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遥か未来の果ての果て 〜神無月 叶多は長生きがしたい〜  作者: 嘘吹八百太郎


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2/3

遥か未来の果ての果てでB

『そして人類は滅亡しました……と』


『え?』

彼が戸惑ったプラズマの波形をしたのを見たのはいつ以来だろうか。

そしてそれは次に起こることが予測できたからだろうと言うのは間違いなかった。

そんな事を思いながら船内の様子を見ていると、イワナガと呼ばれていた彼女は、流れるように船に操作を加えた。

そして、その操作は連鎖して、本来発生しないはずの負荷を船体に与える。

未知の事態へ対応するのに既存のAIだけでは対応しきれないかもしれない、そんな曖昧な理由で最上位に設定された人間による操作受付装置は自動運転の最適化された動作を狂わせていく。

やがて、迦具夜は奇妙な形に曲がりくねって破裂した。大量の人類とともに。

『あー……』

彼はなんとも言えない、泣いてるとも笑っているともつかない波形をして呻いていた。

『お終いですね』

一先ず、ショックのあまり何secの間も長く止まったままの彼にメッセージを送る。

彼は私を見ながら波長を送る。

『こうなるってわかってた?』

『まあ、可能性は低くないなとしか』

そんなに非難するように私を観測されても困る、あくまで可能性があるのがわかっていただけなのだから。

『これで、貴方が定義する人類の歴史は完全に終わりました。一人たりとも残っていません、目的完遂おめでとうございます』

私はおめでとうのエフェクトを投げかけた。

『おめでとう……?、いや、確かに自分の目的は見届けることだったけど……』

『そう、最初の貴方が遥か昔に目指した場所です、貴方は見事に到達しました、おめでとうございます』

続けてパチパチと拍手のエフェクトを飛ばす。しつこいだろうか?

『……』

おっと、彼は納得できてない様子だ。

その姿はあくまで見えている範囲ではあるが、まるでタコが駄々をこねているようである。

(本物のかつて存在したタコに言わせるとひどく非難されそうだが)

私は仕方なく拍手のエフェクトを止めた。

『納得できませんか?』

『なんというか、あえて古典的に言うなら、すごく壮大な演劇を見ていて、どうなるかドキドキしていたら、出来の悪い機械仕掛けの神(デウスエクスマキナ)が出てきて「ハイ解決」なんてやられたような気分かな……』

気持ちはわかる気がする。

まさか、人類絶滅の最後の原因が「痴情のもつれ」だなんて目も当てられない。

『いや、だって、完全男女平等化による人類浄化問題や塩基配列パターン限界問題、果ては新人類分化による資源枯渇問題による数々の絶滅の危機にも対応して乗り越えてきた人類の終わりがこれで本当に納得できる?』

『かと言って、今更人類は生き返りませんし、今まで介入を抑えていた貴方が積極的に関わって、今なら手に入るかけらに手を加えて手間ひまかけて育てるにしても、果たしてそれを人類と呼んで良いのかなんて逆に悩みそうですけど』

『……』

彼が不満そうにしているのはわかる。でも、そう思われてもどうしようもないのも確かだ。

(でもそんな正論を伝えたところで彼は納得しないだろう……)仕方がないと私は切り替えた。

『範囲を変えませんか?』

『範囲?』

『貴方がこれは人類ではないと見放した存在ですよ』

『ああ……あれらのことか、でも見放したなんて人聞きの悪い、僕は神でも管理者でもなんでもないぞ』

『別に貴方の立ち位置なんてどうでもいいですよ、それともやはり嫌ですか?かつて貴方が言っていたように、「漱石や太宰が書いた世界も理解出来なくなってしまったものを人類とは認めない」なんて嘯くのは勝手ですけど』

また不満そうなタコ踊り。

『私は別にどちらでもいいですけどね、貴方の旅がここで終わろうとそうでなかろうと』

好きに決めてくれと私はエフェクトを送った。

彼はまだ迷っているようだ。

彼も私も源流は似たようなものだし、迷う理由もわからなくもないが……。

さてどうなるやら。

そう思いながら彼が悩んでいる姿を見ていると、私は遥か過去の、今に至る原因となった記憶を思い出してきた。

姿は似ても似つかないが、思い悩みもがく姿は面影があるような気もする。

少なくともタコに似ていなかったことは確かであるが。

今となっては不確かで小さな塵のような存在、果たしてあれを自分の過去と言っていいものか。

しかし自分たちの行動原理で大事な切っ掛けなのは確かである。


そうだ、あれは、たしか■暦2030年のことだったか―――。

私は……いや、私たちはたしかに人間だった。

あの頃私たちは学生、それもいわゆる中学生という教育を終えたばかりの頃だったはずだ。

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