第17話 小隊
冒険者ギルドの緊急招集があり、冒険者達が集まった後、10人組を作るようにと受付の人が説明をする。10人の小隊を作って、その中でリーダーを決めて、リーダーが全員の冒険者カードを集めて冒険者ギルドの方に提出するみたい。これで、参戦しているか否かを確認するのかな。
『ほー、10人の小隊を10個集めた100人規模の中隊。100人の中隊を10個集めた1000人規模大隊が軍の基本単位か。ディスモア防衛軍の指揮官になれるピアネリって一応大隊長格なんだな』
(警備隊の隊長って凄いんだよ!?凄く強くて、賢い人しかなれないってお母さんが言ってた)
『小隊の隊長が冒険者に任されることを考えると、圧倒的に下士官が足りてないな。にしても10人組を組めって……』
「あ、私は別の組に入るからフレイは生き残ることだけ考えなさいよ」
「えぇ!?何で!?」
「戦争はお遊びじゃないのよ?あんた達の実力はもう分かっているし、足手纏いと組むとあっさり死ぬわ。元々、戦争時に組む相手は決めているしね」
オラージュちゃんとネーヴェちゃんと私で3人だから、あと7人と考えていたらオラージュちゃんは他の人と組むと言って何処かへ行ってしまった。うう、4等級冒険者だし、他にも色々と知り合いはいそうだし、強い人がわざわざ弱い人と組む理由なんて無いよね……。
しょうがないから、ネーヴェちゃんと2人でどこか入れそうな組を探そうと思ったらネーヴェちゃんもいない。嘘、ネーヴェちゃんにも見捨てられたの!?
『いやネーヴェは……伝えない方が良いか。
それよりも、組んでくれそうなご一行が現れたぞ。臭いからって道が出来るのは草』
「おや、フレイ殿ではありませんか。よろしければ一緒に戦場に向かいませんか?」
「フレイちゃん!おら達と組まねえか」
「丁度良かった。あと1枠余ってたんだ。他に当てがないなら入ってくれないか?」
「マクベさん!ジルさん!
それに、ジラトさんも!」
キョロキョロ周囲を見渡しても、オラージュちゃんもネーヴェちゃんもいないし、どうしようもなくなって1人で落ち込んでいると、突如として人の海が割れる。そこには路地裏で知り合ったばかりの人達が小隊を組んでいて、枠が余っていたので参加させてもらった。命を預ける人達になるし、どうせなら知ってる人が良いよね。
この中で格上の9等級冒険者なのは、マクベさんとジラトさんの2人だけかな?マクベさんはお金を返す時に自己紹介だけしたけど、ジラトさんとパーティーを組んでいた元8等級冒険者の人で、ジラトさんと一緒に降格処分を受けたみたい。8等級冒険者だけでパーティーを組んだら、一応7等級までの依頼を受けることが出来るけど、それで失敗したのかな?
9等級冒険者と10等級冒険者しかいないから、たぶん最弱の小隊だけど……小隊の平均ランクが低いほど後方に回されるみたいだし、むしろ一番良い選択だったんじゃないかな。そしてリーダーは、私になったからみんなの冒険者カードを集めて受付の人に提出。所属は第4中隊になったと告げられた。第2中隊の後ろって言われたから、もしかしたら出番がないかもしれない。
『んなわけねーだろ。この規模の盗賊ならディスモアの戦力ぐらい調べてから仕掛けて来る。向こうに勝算がある以上、気楽に構えられるわけねえ』
(だよね……。第1中隊にオラージュちゃんの名前があったから、第1中隊が主戦力なのかな?)
『戦力を均一にする方が馬鹿らしいから、たぶんそうだろうな。お、来たぞ』
(え、何が、嘘!?)
パルマーさんが来たぞと言った瞬間、西の地区で爆発音が聞こえた。その方向を見ると、爆発物が西の城壁を超えて投げ込まれているみたいで、家が吹き飛んでる。悲鳴があちこちで聞こえて来るし、第1中隊から移動を始める。警備隊の人達も城壁の外で戦っているはずだけど、それでも爆発物が投げ込まれるってことは……。
『圧倒的に警備隊の数が足りてないな。城壁の上の守備兵達にも限度がある。こりゃ侵入されるぞ』
(そうならないようにするため、集められたんでしょ!)
「幸い、敵は黒衣という分かり易い共通項がある!者共行くぞおおお!」
「ディスモア冒険者第4中隊所属フレイ班、行くよー!」
『あの中隊長、警備隊の宿舎で見たな』
(ピアネリさんに怒鳴られてた人だ)
第1中隊、第2中隊と西側の城門の外に打って出たのに対し、第3中隊は城壁の上へ登る。そして第4中隊は、第2中隊が出た後に城門を閉めて、開かないようにするのがお仕事。中隊長さんは突撃したがっていたけど、冒険者ギルドの中で低ランクが集まった第4中隊はそもそも戦闘が出来ない人も多い。
城壁の外からは、魔法同士が衝突する音や、破裂音が聞こえる。第4中隊にネーヴェちゃんがいないから、もしかしたら城門の外で戦っているのかもしれない。第1中隊の主戦力のオラージュちゃんは先陣を切っていたし……戦争なんて嫌だけど、こうして守られるためにただ待つだけなのはもっと嫌かも。




