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2126:日本連邦へようこそ!  作者: 日本連邦観光公司
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第7話 所沢④


「お茶になります。どうぞ~」

「ありがとうございます」


 アルファとは別の女性職員がお茶を出してくれた。

 正直、ずっとしゃべっていたからノドがカラカラ。

 できれば冷えたコーラ系の方がよかったかな。


「あ、もし別の飲み物とか欲しいならすぐ言ってくださいね。お茶以外でも大丈夫ですよ」

「はい、そうします」


 フレンドリーに接っしてくる女性職員は黒髪ショートヘア、肩にかからないぐらいの短かさ。

 アルファワンとは少し形の違うバイザーを付けているので、やはり目線や表情がわかりずらい。

 とても若く、歳が近い気がする。

 わたしへの配慮かもしれない。


「それからお花を摘みたくなったら言ってね。案内するから」

「そ、その時はよろしくお願いします」

「やだー、そんな他人行儀じゃなくていいよー。あ、そうだコレが終わったらフレンド登録しない。わたし外の世界についていろいろ――」

「ラムちゃ~ん。そういうのは事情聴取が終わった後にしてね。それからまず自分の名前を名乗るのがマナーよ」

 ラムちゃんと呼ばれた女性はてへっとワザとらしい仕草をしてからこちらを向いた。

「こほん。はじめまして私はラムダスリー(Λ3)と言います。本日はアルファワンの補佐をしています。よろしく、ね!」

 ラムダスリーだからラムちゃん。

 最初はコードネームか何かと思ったけど、もしかして違う?

 いや、それより挨拶には挨拶。

 マナーは大切。

「よろしくお願いいたします。わたしはミサキ・キリシマです」

「じゃあミサっち。私はラムちゃんでもラムっちでもいいよー」


 うん、とってもフレンドリーで軽い。

 これは警戒感を与えないための高度な――ああ、いや、アルファが頭抱えてるから素ね。

 挨拶がおわり。

 アルファがラムダに文句を――。

 と思ったらラムダが思い出したかのように逆にアルファに文句を言った。


「あ、そうだ。センパイ支援AIを切ってますよね。バイザーも外してるし、総務AI2課から苦情が来てますよ」

「苦情はこちらが入れる方よ。そうねあなたも聴取に立ち会いなさい。支援AIを入れてね」


 新しくラムダも加わり事情聴取を再開した。

 ただ、再開する前に一点だけ聞いておきたいことがあった。

 だって目の前に謎のベールに包まれた日本連邦の職員がいるのだから。

 本人たちに聞くのが手っ取り早い。


「あの~、ちなみに日本連邦は核融合炉を今も稼働しているのですか?」


 アルファとラムダがキョトンとした顔になる。

 そして、アルファが口を開く前にラムダが答えてくれた。


「もちろん核融合炉は連邦の主電力だからね。いまは――主9基、副9基、予備9基の“27基”体制でめっちゃ発電中だよ」

「あ、そんな感じなんですね。それだけ核融合炉があっても東京に電力を融通するのって難しいんですか?」

「ん~たしか連邦大総統府が電力が欲しかったら連絡くれってボール投げて放置中だったはずだよ。まあ東京は外交窓口ないから何考えてるのかよくわからないんだけどね」


 ちょっと衝撃。

 つまり東京の電力不足は立川政府の、あるいは東京人の面子の問題ってこと?

 いやありえる。

 面子が何よりも重要という文化圏から大勢が移民として来ているのだから、連邦から電力をもらわないという選択をしてもおかしくない。

 アルファワンがから質問がきた。


「一ついい。外の世界は核融合炉は動いてないの?」

「えっと、中国だけが国内に1000基以上つくって、数基動かしてる感じですね。残りは稼働に失敗してる感じです。その……いろいろ重なってどの国も作れなくなってるんですよ」

「え、いろいろって何? 教えて教えて、めっちゃ気になる!」

「ちょっと待って、えーっと――まず反AI運動でデータセンターとか電力需要が激減して、日本が鎖国してハイテク産業に必要なマザーマシンとか重要材料とか不足して、世界恐慌に陥って、それから核融合炉の継続的な稼働に必要な技術の再取得をアメリカが断念して、国連で中国の大量運用の方法を念頭に核融合炉建造と長期運用が深刻な環境破壊につながるという懸念から大規模運用の規制が議論されて――」

「なるほど。なかなか興味深い話だけど――」


 とつぜん、ラムダが声を荒げた。

 荒げたというより「あわわわわ!?」っと驚いて、バイザーを取り外したのだ。


「あーもう! なんなのこのAI達!!」

「さっきからそうよ。どうもミサキちゃんの話に興味津々みたい」

「え!? なんですと?」

「さっきからすごいよー。たぶんお仕事AI達の学習モデルが悪さしてるみたいね」

「ラムちゃん。わかったら総務AI2課経由で外交官AIを連れてきて、異文化コミュニケーションに最適なのをお願い。いまのAIは聴取に支障をきたすの」

「わかりましたーっと、そうだもう一つ重要な緊急アンケート調査がありました」

「緊急? 急ぎなら先に言いなさい」

「な、なんでしょうか?」

 ラムダがもう一度バイザーを付けてから、こちらを見る。

 ごくり。


「昼食は何がいい? こちらのメニューから決めてね!」


 プロジェクトマッピングによってテーブルにメニューが投影された。

 ハンバーガセット。

 スパゲッティ。

 ラーメン。

 カツ丼。

 いろいろあった。


 わたしは一気に緊張がほどけて脱力した。

 ものすっごいため息がでた。

「はぁ~~~~」

「あ、センパイ。食事はこちらでいいですか?」

「そうね。あまり移動が多くてもあれなのでこちらに持ってきて。別にこの件は取調規則に当てはまらないから」

「了解でーす」


 わたしは何も考えずにカツ丼にした。

 よくよく考えたら刑事ドラマの定番な気もするけど。

 とにかくがっつり食べたくなった。

 だって東京の料理はそこまでおいしくなかったから。

 比べたいと思うのが普通でしょ。

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