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2126:日本連邦へようこそ!  作者: 日本連邦観光公司
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第7話 所沢①

 西武南北線を北へ。

 この路線は西部拝島線、西武国分線、西部新宿線が統廃合してできた線路だという。

 立川から川越への直通路線が欲しいという需要に格安で答えるためだと言われている。

 その途中にある新多摩湖駅で下車した。


 所沢。

 関東平原の西部に独立したように存在する狭山。

 その麓に広がるのが所沢市。

 語源はトコロと呼ばれる毒芋が所沢南部に広がる狭山で豊富に採れたからだという。

 旧埼玉県所沢市は自然豊かな穴場スポットだった。

 アニメの聖地と言われることもあり日帰り可能なちょっとした旅行先として子連れ親子に人気だった。

 渓谷のダムによって作られた人工の湖、狭山湖と多摩湖は東京にとって重要な水源でもある。

 それは連邦が鎖国する前の話になる。


 今は違う。


「う~んちょっと眩しいかな?」


 自然豊かだった狭山丘陵はすべて開発されて、今はメガソーラー発電所になっていた。

 自然を守るために自然を切り崩すという100年前に流行ったクリーン事業の成果だ。

 ちょっと違和感を感じるが当事者じゃないのでよくわからない。

 とにかく西武南北線とそのメガソーラー発電所がいい感じに映えるところからデジカメで写真を撮ろうとしていた。

 逆光が少し気になったが、それでもいい画が撮れた気がした。


 あのメガソーラー発電所があった所はもともと自然豊かだったという。

 しかも”自然を大切に”というメッセージが込められたアニメの舞台だったらしい。

 皮肉にもその自然に優しいクリーンエネルギーのために自然がすべて失われてしまった。

 古い旅行雑誌によると狭山湖・多摩湖という人工の湖や、スポーツスタジアム、遊園地なんかがあったという。

 今どうなっているのかわからないが、知りたければ発電所の職員に聞くしかないだろう。


「それじゃあ行きますか」


 メガソーラー発電所近くまで来るとフェンスで囲まれていて、それ以上前に進むことができなかった。

 丘陵すべてがフェンスで覆われているようだ。

 なんとか入り口まで来たがフェンスは固く閉じられていた。

 仕方がない。


「ハロー! ハロー!」


 映画とかで無人の施設でハローハロー言うのってバカっぽく思っていた。

 そんなバカの仲間入りした気分だ。


「なんだ外人か。あ~えっと、ヘロ~」


 日本語だ。

 ものすごい日本語訛りの英語が昔日本人コミュニティーにいた老人たちを思い出す。


 英語なれしてないのか次に何を言うべきか迷っている感じだ。


「あ、日本語で大丈夫ですよ」

「うおっ!? なんだ日本人か?」

「日系アメリカ人です」


 何度もなくしたやり取りを今度は日本語でした。

 なんか新鮮だ。

 わたしは仕事で来ていること、メガソーラー発電所敷地内の観光地がどうなっているのか、そういうことが聞きたいので正式なアポイントメント、つまり連絡先を教えてもらえないかと尋ねた。

 ついでにエル・サンチョ氏の名前もだした。

 議員の名前が出たら急に顔色が変わって中へ入れてもらえた。

 いや連絡先だけ教えてもらえればいいのに、そう言っても「まあまあ、お客様を追い返すなんでとんでもない」、と言って聞き入れてくれなかった。

 ゴルフカートのようなEVカーに乗せてもらい、メガソーラー発電所の事務所まで向かった。

 事務員がエル・サンチョ氏の事務所に連絡して、私が言っていたことが本当だと分かると待遇がぐっと良くなった。

 具体的にコーヒー・紅茶・お茶、あるいはコーラでどれがいいかとか、茶菓子はどれがいいかとか、いろいろ聞かれた。

 取材の話になると、今のメガソーラー発電所内にかつてあったレジャー施設などは解体されて、すべて発電所になっていると言われた。

 そもそもかなり特殊な発電所だから観光地として不適切だとばつが悪そうに言われた。


「特殊で、不適切ですか?」

「ええ、そのなんて言いますか。まあ実際に見てもらった方がいいでしょう」


 席を立ちあがると同時に応対してくれた人に急な電話がきた。

 それで急遽代わりの人が案内することになった。


「アミン! すまないが代わりにお客さんを案内してくれ」

「え、オレ?」

「歳も近いしいいだろ。とりあえず湖まで歩きながら説明してくれ」

「はいはい。りょーかい」


 作業着を着た若者がこっちに来た。

 黒髪黒目で日焼けした浅黒い肌、歳はわたしと近い気がする。


「えっとミサキです」

「おう。オレはアミンっていうんだ。アジアの亜にあかるいの明な。よろしく」

「よろしくお願いします」

「それにしても観光ならここらについて調べてから来るもんじゃねーの?」

「う……急だったんで、それにここらへんで一番目立つところに興味もあって」

「ま、何でもいいけど。おやっさんが言ってたようにここは不適切だと思うぜ」

「……?」


 メガソーラーの近くまで行くと”不適切”の意味が分かった。

 太陽電池の真下に、古い墓が大量に置かれていたのだ。

 ここはメガソーラー発電所なんかではない。


 日本人の墓地、霊園だった。

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