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「君の魔法は地味で映えない」と人気ダンジョン配信パーティを追放された裏方魔導師。実は視聴数No.1の正体、俺の魔法でした  作者: 希羽


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第42話:家出したら「国境付近」の悪の組織を壊滅させてしまった

 フタバの精神的成長に伴い、我が家に「第一次反抗期」が訪れた。


「ピーマンきらい! おにくがいい!」

「好き嫌いはダメだぞフタバ」

「パパなんてきらい! おうちでていく!」


 夕食時、フタバはピーマンの肉詰めを拒否して家を飛び出した。

 彼女は聖域の結界を抜け、スタスタと夜の闇へ消えていった。


 聖域とアイリスの王国との間には、どちらの騎士団もあまり巡回しない緩衝地帯(魔の森の外縁部)がある。

 そこにある古びた砦に、盗賊ギルド『黒き牙』がアジトを構えていた。


「へっへっへ、ここは安全だ。王国の騎士も、聖域の化け物どもも来ねぇ」

「お頭! アジトの近くでガキを拾いました!」


 部下が連れてきたのは、ポシェットを下げたフタバだった。

 彼女は聖域から数キロの道のりを、散歩気分で歩いてきたのだ。


「上等な服だな。王国の貴族か? 誘拐すれば身代金になるぜ」

「おい嬢ちゃん、こっちへ来な。いい飯があるぞ」

「ごはん? ……おにく、ある?」


 フタバは目を輝かせ、ホイホイとアジトへ入っていった。


 数分後。アジト最深部。


「おじちゃん、ごはんまだー?」

「うるせぇ! 水でも飲んでろ!」

「お・に・く!!」


 ドンッ!!!


 フタバが机を叩くと、衝撃波で砦全体が揺れ、机が粉砕された。


「ひぃっ!?」

「おなかすいたの! はやく出さないと……おじちゃんたち、食べちゃうぞ?」

「だ、出せぇぇ! 食料庫を開けろぉぉ!」


 立場は逆転した。

 盗賊たちは涙目で料理を運び続ける給仕係となった。

 食料が尽きると、フタバは彼らの切り札である「鋼鉄のゴーレム」まで(かじ)り始めた。


「硬いけどおいしー!」

「俺たちの最終兵器がぁぁぁッ!?」


 そこへ。


 ドゴォォォォォンッ!!!!!


 砦の屋根が吹き飛んだ。

 月を背に、俺、ローズ、アイリス、ルミナ、そしてフェンリルと古竜が降り立った。

 聖域からここまで、俺たちにとっては庭先のような距離だ。


「……見つけたぞ」

「ひぃっ!? 『聖域』の主!? なんでこんな所に!?」


 ボスの男が絶望の悲鳴を上げる。

 ここは緩衝地帯のはずだが、俺たちに国境など関係ない。


「よくもウチの娘を『人質』にしてくれたな。……覚悟はできてるんだろうな?」


 俺が指を鳴らすと、砦全体に重力がのしかかり、ミシミシと潰れていく。


「ち、ちがうんです! 勝手に入ってきて食い荒らされたんです!」

「パパー!」


 フタバが駆け寄ってくる。口元にはゴーレムの鉄くずがついていた。


「ここのごはん、おいしくなかった……。パパのピーマンのほうが、おいしい」

「フタバ……!」


 俺は感動した。外の飯(鉄と盗賊の料理)を知って、家庭の味に戻ってきたか。


「そうか。帰ろうフタバ。今日は特別にハンバーグだ」

「わーい!」


 俺たちは盗賊団を(半壊させたまま)放置し、一瞬で聖域へ帰還した。


 翌日、王国騎士団が砦を制圧したが、盗賊たちは「幼女が……鉄を食う幼女が……」と譫言を呟くだけの廃人になっていたという。

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