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エターナル  作者: かさは
植物少女編
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第四十七話 後悔

「あ!そこにいたの?」

五人でそんなことを話していると廊下の先から太郎の声が聞こえてきた。何かを運んでいる最中だったらしい。



「?太郎か。」

その声にトワが反応し、振り返る。



「おぉ、太郎じゃねぇか。大丈夫か?」

傘都は花から少し離れ、太郎を見た。それに少し花は寂しそうにしたがすぐに持ち直す。



「うん。幸い軽傷だったからね……。」

あの時の光景が頭をよぎったのか顔色がわずかに悪くなる。



「そっちは?」

トワは顎をくいっと動かした。



「復興の手伝い。トワくん達は?」

荷物を膝に少しだけ置いて両手で再び支える。



「俺は花に会いに来ただけ。こいつはその付き添いみたいなもんだ。」

傘都は親指をトワに向けた。



「へぇ〜。」

太郎は近くにいるマシロへと向けられる。



「君?」



「違う。」

間髪入れずマシロは言った。



「え、そうなの?じゃあそこの車椅子の子?」

今度こそ太郎は花を見た。



「そうだよ。私。」

そこでトワはふと思い出したのか太郎に訊く。



「ユキってどこにいるか分かるか?」



「ユキちゃん?多分……教室じゃないかな?」

僅かに気まずそうに目を逸らした。



「そうか、ありがとう。」

トワは言った。太郎は改めて自分の荷物を見つめ、ふとあの時の出来事が頭をよぎる。



「にしても……我ながらよく頑張れたなって思うよ。」

自分でも本当に分からないといった様子で困ったように笑う太郎。



「にしても、かっこいいじゃねぇか。体張って皆守ったんたんなら。」

傘都はそれを見たわけではないが、他の人から聞いたりして太郎の活躍は知っていた。



「………でも。」

太郎の顔に影がさす。



「確かに、守れなかった命だってあるかもしれない。」

静かにそう述べる傘都。太郎はさらに顔をうつむかせる。花はそれに異議を申し立てようと声をだそうしたがトワが手で制した。



「…でもよ、それ以上にお前は多くの命を救えた。まぁ、気にするななんて言えるわけじゃねぇけどさ。」

太郎はそれを聞いて顔に力が入る。



「なら!」

太郎は声を荒げた。治は静かに見守っている。



「俺は上手く言えねぇからよ……。」

すると傘都がトワに目配せした。それにトワは一瞬だけ困惑したような顔を作った。しかし次の瞬間には太郎を見ていた。



「…だからと言って、救えなかった命にしか目を向けないのは違うんじゃないのか?」

トワは静かに口を開いた。


「……!」

盲点を突かれたように目を少し見開く。



「ちゃんと、自分が守ったものを見てみろ。そいつらはどう見える?どういう振る舞いをしてる?」

そこで太郎は思い出した。



「……僕に、感謝を伝えてきた。泣きながらありがとうって……。」

分かりやすく言葉が小さくなる。



「その中に、少しでも嫌な顔した奴がいたか?」

畳み掛けるように太郎に問う。



「それは……。」

太郎は何も言い返せず顔を俯かせた。



「きっと、いないはずだ。助けられて、なんで助けた!なんて怒るやつは、よほどの馬鹿か頭のおかしい奴だ。」

はぁ、と息をつき太郎の目を見る。



「太郎、お前の中には後悔しかないのかもしれない。」

太郎は少しだけ顔を上げた。



「だがな、人ってのはそんな多くを助けられるように作られてるわけじゃない。お前はできる範囲のなかで全力を尽くした。」



「………。」

まだ太郎の顔には影がさしていた。




「それを否定したら、お前が助けた人まで否定することになる。」

それを聞いて、太郎の目は俯かせたまま見開く。



「それきっと……一番しちゃいけないことだと思う。」

トワがそう言い終わると廊下はシンとした静寂に包まれる。それに耐えかねて傘都が口を開いた。



「あ〜〜、つまりはさ。こんな難しいこと言ってるけど……お前に元気になって欲しいんだよ。」

太郎の方へと優しい目を向ける。



「……え?」

俯かせていた顔を上げ、トワを見た。



「はっ!?ちょ……おま!俺がせっかく言った言葉を……!」

トワの顔が真っ赤に変わり、傘都の胸ぐらをつかんで顔を寄せた。



「……そうなの?」

恐る恐る訊く太郎。



「…………。」

そっぽ向き、ゆっくりと顔を戻す。



「………そうだよ。」

消え入りそうなほど小さい声で確かに言った。



「……ありがとう。」

つい先程自分が言った事が今度は言われる側になる事は想定してなかったようだ。



「……ふふっ。」

花は右手で口を隠すようにして笑った。



「な……何がおかしい!」

バッと凄まじい速度で顔を向ける。



「いや……優しいなって。」

その笑みに傘都は固まった。



「あ〜もう!こいつのせいで台無しだ!」

右手の人差し指を傘都の額にグリグリ押し付ける。



「……?傘都?」

そこで傘都が花を向いている最中で止まっていることに気づいた。



「…………。」

トワは軽く頭を引っ叩いた。



「は!一体何が!」

とんでもない気迫であたりを見回す。



「お前が言うか。」

呆れてため息が出る。



「あぁ、なんだトワか。」

傘都はほっと息をついた。



「トマトじゃん………。」

治はトワの顔をマジマジと見ながらポツリと呟いた。



「そうですね。」

うんうん、とマシロまで頭を縦に振っている。



「誰がトマトだ!」

トワは大きな声でツッコむ。



「あ、聞こえてたんだ。」



「あたりめぇだろ!」

疲れたのか肩で息をするトワ。



「あ、つうかこんなことしてる場合じゃねぇ。……ユキの所に行かねぇと。」

ふと冷静になり、先程の傘都の言葉を思い出す。



「…………。」

太郎は前の出来事が頭をよぎり、一瞬気まずそうにしたがすぐに表情を戻した。



「ユキちゃんなら……きっと校庭にいると思う。」

トワと目を合わせる。



「ありがとう。」

トワはそう言い残し、身を翻して走った。





「ふん………ふふんふん。」

一方その頃校庭では、やるべき事を終えたユキとサキが隣り合って階段に座っていた。



「なんですか、その歌?」

サキはユキの顔を除いて訊く。そのせいで髪が重力に沿って引かれる。



「これ?これはね〜〜……秘密!」

少し暗さが残る顔でそう隠した。



「…そうですか。メロディは覚えましたから調べます。」

淡々と何事もないかのように言葉を紡ぐ。サキはポケットからスマホを取り出した。



「え!?ちょ、嘘!?」

目を見開いて手をバタバタさせながら、させまいとサキのスマホを取ろうとする。



「待って!調べないでよ!」

頬を赤く染め声が大きくなる。



「何をそんなに慌ててるんですか……。もしかして……やましいことでも?」

目を細めてサキは問い詰めた。



「い……いや?何も……ないけど?」

ヒュ〜ヒュ〜と下手くそな口笛をしながら目が泳ぐ。



「嘘つくの下手くそですね。」

ジトッとした目を向け、呆れる。



「う……うぐ………。」

サキの追撃に顔が引きつった。



「それリアルで言う人いるんですね。」



「う、うるさい!」

あまりの恥ずかしさに顔を膝に埋める。すると後ろから誰かの足音が聞こえてきた。不思議に思い二人が振り返ると、そこにはトワが立っていた。


因みにユキが鼻歌で歌っていたのは、「君に、恋してる」という曲です。あと、できれば評価の方してもらえると泣き叫びながら喜びます。

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