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エターナル  作者: かさは
植物少女編
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第五十一話 対峙

「残りはヒカルだけか………。」

すでに校庭に集まっていた四人は校舎を見た。



「ま、トイレでも行ってんだろ。」

傘都は腰に手を当てる。銃は腰にあるハンドガンポーチに、マガジンはピストル用ポーチにベルト状に巻いてある。



「というか、少し重いですね。」

サキはハンドガンポーチを触る。



「そりゃマガジンに銃本体まであんだ。重くねぇわけがねぇ。」

しかし誠也はまったく重そうにしていない。



「菅野さんがそれを言いますか……?」

トワがツッコむ。



「すいません、遅れました。」

そこに走りながらヒカルがやってくる。



「どうした、何かあったのか?」

誠也はヒカルの目を見た。



「いえ………トイレです。」

僅かに目を背けるが、誠也は特に言及しなかった。トワと傘都にサキは不思議そうにしたが深入りはしなかった。



「そうか、なら行くぞ。」

そう言って誠也は歩きだした。それにつられて四人も誠也の後ろについていく。



「あれ、ここから少し距離があるんですけど……車って使わないんですか?」

頭に疑問符を浮かべる傘都。



「馬鹿ですか?車で行ったら音でバレますよ。」

呆れたのかため息をついてサキも歩き出す。



「サキの言う通りだ。ま、先に死にてぇなら話は別だがな。」

誠也は振り返らない。



「いえ!滅相もありません!」

背筋をピンと伸ばして冷や汗を流す。



「何あれすっげぇ必死。」

その変わり様に感嘆の声が出るトワ。



「この変り身だけは尊敬するわ。」

ヒカルが言う。



「聞こえてるわ!」

傘都のそのツッコミににおぉ……と二人は驚く。



「馬鹿にしてんのか!」



「「いえいえ。」」

その顔はやけに穏やかだった。二人の様子に気持ち悪さを感じながらも歩を進めた。



「そんなアホなことしてないでさっさと行きますよ。歩いてください。」

サキが呆れ半分で言う。誠也は関わらないと決め込んだようだ。



「俺のせい?俺のせいなの!?」

傘都は自分を指差しキョロキョロと頭を振る。



「…………。」

それにサキは冷たい目で返す。トワとヒカルも歩き出す。それに焦ったのか傘都も歩を進めた。



◆



「なんか久しぶりだな、避難所も。」

傘都は物陰から顔をだす。ようやく避難所が見えて、少し遠くの身を隠した五人。



「ですね。こんなに荒れ果てて……。」

その変わりように僅かに寂しそうに目を伏せる。



「しっかし、これじゃあどこにいんのか分かんねぇな。」

誠也は冷静に少女の場所を考えていた。避難所のどこにいるのか目を動かして観察する。



「近づきますか?」

トワが問いかける。



「それで死んだら元も子もない。近づくにしても遮蔽を経由する。」

必死に目を凝らした。



「……あった。」

とある一点、この場所からでも移動できそうな範囲に身を隠せそうな所を発見する。



「おい、あそこまで身を隠しながら移動するぞ。」

誠也は四人に振り向く。その言葉に四人は静かに頷いた。



「…………。」

誠也が先頭に立って移動する。毎回避難所を確認しながら少女がいるかどうかを見ていた。



「ひとまず、ここまで来れたな。」

その物陰に身を隠し、安堵する。だからといって気を緩めることは出来ないが。



「……………。」

誠也は頭を少しだけ出して周りを見る。



「………扉が開いてやがる。」

そう確認して四人に目配せした。そして、五人は足音を立てずに扉近くまで近寄る。背中を壁にピッタリと合わせて誠也が顔だけ隙間から覗いた。



「がら空きだな。」

中を除くと荒れ果てた廊下が見えた。電気すらついていない、人気のない廊下。



「にしても、誰もいませんね。」

トワが言う。五人は足音を最小限にしてゆっくりと進んだ。



「そりゃ、あん時避難所は襲われたんだ。誰かいるほうがおかしいだろ。ま、実際あの女は居るわけだがな。」

当然その声量は抑えてある。



「そういえば、大体どこにいたとかあるんですか?」

トワはとあることを不思議に思った。



「大体大広間あたりにいるらしいな。」

そこでトワは違和感に気づく。



「大広間って、入り口から反対ですよね?なんでわざわざ警戒したんですか?」



「そりゃ、あの女が移動してるかもしれねぇだろ。」



「あ、確かにそうですね。」

納得したのか口を閉ざした。しばらく歩いていると、少し大きな扉が目の前に現れた。



「お前ら、物音の一つも立てるなよ。」

トワ達は静かに頷いた。幸にも扉は僅かに開いていたのでゆっくりと隙間を覗き見る。そこにはフンフンと何かを鼻歌を歌っていた少女の姿があった。



「!!!!」

誠也は驚いて直ぐに顔を戻す。誠也のその様子を見てトワは口パクで、いたんですね?と伝えた。それに気づいたのか誠也は首を縦に振る。



息を整え、もう一度覗いた。次の瞬間、それまでしていた鼻歌がピタリと止む。静寂が大広間を包んだ。



「……五人、か。」

何かを思案するように顔をわずかに俯かせた少女。



「もう知ってるから出てきていいよ?」

振り向きもせずに扉の方へと言い放つ。



「なんでバレて……。」

トワは目を見開く。五人は冷や汗と驚きが隠せないでいた。



「あれ?出てこないの?」

少女はそんなことつゆ知らず首を傾げていた。



「無理だなありゃ、バレてる。」

隠し通せないと思ったのか、扉を開けてトワ達は中へと足を踏み入れた。カツカツという五つの音が大広間を支配する。



暫くしてトワ達はある距離で足を止めた。そしてトワ達五人は各々武器を取り出す。



「あれ、穏やかじゃないねぇ。」

ふふっと、まるでそれが脅威でないかのように笑う。少女は振り返る。



「………嘘。なんで生きてるの?」

少女はトワを見た瞬間目を見開く。



「それは答えられない。」

トワは隙を晒さぬよう慎重になる。



「私としてはそこがすごい気になるんだけど。」

しかしトワの目を見て答えを得られないと理解したのか諦めた。



「それよりも、一つ聞いてもいいか。」

トワは少女の目を見た。



「それは不誠実だよ。君が答えないのに私が答えるわけがないじゃん。」



「……ならいい。」

しかしトワは踏み込まなかった。



「あれ?意外。詰め寄ってくるものかと思ってた。」

ふふふと頬を緩める。



「あくまで少し聞きたい程度のことだ。答えなくても答えてもやることは変わらない。」

トワは僅かに構える。



「……しか〜し、私はすごく優しいので、そんな無礼な君の質問を聞いてあげよう。」

ふふんと胸を張る。



「……なら、お言葉に甘えさせてもらおう。」

裏があるのかと思考がよぎったが、そうではないと知り、少女を見据える。



「………なんで避難所を襲った。」



「へぇ。」

少女の目つきが変わる。しかし帰ってきたのはまさかの答えだった。



「……でもさぁ、大方予想はついてるんでしょ?」

少女もトワの目を見つめ返す。



「……なんでそれを!」

声が大きくなる。



「君の目を見れば分かる。それに……少し強くなったようだしね。」

少女がそう言った瞬間、場の空気が体感二度下がった。



「…………。」

トワの目に僅かに殺気が宿る。



「まあまあ、落ち着いてよ。でも、そうだね……答え合わせをする前に君の考えを聞きたいな。」

余裕の笑みを絶やさない。



「論点をずらすな。」

更に殺気がこもる。



「だからさぁ、少し落ち着きなって。」

はぁ、とため息をつく。そこでもあることに気づいたのか手をポンと叩く。



「あ、そうだ!自己紹介がまだだったね!私は千日紅(せんにち こう)、よろしくねぇ〜。」

唐突に思い出して、フリフリと手を振る。それにポカンと口を開けるトワ達。唯一開いてないのは誠也だけだった。しかし警戒は解いていなかった。



―なんでそんなに緊張感ねぇんだよ……。でも、これで俺がいろいろ話してれば弱点も少しは見つかるか?

一つの結論にたどり着く。トワはそれに賭けた。



「……拠点、もしくはねぐらが欲しいから。」

その答えに紅の口角が上がる。



「俺はお前と前に遭遇したことがある。その時も………警察署は避難所から近い場所にあった。」

紅は黙って聞いている。



「不思議だったんだ。なんでわざわざ襲う真似をしたのか。でも、襲うってことは何かしらの利点がなきゃおかしい。」

紅の目をわずかに細まる。



「でも、普通に考えれば利点なんてない。拠点ならそこらの空き家でもいいわけだ。でもお前はそうしなかった。それは何故か。」

誠也達も黙って聞いている。



「………お前には部下がいた。雑魚悪魔共がいた。つまりだ、大人数を詰められるデカい施設が必要だった。だからこそ、お前はこの避難所に目をつけた。違うか。」

そこまで言うと紅は黙って一度目を閉じ、ゆっくりと開いた。



「嘘、まさか全部当てられるなんて思いもしなかったなぁ。」

額に手を当て面白そうに笑う。その様子はあまりにも緊張感がなかった。



「うん、正解。君の言うとおりだよ。本当にあの時殺せなかったのが悔やまれるなぁ。」

そこでふと一つの疑問に至った。



「そういえば、私学園に一人部下を放ったんだけどさ、まだ帰ってこないんだよねぇ。分かる?」

キョトンと首を傾げる様ははたから見れば無邪気な女の子だった。



「………俺が倒した。」

一度躊躇ったが、トワは言う。



「………そっかぁ。」

少女は顔を下に向けた。するとこれまでののほほんとした雰囲気から一転、殺気があふれる。



「やっぱり、君が原因だったんだね。おかしいと思ったんだよ、どうしてあれだけの囮を用意したのに全員倒されてしかも帰ってこないのか。」

ゆっくりと顔を上げる。



「全ては君のせいだったんだね。こればかりは私の失態……君を殺し損ねた私のね。」

少女は一歩踏み出す。それにトワ達五人は何時でも逃げれるようにしながら身構えた。



「だから今度こそ……確実に殺してあげる。」

次の瞬間、地面から生えた植物がトワ達向かって飛んできた。


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