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「んまぁっ! 伯爵位ですって!?」
お仕事から帰ってきたお兄様の話を、家族揃ってソファでお茶を飲みながら聞いていたんだけど、お兄様から陞爵のことを聞いてお母様は卒倒しそうになっていた。
どうやら、お兄様は討伐隊副隊長を務めた功績を認められて、伯爵になるらしい。お兄様、というか我が家が、だけど。
おまけに、ルーク様も同じ伯爵になるらしい。
平民になって、慎ましやかに暮らそうと思っていたのに……。なんでだろう。
今日は教会ではなく、家で子爵家の執務をしていたお父様も執務室から出てきて、お兄様の話を聞いている。
お父様もさすがに我が家が伯爵位を賜ると聞いて、びっくりしていた。
「おい、別にオリバーがこれからもずっと王宮勤めなのは構わないが、領地が今のままだと伯爵位の税金を払うと資金的に厳しくなるぞ」
「いや、父上。構ってくださいよ。オレはもう王宮になんざ勤めたくなかったのに……。税金は子爵位のままでいいそうです。オレを国政に参加させたいだけの陞爵なので。ゆくゆくは国営事業の譲渡をしてもらう約束も取り付けました。オレが王宮からいなくなったら税金が上がるだろうから、その後のことも考えて約束させましたよ。だが、オレが王宮で働く給金は、しっかり伯爵位のものをもらいますがねっ!」
お兄様は不貞腐れてそう言った。
「それならいいのだが……。子爵家の仕事は、わたしが教会のボランティアを始めた時に、経営管理の補助を雇ったからね。まだしばらくはわたしが当主の仕事を引き続きやることはできるよ。オリバーが引き継いでも彼が居れば、王宮勤めをしながら伯爵家当主もできるだろう。要は慣れだが」
よかった。
お兄様が王宮勤めを続けても、ミラー家は大丈夫らしい。
安心してホッと息をつくと、お兄様がわたしの顔をチラリと覗き込んだ。
「それより、ニーナ。悪いがルーク様との結婚は少し延期になる」
「えっ、なんでですか!?」
「伯爵と伯爵令嬢の婚姻になるんだ。今予定している平民の結婚式と同じ規模の結婚式では、他の貴族に示しがつかん」
「ど、どれくらい延期に?」
「そうだな。デイヴィス侯爵とも相談しないといけないが、通常貴族の結婚は一年ほどかけて準備をする。ドレスの仕立てから、その後の社交の為に出席者を選定したり、またその出席を頼むために根回しをしたり」
い、いちねん……。
いや、一年なんてあっという間、たぶん、きっと!!
元気を出そうとしたけど、やっぱり楽しみにしていた結婚が少し遠くなってしまったことを考えるとちょっとだけ気分が沈んでしまう。
それがわかったのか、お父様とお母様がわたしを挟んで両隣に座り、そして両側からゆっくりとわたしを抱きしめてくれたのだった。。




