の幹部かスポンサーに頼るのは草』

「あれ、そのことフレイに言っても良いの?というかネーヴェは普通に黒衣賊の幹部だったわよ?それも結構偉そうな立場だったし……」

「……???」

『あ、フレイの奴機能停止しやがった』

「言ってなかったのね……」


ネーヴェちゃんが居てくれたら、と呟いたらネーヴェちゃんが黒衣賊の幹部だったということを聞かされる。……流石に嘘だよね?だってもしそうなら、ネーヴェちゃんは自分で自分の村を滅ぼしたことになるじゃん。


ネーヴェちゃんのおじさんやおばさんも黒衣賊に襲われて死んじゃったことは聞いたし、私のお母さんだって……。


「あんまり質の悪い冗談ばかり言ってると怒るよ!」

『おー、すげー。無知って素晴らしいな』

「……パルマーって、本当にジュディットとウージニーに憑りついてたの?それで、この現実を見ない子がジュディットやウージニーに並ぶかもしれないって、本当なの?」

『俺の直感は7割当たる』

「災厄の魔王名乗るなら10割当てなさい」

『それ他称だからな?今は住所不定無職だし』


あ、ダメだ。お母さんのことを思い出したらまた目に涙が溜まって来る。村にいた人の、ほとんどが黒衣賊に殺されたことはネーヴェちゃんが言っていた。


……じゃあ、何でネーヴェちゃんだけ逃げ切れたんだろう?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >「災厄の魔王名乗るなら10割当てなさい」 >『それ他称だからな?今は住所不定無職だし』 ここで危うく昼飯のおむすび吹きそうになったwww ……茫然自失…
[一言] 3人に取り憑いて何れも有名になって今4人目 成功率7割だとそろそろハズレることになりそうだがいけるのかw
[一言] >……じゃあ、何でネーヴェちゃんだけ逃げ切れたんだろう? やっと脳みそが仕事し始めたか?
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