前后の亡霊?
私は今、2人の姫さん達に東庭園のお誘いをしたけど何故か嫌がっている感じ。
この姫さん達が嫌がる理由って何だろう?
何があるのか聞きたいのは女心。隠されれば隠されるほど、絶対に聞きたい!
「あの、マリア様。エルミナ様。東庭園で何か御座いますの?」
「エッ!...いいえ。何も御座いませんわよ。ねえ、エルミナ様。」
「え、ええ。フローレンス様、何も御座いませんわ。」
「本当で御座いますか?わたくし、本当の事を仰っても構いませんのよ。いいえ!寧ろ教えて頂いたほうが嬉しいですわ。」
「... ...エルミナ様からお話し頂いたほうが...わたくしは、ちょっと...」
「エッ!わたくしですか... ...あの、フローレンス様。本当に、お話しをして宜しいのですか?」
「ええ。是非!お聞かせ下さいませ。」
「これは...これは、噂なのですが、フローレンス様が住まわれている東棟はこの国の前国王様のお后様がお住になられていたそうです。そのお后様が何故か、東庭園でお亡くりあそばしておられましたの。お后様が発見されたのは次の朝。そして... ...お后様の亡霊が出るという噂が広まったので御座います。でも、あくまで噂で御座いますから。」
「...前お后様の亡霊で御座いますか。でも、お后様と言えば数人の侍女様も一緒では御座いませんの?その侍女様達はどうなされていたのでしょう。お后様がお一人で東庭園に行かれるなんて、とても信じられませんわ。」
「ええ。本当に不思議な事なので御座います。側室様の陰謀だとか重臣の陰謀だとか色々な事が噂される中、前国王様が原因を突き止めるために後宮中が大変だったそうですわ。でも、何故お后様がお亡くなられていたのかが最後まで分からなかったそうで御座います。それ以来、お后様の亡霊が出ると。これが東庭園の噂ですわ。でも、あくまで噂で御座いますから。それに、今はあなた様は何事もなくお暮らしになられています。だから、大丈夫ですわ。そうですわね、マリア様。」
「ええ。噂で御座いますから気になさらないほうが宜しいかと思いますわ。フローレンス様。」
「... ...」
「まぁ、まぁフローレンス様!何か違う話しでも致しましょう!」
「そうですわ!フローレンス様。今まで如何お過ごしでしたの?わたくし達はあなた様のお姿をまったく拝見できませんでしたでしょう。わたくしとエルミナ様でご心配致しておりましたの。でも、今日はこのようにあなた様から南庭園に来て頂いてとても嬉しく思っておりますのよ。(ニッコリ)」
「有り難うございます。わたくしも、マリア様とエルミナ様に心配して頂いていたとは嬉しいですわ!わたくし、自分の国から出たことがないものですから。皆様のようには、なかなか慣れなくて悩んでおりましたの。(ニッコリ)」
「まぁ~!フローレンス様。わたくしだって同じで御座います。わたくしとマリア様はこの後宮で知り合いましたのよ。」
「そうなんですのよ。わたくしがカルロッティナ様に色々と言われましたの。その場をエルミナ様が見ておられて、色々と励まして頂きましたの。」
そうなんだ。あの時の事よね。私も見ていたわ。
でも、あの姫さんって凄かった!今でも覚えている。忘れられないよ。
「マリア様とエルミナ様って仲が宜しいのですね。」と私。
「ありがとう御座います。」
「フローレンス様。お時間は宜しいのですか?もう、外がオレンジ色ですわよ。」
オレンジ色?何、オレンジ色って。
アンはキョロキョロとまわりを見ている。...そうか、夕方の事か。
「お嬢様。もう、オレンジ色の空になりました。お部屋にお戻りになられませんと。」
「ええ。マリア様、エルミナ様。またこの庭園に来させて頂きますわ。わたくし、この庭園が好きになりましてよ。では、御機嫌よう。」
「ええ。フローレンス様、また何時でもお越し下さいませ。お待ち申し上げますわ。」
私は今日、この南庭園に来て良かった。
マリアさんとエルミナさんとの関係も分かったし。
だけど、東棟がねぇ~!それに東庭園に前后の亡霊だって!だから、誰も東には近寄らなかったのか。
納得よね。でも、この話しって先生は知っていたの?
まさか、知らないわよね。知らないから普通に暮らしていたんだもの。
だけど、面白いっていうのか何ていうのか馬鹿らしい話し。
私達が部屋に戻る途中、アンは怖がっている。
そりゃそうだわ。これから帰る部屋が亡霊が出る東棟だもんね。それに窓の外は東庭園があるし。
アンには、ムリはないか。
「お嬢様。さっきのお話は本当の事で御座いましょうか?前お后様の亡霊のお話しです。」
「アン。噂ですよ。そんな事はありません。今までだって、前お后様の亡霊など見なかったでしょう?部屋だって不思議な事が起きなかったでしょう。」
「...でも、お嬢様~...」
「もう!アンって怖がりなんですね。ホホホ・・・」
「お嬢様は怖くはないので御座いますか?」
「怖くはないわ。だって、前お后様の亡霊を見られた方がそのように仰ったの?それに、このような後宮ではよくある話しです。」
「でも...ルミエナ様はよく知っておられました。噂と言っても...本当の事ではありませんの?」
「アン。もう忘れなさい。」
「...でも、お嬢様~~」
だけど、部屋に帰ったらアンは自分の部屋でどうするんだろう?
多分、今晩は寝られないだろうな。
きっと、「お嬢様。眠られません。」と言って私の部屋に来るかも。
私は怖がるアンを勇気付けて部屋まで帰ってきた。
部屋のドアを開けると、先生の怖い顔。
「フローレンス様!遅いお帰りですね。それに、アンも一緒にいながら!」
「ごめんなさい、先生。アンを叱らないで。わたくしが悪いのです。アンを誘って南庭園まで行っていたのですから。」
「南庭園までですか。...フローレンス様、南庭園で何をされていたのです。」
「...わたくしもお友達が欲しくて...でも、南庭園でお友達は2人も出来ましたのよ!それから、皆様とお話しをして。だから時間が遅くなってしまいました。申し訳御座いません。先生」
「もう、宜しいです。以後、気をつけて下さいませ。フローレンス様。アンもです。あなたが付いていながら。」
「申し訳御座いません。セスチャ様。」
「...先生。今日、聞いたのですがこの東棟と東庭園の噂ですが先生はご存知ですか?」
「東棟と東庭園の噂ですか?知りません。それが何か?」
「この棟に前后様の亡霊が出ると聞きましたの。もしかしたら先生はご存知なのかと思ったものですから。」
「何を馬鹿馬鹿しい!そのような事があるなんて聞いていません。それに噂でしょう。フローレンス様はその噂を信じておられるのですか?」
「いいえ。信じていません。」と私は即答。
「でも、セスチャ様!わたくしは今まで、この棟と東庭園に皆様方がおられるのを見かけたことは御座いません。やはり、噂と言われていますが本当の話しではないのでしょうか?」
「アン。あなたまで...あなたは馬鹿ですか!そのような事があれば今頃、前后様の亡霊は出ています。それに、誰が前后様を見たのですか?見た者はいないのでしょう!」
そうそう!先生が言うのも尤も!今まで何も起こらず暮らしてきたんだから。それに「城」「庭園」「後宮」は幽霊の噂が付き物だわ。
「でも。セスチャ様!わたくしは怖ので御座います。」
「アン。フローレンス様を見習いなさい。フローレンス様は信じてはおられません!」
「アン。ほら、先生も亡霊なんていないって仰ってるじゃないですか。大丈夫よ。」
「お嬢様~~!」
アンは本当に怖がっている。
亡霊って普通は夜中にでるもんでしょう。
日中に亡霊なんて出るわけない!
それに誰かが夜中にそれも、真っ暗な東庭園を散歩でもして前后の亡霊を見たっていうの?
本当に、そんな馬鹿な話しはない!
いったい誰がそんな噂を流したのよ?
私だって見られるもんなら一度、亡霊って言うものを見てみたいわよ!
だけど、「火の無い所に煙はたたない」か。




