表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「君の魔法は地味で映えない」と人気ダンジョン配信パーティを追放された裏方魔導師。実は視聴数No.1の正体、俺の魔法でした  作者: 希羽


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/57

第29話:教皇の陰謀「聖域を焼き払え」

 聖教国、中央大聖堂。

 地下深くに封印された「禁忌の間」に、教皇グレゴリウスの怒号が響き渡っていた。


「おのれ、おのれぇぇぇッ!! 異端者ごときが、この神の代行者たる私に恥をかかせおって!」


 彼は水晶玉に映る映像――聖女エレナがフェンリルに吠えられて白目を剥く姿――を杖で叩き割った。

 教会の権威は地に落ちた。

 SNS(魔道具通信)では「教会よりフェンリルの方が神々しい」「聖女(笑)」といった書き込みが溢れている。


「許さん……このままでは、世界中の寄付金が減ってしまうではないか!」


 動機は極めて俗物だった。

 教皇は、祭壇の中央に鎮座する、巨大な金色の石板に手をかざした。

 古代文明の遺産、戦略級魔導兵器『天の雷ヘブンズ・ジャッジメント』の制御端末だ。


「もはや慈悲など不要。あの薄汚いダンジョンごと、周辺の地図を白紙に戻してやる! これは『神罰』という名の演出だ!」


 教皇が魔力を注ぎ込むと、石板がブォンと重低音を響かせ、光を放ち始めた。

 遥か上空、大気圏外に浮かぶ古代の「衛星砲」が、数千年ぶりに目を覚ます。


「ハハハハ! 見よ! これが神の怒りだ! 消え失せろ、ゴミ屑どもめぇぇぇッ!!」


 ◇◇◇


 一方その頃。聖域。


「あーん♡ おじ様、これ美味しいですわよ」

「ジン様! そっちの毒々しいお菓子じゃなくて、この王室御用達のマカロンを食べてくださいまし!」


 俺は縁側で、ローズ(魔王令嬢)とアイリス王女に左右を挟まれながら、優雅なティータイムを過ごしていた。


 平和だ。


 聖女を追い返してから数日、教会からの接触はない。諦めたのだろう。


「今日はいい天気だな。洗濯物もよく乾く」


 庭には、洗い立てのシーツが風に揺れている。

 シロとクロは日向ぼっこをし、エルフたちは新しい倉庫の屋根を葺いている。

 完璧なスローライフだ。


 ――ズズズズズ……ッ。


 突然、空気が震えた。

 風が止まり、鳥たちのさえずりが消える。

 不自然な静寂。


「……ん?」


 俺が空を見上げると、太陽とは違うもう一つの光が、天頂に輝き始めていた。

 最初は小さな星のようだった光が、見る見るうちに拡大し、黄金色の輝きで空を覆っていく。


「な、なんですのあれ……?」


 アイリス王女がティーカップを取り落とした。

 彼女の顔から血の気が引いていく。


「まさか……古代文献にある『天の雷』!? 聖教国が保有するという、伝説の戦略兵器ですの!?」

「戦略兵器?」

「一撃で都市を消滅させる、衛星軌道上からの極大魔法砲撃ですわ! あんなものを使えば、ここはおろか、王国の一部まで巻き込まれてしまいます!」


 王女が悲鳴を上げる。

 空の輝きは既に臨界点に達し、雲が渦を巻いて逃げていく。

 圧倒的な魔力の質量。

 これは、シロやクロがどうこうできるレベルではない。物理的な距離が遠すぎる上に、範囲が広すぎる。


「おじ様! 逃げましょう! 魔界へ転移すれば助かりますわ!」


 ローズが俺の腕を引く。

 だが、俺は動かなかった。


「逃げる? せっかく作った家や畑を置いてか?」

「命あっての物種ですわ! あんなの、防ぎようがありません!」


 空が金色に染まる。

 直感で分かった。あと数秒で、全てを焼き尽くす光の柱が降り注ぐ。

 エルフたちが絶望して天を仰ぎ、シロとクロが主を守ろうと咆哮を上げる。


 だが、俺はイラッとしていた。

 恐怖ではない。純粋な苛立ちだ。


「……眩しいな」


 俺はゆっくりと立ち上がった。

 せっかくのティータイムだ。

 洗濯物を取り込んだばかりだ。

 それを、顔も知らない奴が、空の上から土足で踏み荒らそうとしている。


「おい、教皇だか何だか知らんが」


 俺は杖を構えず、素手で天を指差した。


「人の家にゴミを投げるな。教育がなってないぞ」


 カッッッ!!!!


 上空の光が弾けた。

 直径数キロメートルにも及ぶ極太の光熱ビームが、音速を超えて俺たちの頭上に降り注ぐ。


 世界が終わる光。


「きゃあああああああっ!!」

「おじ様ぁぁぁぁぁぁッ!!」


 ヒロインたちの絶叫が響く中、俺は静かに魔力を練り上げた。

 全てを押し潰す重力の腕を、空へ向けて伸ばす。


「投げ返してやるから、キャッチしてみろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ