まとめ♯4.5
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霊界の経済担当大臣「パンプキン・メロン」はショパンとラフマニノフの経営する音楽学校「エキスパートピアノ」の運営許可を常に与えていたが、それが危うくなる事態が発生した。
パンプキンはショパンに自分の家族の前でピアノ演奏をしてほしいと願ったが、ショパンは多忙から拒否したのだ。
パンプキン「私の息子はショパンの大ファンなんだよ。ぜひ、会ってやってくれないか?」
ショパン「今、私は忙しいんだよ。あなたの要望は叶えられません」
パンプキン「どうしてもだめか。土下座してもいい」
ショパン「なんでも土下座して頼めば聞いてくれると思ったら大間違いです」
パンプキン「何故、私にそんなに冷たいんだ?私の裁量一つで、ショパンたちの音楽学校も潰れるんだぞ??」
ショパン「えっ?」
ラフマニノフ「ショパン。会ってやれ!頼みを聞いてやれ!音楽学校がどうなってもいいのか?」
ショパン「そうか。。。自分の思い通りにいかないとそうやって脅すのか。私はそういう輩が大嫌いなんだ!あなたに大きな権限があるということは分かっているが、脅しに屈するのは自分のプライドが許さない」
ラフマニノフ「あの、私でよければパンプキン・メロン様の息子に会ってやることができますが?ダメですか?」
パンプキン「ラフマニノフには興味ない。私はショバンがいいのだ。ショパンにしか興味がないんだ」
ショパン「では、ぜひ⋯音楽学校の運営許可を取り消してもらって結構。私たちは宇宙の神ミヤザワトモヒデにコネがあるから、あなたをミヤザワトモヒデに頼んでクビにしてもらうようにする。それどころかこの霊界に住めないようにしてもらうかもしれないが」
パンプキン「何言ってるんだ。冗談が通用しないとは本当だな。尊敬するショパンの学校を私が本気で潰すわけないだろう。私もショパン達の学校がどう成長していくか楽しみで仕方ないんだからな。ダメ元で言ってみただけだ。どうしても会ってくれないのなら残念ですが、あきらめるさ。お気を悪くしたなら申し訳ない」
ラフマニノフ「私たちにどうしても会いたいなら、私たちのエキスパートピアノ音楽学校に入学して、腕を磨くことをおすすめする。ショパンはただ単にそうしてほしいだけなんですよ」
ショパン「エキスパートピアノに入学すれば、私に会えるかもしれない。その息子さんはピアノに興味を持っていただきたいですね。個人的に会うことは余程の理由が無いとお受けしません。本当に忙しいのですし、あなたの息子さんだけ特別扱いすることはできません。私に会いたい人に全て会っていたら、精神的に持たないです」
パンプキン「そうですか。では、サインだけでももらえませんか?」
ショパン「音楽学校に入学していただければ、そして、ピアノ演奏と作曲を学んでくださればサインをプレゼントしましょう。そのくらいはします。私たちの使命はなるべく大勢の人にピアノを学んでいただき、私たちを遥かに超える音楽家を育て上げることなんですから。なるべくたくさんの人にピアノに触れていただきたい」
パンプキン「では、息子をエキスパートピアノで学ばせたいと思います。ショパンに知り合えるならば、息子は喜んで入学しましょう」
ショパン「そうです。それでいいんです。息子さんに期待しています。それより、一番大事なのはさっきラフマニノフに興味ないと言いましたが、ラフマニノフにも興味を持ってやってください。彼の魅力に気づいてないと、絶対にピアノは上達しません。私よりも魅力的なピアノ協奏曲が書け、私よりも難易度の高い音楽が作曲でき、私よりもピアノ演奏が上手なんですから。魅力的すぎるはずです。ラフマニノフを悲しませるようなことがないように」
ラフマニノフ「おう、ショパン。あまりに俺に親切すぎて、恥ずかしいぞ。げど、ありがとな」
いきなり思い切りよく扉が開き、一人の子供が入ってきた。
息子「わあーーーショパンさん、本物?」
パンプキン「ショパンさん、実は息子を連れてきていたんです。どうしても会わせたいと。今日、音楽学校の運営許可の手続きのために、校長のショパンたちが来ると言ったら、僕も行くと言っていて。ごめんなさい」
ショパンはいきなり息子に手招きをして、近寄ってきた息子を抱きしめた。
ショパン「君は僕のファンなんだってね。ならば、音楽学校に入学してくれ。ピアノを一緒に極めようじゃないか。ピアノの魅力に気づいたら、楽しくなるよ!ぜひ、学校に来てくれ!」
息子「もちろんだよ。行くよ。ありがとう。会えてうれしい!ずっと憧れの方だったから。ショパンの曲は全てチェックしているんだよ!でも、僕が一番嬉しいのはラフマニノフさんがいてくれたことだよ。実は僕はラフマニノフさんがショパンさんより好きなんだ!もちろんラフマニノフさんの作曲した曲も全てショパンの曲より聞いてるよ。ラフマニノフさんのほうがカッコよくて好きだよ!背が2メートルあって、手が大きくて。男らしくて最高だよ」
ショパン「なんだ!ラフマの方が好きなのか!それはよかった。ラフマも喜んでくれるぞ!」
ショパンはラフマが喜ぶと思うと嬉しくて仕方なかった。
ラフマニノフ「おいで!! ハグしてやろう」
息子「わあ。ラフマニノフ先生から抱きしめられるなんて、もう嬉しすぎる」
パンプキン「息子の音楽学校の入学手続きもぜひ、今、ここでしたいのですが」
ショパン「書類を持ってきてないので、息子さんはこのまま音楽学校に私たちが連れていきます。そこで、正式に入学の手続きをしたいと思います」
息子「わあ。学校に連れて行ってくれるんですか?」
ラフマニノフ「君が喜んでくれるからね」
ショパン「ラフマ。僕、これからはひとりひとりに会うことも大切にしようと思うよ。考え方を変えようと思う。なるべくたくさんの人に会って、音楽学校の、ピアノの魅力を伝えていこうと思う。僕が会うのを拒絶していたら、ピアノに興味を持ってもらえなくなっちゃうかもしれないからね。会う人すべて、なるべく大事にして、その人の前でピアノ演奏をして、ピアノに感動してもらって、ピアノを弾けるようになりたい、ピアノの音が好きって、音楽に興味を持ってもらうようにしたい。目の前の人、ひとりひとりを大事にしたいと思う。その大切さに今、気づいたよ」
ラフマニノフ「成長してきているな。ショパン。気づいてくれてよかったよ。今日会った息子さんがショパンを超える音楽家になるかもしれないからな。どんな人が大きな可能性を秘めているかは見かけでは分からないから、俺たちができる最善の行動は、できるだけ多くの人を大事にして、私たちを好きになってもらうことだ」
32
ショパンとラフマニノフはネコカフェに来ていた。
ユニークが売りのカフェらしい。
最近、音楽学校の活動で忙しくて、癒しを求めていた2人は共通でネコが好きなのだ。
「ネコカフェヘブンズキャット」
大きな看板ネコが店の入り口で客の呼び込みをしていた。
とはいっても座っているだけだ。
何故なら、この店は客がたくさん入るのは望んでいなくて、数名くらいの来客で構わないということらしい。
客は少なめのほうが、ネコカフェとしてお客様に癒しを提供できるのではないかという考えだった。
ショパンとラフマニノフはBMWの自動車を店のすぐ入口に止めた。
まるで、ショパンとラフマニノフの2人以外来てほ
しくないというような感じに見えた。
看板ネコ「こらこら、こんなところに車を止めては、他の客の邪魔になってしまうじゃないか」
ラフマニノフ「いいじゃないか。私たちはこのネコカフェを独占したいんだ。貸し切りにしたいくらいだ。金なら払うぞ?」
看板ネコ「そうか。それならば仕方あるまい」
店内の奥に入っていくと、店主もネコだった。
人間ではない。立っている。普通に人間のように歩いている。
店主ネコ「いらっしゃいませ一。お二人様ですか?時間は何分にしますか?30分、1時間、3時間、6時間とありますけど」
ショパン「特に時間は決めたくない。フリータイムでいられるだけいたい」
店主ネコ「それならば7777時間なんてどうですか?」
ショパン「何の冗談だい?さすがにそんなにはいれないよ。
私たちは音楽学校を経営していて、その仕事の束の間の休み時間をネコで癒されたいだけなんだから」
店主ネコ「前の客は7777時間ご利用しましたけど。では、いたいだけいてください」
ショパン「ここのコーヒーは200種類もあるんだ。コーヒーに力を入れているんだね。ラフマ、よかったね。ラフマはコーヒー好きだからね」
ラフマニノフ「ここはセルフ式になっていて、どんなコーヒーも飲み放題だ。ちなみに77番のコーヒーは俺がブレンドの黄金比を開発した最新のものだ」
ショパン「えっ?ということはラフマはこの店に来ていたってこと?この店と通じていたの?」
ラフマニノフ「自分のラフマブレンドをいつか霊界最大の人気銘柄にしたいという野望を俺は持っている」
ショパン「壮大な野望だね」
店主ネコ「ここに注意書きがありますので、全て読んでください。ぜひ、守ってください。それからネコは何匹くらいご用意すればよろしいですか?」
ラフマニノフ「できれば多いほうがいいな」
店主ネコ「ただいま、準備いたします」
店主ネコは扉からたくさんのネコをいきなり出現させた。
たくさんのネコがショパンたちのいる客間に入ってくる。
あっという間に。床がネコで見えないほどになった。
ショパン「ちょっと、店主さん。これじゃあ、多すぎだよ。身動きとれないじゃないか」
ラフマニノフ「異様な光景だな。まあ、癒されることに変わりないが。ユニークが売りだから仕方ない」
ショパン「注意書きを見てみよう。どれどれ、『ネコを殺さないでください』だって。当たり前だろ!!本当にユニークな注意書きだこと」
店主ネコ「ネコのおやつというものを買っていただくと、ネコにあげることができ、ネコはすごい喜びますよ〜〜」
ラフマニノフ「じゃあ、このキャットミートを20個ください」
店主ネコは空中から杖で呪文を唱え、キャットミートというネコが大好きな風味のついた肉の塊を出現させた。
机にいきなりポンと魔法のように現れる様は霊界ならではだろう。
ネコは机に一斉に群がり、肉の奪い合いを始めた。
その様はまさにネコ戦争だった。
ラフマニノフはわざと大量のネコの数にしては少ない肉を用意し、ネコたちによる争奪戦交響曲を見たかったのだ。
そのネコたちが肉を求めて踊り狂っていると、一人の男が現れた。
「カランコロン、カランコロン」
ゲン「どうも」
以前、知り合ったコーヒー屋のゲンである。
ショパン「ゲンじゃないか。久しぶりだね。君もネコに癒されに来たのかい?」
ゲン「いや、ここのネコカフェのコーヒーの豆を配送しているんですよ。つまり、仕事です。ラフマニノフさんのラフマオリジナルも私が配送したんですよ」
ラフマニノフ「そうなんだ。ショパン。ゲンとコーヒーで仕事仲間にまで発展したんだ。いい付き合いしてるんだよ」
ゲン「店主さん。豆はもう切れそうなんですよね。持ってきましたから、いつもの倉庫に置いておきましたから」
店主ネコ「いつもありがとう、ゲン」
ゲン「ちなみにこの店を知っているのはラフマニノフとショパンと私しかいません。3人だけです」
ショパン「えっ?つまり、7777時間利用した人って、ゲンってこと?消去法だと」
ゲン「私とショパンとラフマニノフさん。この3人だけのネコカフェですよ。他の人は利用できません。そもそも、発見できないようになっているんです。私たちしか」
ラフマニノフ「そうだ。ショパン。実はショパンに内緒にしていたが、ゲンとは俺がショパンとタッグを組む前からの、昔からの知り合いでゲンとここのネコカフェでいつも一緒に飲んでいたんだよ。時間が空いたときにな。作曲もここでしていることが多い。海の他にな」
ショパン「ウソ!!ゲン、ラフマは僕のものだぞ?」
ゲン「では、私たちはライバルですね。私もラフマニノフさんの相棒の一人ですから」
ラフマニノフ「3人、親友同士になろうぜ。私を取り合うんじゃなくてな。モテる男も大変だな」
ゲン「本当はラフマニノフと私だけのネコカフェにしたかったんですが、ショパンさんに悪いので、3人で楽しみたいと思い、ラフマは今日、ショパンさんをこのネコカフェに連れてきたのです」
ショパン「ラフマ。ゲンと僕、どちらが大事なの?」
ラフマニノフ「両方大事だ!」
ショパン「どちらかだけにしてよ。ラフマは僕のものだけにしたいんだ」
ゲン「あはは。冗談ですよ」
ショパン「えっ?」
ラフマニノフ「本当にショパンは引っかかりやすいな。ゲンとは確かに昔からの知り合いではあるが、私の相棒はたった一人。ショパンだけだ。ゲンとここのネコカフェを昔から利用してることは事実だが、ただの仕事仲間だよ」
「ただの仕事仲間」という言葉にゲンは少し嫌な顔をした。
ショパン「本当に?よかった!!安心したよ」
「ニャーーーー」
店主ネコ「皆さん、もっとネコの相手してあげてください」
33
ショパンとラフマニノフは「肉体装備区域」に来ていた。
霊界では霊体で過ごすから、地上世界で肉体で生きていた頃の病気の苦痛とか、肉体的疲労とかそういうのは霊界では基本、味わえないのだが、この「肉体装備区域」にいると、肉体でいた頃の不自由さを仮体験することができる。
霊体ではトイレをする排泄欲とかもなくなるし、食欲もなくなる。
もちろん、食べたければなんでも食べることはでき
るが、やはり肉体を持っていた頃のような生理的欲求が薄くなり、刺激が少なくなる。
つまり、地上世界、物質界で腹をたくさん空かせた時の大好物を食べた時の快楽、喜び、美味しさは霊界では基本的に同じようには味わえないのだ。
しかし、「肉体装備区域」で仮に肉体の感じるものを装備すると、その物質界で肉体を持っていた頃と同じような感覚を味わうことができる。
ショパンとラフマニノフは肉体装備区域に行き、仮肉体をつけて、地上世界にいた頃のような懐かしさというかそういうものを味わっていた。
2人はステーキ屋さんに来ていた。
ショパン「ああ、やっぱり美味しいね。肉体をつけると。味が深まる。感覚が過敏になり、快楽が増すよ」
ラフマニノフ「こうやってたまに地上世界を思い出すのもいいよな」
ラフマニノフはいきなりステーキを食しているときに立ち上がり、トイレに行った。
ラフマニノフ「ああ、最高!!」
トイレの中から聞こえてきて、他のお客もいてショパンは少し恥ずかしかった。
ラフマニノフはトイレから出て、戻ると、なんと息切れしていた。
何故、息切れしていたのかショパンはすぐに悟った。
ショパン「ラフマ。どうだった?排泄は。霊体なら絶対に味わえないよね。肉体があるからこそ味わえるんだよね。出すの気持ちよかった?排泄音がここまで聞こえてきたよ」
ラフマニノフ「早くトイレで出す快楽におぼれたくて、下剤を飲んだくらいだからな。ああ、俺が80年前に地上で生きていた頃はこんな排泄、トイレを何回もしたんだよなと懐かしくなったよ」
ショパン「肉体を装備すると、霊体で食事するときの1億倍は美味しいよね」
ラフマニノフ「霊体で長い間、生活していると、とにかく刺激が欲しくなる。肉体があった時の痛みすら、痛覚すらありがたくなるよ。疲れとか、しんどさとかね。それすら嬉しくなる。よし、今度はサッカーしに行こう!」
2人はサッカー大会に出場することにした。
ショパン「うーん。僕のこの肉体はあまり運動神経、体力がないみたい。まあ、肉体はくじ引きでランダムに決められて、自由に自分の意思で決められないから、仕方ないよね」
ラフマニノフ「サッカーやってみたら意外とうまいかもしれないな。俺は。さあ、ウォーミングアップにランニングしながらサッカーの試合会場に行こうか」
2人はサッカーをやるといっても初心者なので、初心者枠の大会にエントリーした。
サッカー歴1年未満の人たちが集まる会場だった。
簡単なルール説明から始まった。
サッカー会場はショパンとラフマニノフが来たことで他の人たちが騒ぎ出した。
「握手してください!サインください!」
そんなのばかりだった。
ショパンとラフマニノフは互いにFWとして登録され、試合開始した。
自身の予想を反して、ショパンはとってもドリブルが上手だった。
何より、サッカーを初めてプレーして、その面白さの虜になってしまった。
他のチームメイトにパスを送らずに、ドリブルばかりして個人で突破しようとする姿勢が強すぎて、しだいにショパンにパスが送られなくなる。
ドリブルは上手だが、シュートはとっても下手で何度も決定機を逃した。
ラフマニノフはショパンとは反対で、ドリブルは苦手だが、シュートがチームナンバーワンだった。
とは言っても初心者の中限定だが。
ショパンは「なんでパスをよこさないんだ!!」ってチームメイトを責めたが、言い返され、反論できなかった。
チームメイト「ショパンさん。あなたはチームワークを重視してください。一人だけでプレーしないこと。しっかり、味方にパスをしながら、ドリブルをしていってください。それができないなら私たちはパスはしません」
ショパン「分かったよ」
ラフマニノフ「本当に分かっているのか?」
ラフマニノフは汗をかく気持ちよさ、肉体を持ち、太陽がさんさん照り付ける暖かさ、暑さにすごく幸せな気持ちでいっぱいだった。
ショパンはチームメイトに注意され、少し自信を無くして元気がなくなっていた。
試合が開始され、ショパンにボールが渡った。
ショパンは得意のドリブルで5人をかわし、初めてラフマ二ノフにパスを通した。
そして、ラフマニノフが得意のシュートで右上隅にゴールし、3-2で勝利した。
しかし、ラフマニノフは下剤の影響で漏らしてしまった。
あの排泄物の匂いが周りを包み、肉体装備ペンダントをラフマニノフは外し、みんなに迷惑かからないように名残惜しむように、霊体に戻った。
霊体に戻ったことで、匂いも消えた。
ショパンもすぐにペンダントを外し、ラフマニノフと同じように霊体に戻った。
ショパン「ラフマ。ナイスシュートだったよ。協力して、試合に勝てたことは本当に嬉しかった。でも、漏らすのは恥ずかしいね。でも、肉体があるからこそ感じられるものがあるんだよね。なんだか、肉体で死ぬまで暮らせる物質界、地上世界が恋しくなったよ。この霊界では、霊体だから刺激がなくなり、退屈を感じるようになるんだよね。だから、不自由を味わい、刺激を味わうために苦痛ばかりの地上世界に人は生まれていくんだね」
ラフマニノフ「非常に言いずらいが、漏れるか、漏れないか、出るか、出ないかの境目の時が一番気持ちいい。我慢しているときの快感はなかなか忘れていたよ。あの頃の感覚が蘇ったよ」
ショパン「そうか。僕も味わえないかな?」
ラフマニノフ「それはまた今度な。肉体を持てる幸せは計り知れないよ。それに気づいたよ。みんなも気づくといいな。今、肉体をまとい、物質界で生きている人は、いずれ、霊界に来たら、霊体で生活することになる。肉体の醍醐味を味わえるのも今のうちなんだって。そうすれば、少しでも肉体でいられるときの今がいかに貴重で幸せかが分かると思う」
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ショパンとラフマニノフは音楽学校「エキスパートピアノ」の校庭の敷地に自分たちの手作りの家を建設しようとしていた。
ショパン「家を手作りできるのも、霊界ならではだね。音楽家が建物を建てるなんて地上世界では絶対に無理だよね。大工とかの仕事だからね。でも、この物体建設機を使えば、設計図通りに建設してくれるから、便利だよね」
ラフマニノフ「でも、物体建設機に頼らず、俺らだけで作りたいと思うんだが、どうかな?お粗末で簡単なものでもいいからさ」
ショパン「じゃあ、作ってみようよ。実際に。できれば木製の建物がいいな。木が好きなんだよ。僕は」
ラフマニノフ「俺たち気が合うな。実は俺も洒落てはいなくても、頑張って作った俺たちオリジナルの建物を作りたいと思っていてな」
ショパン「自分たちだけで作った建築物か。なんでもいい。作ろう」
建築の基本のキの字も知らない2人がいきなり建てられるわけもなく、途方にくれてしまい、結局、全然進まなかった。
物体建設機では、設計図さえあれば誰でも作ることができるが、それでは2人の本望ではない。
2人は至急、音楽学校の全生徒に向けて、校内放送をした。
「全生徒に告ぐ。ショパンとラフマニノフ先生が家を建てるらしいので、建築関係の資格、知識、技術がある人は至急、校庭の職員室の前に集まるように!」
結局、4人が集まった。
その4人がショパンとラフマニノフの願いを聞き入れながら、家を手作りしていった。
ショパンとラフマニノフは4人の大工などに頼むだけでは物足りないので、釘を打つ手伝いをしたり、木材などの資材を運んだり、手伝いまくった。
「パシュン、パシュン」
ショパンは自動くぎ打ち機に恐怖のあまり、股間に寒気がした。
あれで体をやられたらどんだけ痛いか。あれが地上世界で使われているとなると、使い方しだいでは超危険で、恐怖だなと思った。地上世界を卒業していてよかったと思ったほどだ。
大工の1人「ショパン。もっと早く木材を運んでくれ。これではいないほうがいいくらいだ」
ショパン「なんだと?僕は校長だぞ?なんでそんなに偉そうなんだ?いばるな!」
大工の1人「うるせえよ。黙って言うとおりにしな!」
大工のそのまた1人「すいません。ショパン先生。この人は飛びぬけて高い技術を持つ職人さんで、プライドがめちゃくちゃ高くて、作業中のみ、乱暴な悪い言葉遣いになってしまいます。作業が終われば、優しい性格に戻りますので、耐えていただけますか?彼がいないといるでは天と地の差で仕事の進むスピードが変わります」
ラフマニノフ「威勢があっていいな。面白いな。仕事中だけはミスしないように全集中してるからこそ、神経使っているからこそ、口が悪くなるんだな。それだけ情熱を持って仕事しているんだ。ショパン。耐えろ!」
ショパン「ラフマには全然あんな態度しないのに。人によって変わるのはどうかと思うけどね」
結局、休憩をはさみながら、25日間で簡素な木材で建設された家は完成した。
ショパン「25日間もかけるつもりなかったんだけどね。建築仕事を完全に舐めてた」
ラフマニノフ「俺はスゴイ楽しかったぞ?ありがとな」
「こちらこそ、こんな偉大な仕事を任されて光栄です!」
地盤調査、地鎮祭、地盤改良工事、地縄張り、根切り、地業、捨てコンクリート、配筋工事、生コンクリート打設、内外部給排水工事、土台敷き、足場組み、建方工事、上棟式、屋根工事、サッシ設置工事、中間検査、電気工事、断熱工事、床下地工事、外壁工事、クロス貼り、床フローリング・タイル貼り、造作工事、建具設置、足場外し、照明工事、電気の調整、その他の設備施工、外構工事、竣工検査、引き渡し。
これらの一般的な新築住宅が建てられる流れを無視することもできたが、結局、全てを実行した。
最初は簡素でいいとか、適当でいいとか言っていたが、4人の集まった大工などに説明され、家を一から建てるには、たくさんの工程を経る必要があるということを知った。
ショパンとラフマニノフは家を建てるだけで、こんなにやることがあるのだと甘く見ていたのだ。
しかし、できるかぎり初心者なりに手伝ったので、なんだかんだ言って、ショパンとラフマニノフのオリジナルの家が完成した。
2階建てでほぼすべて木製になっている。
ショパンとラフマニノフの交換日記が展示されていて、全て見れる。
また、2人の自筆譜や、ショパンとラフマニノフの
出演の映画もある。いずれも、この家でしか見られない。
また、ラフマニノフのコーヒーカフェが設備されている。
音楽学校の全生徒の中で一日10人限定で入場券がランダムで配られる。なので、みんな自分が当たらないか毎日、ワクワクできる流れになっている。ランダムなので、優秀な生徒のみに配られるというわけではないので、この音楽学校でしか見られない貴重なショパンとラフマニノフの交換日記などが、よりいっそ、この学校の価値を高めていることになる。
2人のファンだったら、ぜひ、入学したいところだろう。
ちなみにショパンとラフマニノフの特別なサインも1人1枚、必ず行けば手に入るようになっている。
また、ショパンとラフマニノフの様々な伝記や本などが何十冊とそろっている。
そして、何より、ショパンとラフマニノフが開発したお菓子「ストロベリークッキー」が売られている。
4人の大工には入場券を特別に発行してあげた。
ショパン「ラフマ。やっとできあがったね。これで、この学校の魅力がまた1つどころか3つくらい増えた!!!嬉しい!」
ラフマニノフ「新しいことにどんどんチャレンジしていこうな。モーツァルトとベートーベンの学校に負けないようにしていこうな。俺たちはあくまでピアノを愛する、ピアノに全てを捧げていくという同志だからな」
35
ショパンとラフマニノフは温泉に来ていた。
いつも来る温泉だ。
大きなライオンの石像の口からお湯がジャバジャバ出ている温泉。
床や壁や天井など全て大理石。
2人のお気に入りの場所で、最近は3日に1回は来ている。
ショパン「ああ、気持ちいいね。ここは最高だね。この白いおしぼりの匂いがまた何とも言えない。最高!!」
ラフマニノフ「温かい熱っしたタオルの肌触りや匂いは実は俺も好きなんだよ。だから、顔にそのタオルをかけて、温泉に浸かるんだ。タオルは必須だよな」
ショパン「あっ!ゲン!来てたのか?最近、よく会うね!」
ゲン「ショパンさんとラフマニノさんの裸の付き合いの仲になれることが嬉しいな」
いきなり、ゲンは牛乳を取り出した。
ゲン「霊界最高の牛乳、バンバです。よく、温泉後の牛乳はみんな飲みますが、温泉に入っている最中に牛乳飲むのはなかなかやる人いないんじゃないかな。だから、斬新なことを大切にしているお二人なら一緒に飲んでくれますよね!」
ショパン「うーん。あれ、カメラがある。なんで?」
ゲン「今日はこの温泉のCM撮影を少し手伝ってもらいたいんです。ショパンさんとラフマニノフさんに出演してもらいたい。僕は実はこの温泉のオーナーなんですよ。知ってました?」
ラフマニノフ「そうなんだ、ショパン。ゲンはコーヒー屋の他に、この俺たちのお気に入りの温泉も経営しているんだ!ゲンとは友達だから、どうか手伝ってあげようと思っているんだが、ショパンもCMに出演してくれないか?」
ショパン「ギャラは?」
ゲン「僕のコーヒーで!」
ラフマニノフ「ゲンの淹れたコーヒーを毎日、飲むことができる。それだけで十分だろ?ショパン」
ショパン「まあ、ゲンとは友達だし、たまにはノーギャラでいいよ。話を察するに、温泉中に牛乳を僕らが飲んでいるところを撮影し、CMで使うということかな?」
ゲン「察しがいいですね。その通りです。二人には牛乳の温泉に入ってもらいます。牛乳の温泉に入りながら、牛乳を飲みながら、あるセリフを発してもらいます」
「いい湯だな。僕ら、温泉の牛乳が大好き。みんなで浸かってしまうほどのおいしさ!ゲンの温泉牛乳なり!」
ショパン「えっ?? 牛乳に浸かるの?てか、牛乳を宣伝するの?」
ゲン「はい。コーヒーと牛乳はとても相性がよく、切っても切り離せない間柄。牛乳も売り出したいのです!」
こうして、CM撮影が始まった。
まず、ショパンがピアノ演奏し、ラフマニノフが指揮をし、ピアノ協奏曲を弾いている映像が流れます。
「ショパンとラフマニノフ。2人の天才音楽家が音楽をそっちのけになってでも、気になって入ってしまう温泉。ゲン温泉!」
と僕がナレーションをし、ショパンとラフマニノフは演奏を止め、いきなり退場してしまいます。
そして、温泉に到着し、温泉に浸かる映像が流れます。
そしたら、
「その温泉の牛乳は、ショパンとラフマニノフがファンになり、気持ち悪くて吐いてしまうほど飲んでしまうほどの味わい!」
と僕のナレーションがかかります。
そして、3人で一斉に
「ゲンの満腹牛乳!」
と叫び、牛乳瓶を掲げて、飲み、終わります。
ゲン「ってな感じですかね」
ショパン「それなら僕からアイデアが!」
ラフマニノフ「なんだ?? アイデアって」
ショパン「僕たちがピアノ協奏曲を演奏しているところで、ゲンが無理やり、僕たちを引きずりながらゲン温泉まで連れていく。
そして、
『無理やり、連れていきたくなる温泉』
というフレーズを使った方がいいと思うんだけど」
ラフマニノフ「そうだ。俺からも提案なんだが、CMの最後に、腰にかけていて白いタオルが取れてしまい、股間を隠し、恥ずかしがるというものはどうだ」
ショパン「出た!ラフマって変態な気が少しあるかもね。露出狂とかじゃないよね??」
ゲン「そうですね。2人からアイデアをもらえるなんて嬉しいです。自分一人だけの考えでCMを作っても、嬉しくない。みんなで作り上げることを一番大切にしたいことですからね。分かりました。それも全て採用しましょう」
こうして、CM撮影はなんとか終わった。
3人はCM撮影後、温泉にまた浸かった。
ゲン「なんとかCMが出来上がりました。オンエアが楽しみです。ショパンとラフマニノフが温泉のCMに出るなんて、なんか新しいことやってるなって嬉しくなります」
ショパン「ゲン。いつも思うんだけど、ゲンも僕らの音楽学校に入らない?エキスパートピアノに。ゲンには才能があるかもしれない」
ゲン「いえ、私はシンガーソングライターであり、ピアノの才能はないです。それは、以前、僕もピアノに興味を持って練習をたくさんしましたが、先生のラフマニノフに向いてないと言われてしまったのです」
ショパン「ラフマが『向いてない』って言ったの?君に?ラフマらしくないなあ。才能が無い人こそ、これから努力して、練習して、天才にしてやるって、困難なことほど燃えるタイプの先生なのに」
ラフマニノフ「ゲンは本当に残念だった。いくら教えても上達しない。英雄ポロネーズも弾けないんだ。でも、ゲンの作る曲は、作曲はとてもセンスがある。個性的だ。ピアノは弾けないが、それをカバーする魅力
がゲンにはある」
ゲン「自分でもとてもショックでした。ピアノが上手くなりたいのに、それが叶わないなんて。才能がなかった」
ショパン「宇宙の神、ミヤザワトモヒデに頼んで、記憶力を変えてもらえば?? そういう方法があるらしいよ。記憶力を意図的に秒速で向上させる機械があるらしいよ」
ゲン「いえ、それでは僕が僕ではなくなります。僕はありのままの自分でいたい。ピアノが下手なのも、自分という人間のカラーなんですよ。ピアノが死ぬほど上手なショパンみたいな人もいれば、逆の僕みたいな人もいます。それでいいんです。自然に任せたい。でも、まだあきらめてないんです。心の底では。だから、家に帰ってピアノをいじってます。記憶力を上げる脳トレもしてますし。その目標や目指すべきものを達成するまでの過程が一番幸せだし、楽しいのです。過程をこれからも楽しんでいきたいです。全てが初めからうまくいき、持っている人には同情します。試行錯誤して、達成するまでの面白さを味わえないのだから」
ラフマニノフ「そうだ。その意気だ?相棒よ」
ショパン「ちょ。相棒は僕でしょ?ゲンも入れるの?三角関係じゃん。それじゃあ」
ゲン「ショパンさんのラフマ愛はとてつもないですね」




