第十一話「反芻する輪廻は終わりを告げる」
死に戻って、帰ってきた部屋で物思いに沈む俺は奴を思い起こしていた。
「死に戻り体質…か、嫌だな…」
そのつぶやきは広い空間を漂う。窓の方へ飛んでいったかと思うとそのまま部屋を一周して鼓膜に戻ってきた。
この部屋は静謐としていて、変化はない。
掠れた唇を動かした。
「死ななくても、死の痛みは感じる…それに、ユイも生きていたから、外に出る必要がない。」
蛍光灯は頭上で不安げに揺れていた。
窓の外には灰色の都市街が見える。まるでハリボテのように外は変化がない。
黙々と黒煙が立ち上るだけで、変化はない。
この部屋は俺の魂を縛る狭い牢獄。
けれど、ここは安全…それならやはり、ここを出て行く必要はない…
広く暗い部屋の隅で俺は息を吐いた。
一抹の希望と不安が乱れ漂った部屋の中。
割れた液晶テレビも、埃を被った紺色の座椅子も特に変化はない。
残骸として時の流れに堆積していた。
…殺されるのはごめんだ…だから俺はこの部屋で眠り続けたい…
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刹那の慟哭、背中を声が突き刺した。
「死んだふりをしろ。」
俺は、声の主を見出そうと振り向く。
白い純白の装束に、エメラルドの輝きを放つ瞳。緩やかなカーブをかけた輝く髪。
彼から銀杏の香りが漂う。
「銀杏の王子様…」
背中に背負った鋭利な両刃の剣は、彼が断罪者であることを示していた。
「なんで…死んだふりを…」
彼は威圧感のある視線で俺を黙らせる。その大きな両刃剣がそばに置いてあった液晶テレビを目標に入れた。
彼が空を飲み込む大きな軌道で剣を振りかざす。元から割れていた液晶テレビはさらに砕け落ちる。
液晶の破片は床に落ちた。
「なぁ…ユイに会いたいか。」
心臓の鼓動はこれ以上ないほどに高鳴っていた。
目の前まで近づいた奴の顔は、鋭い視線で俺の目を焼き焦がす。
「会えるなら…会いたい…」
答えを聞き取った彼は微笑みながら俺を見つめる。
俺に裏切り者と揶揄され、銀杏の王子様と呼ばれた彼は、優しい笑顔で口を開いた。
「自己紹介が遅れた。俺は君の父親の戦友であり盟友のアラン・ドラグニルだ。君を永遠に続く輪廻から救いにきた。」




