まとめ♯2
第6話
ラフマニノフ「このポスターは私が一番真正面でショパンはオレに背を向け、すこし顔を振り向いている感じにしよう」
ショパン「なんで君が正面なんだよ。2人で正面を向いている感じにしようよ」
ラフマニノフ「それでは単純すぎて、工夫がないだろう。ポスターを一万枚印刷しよう。我が音楽学校の宣伝であり、顔になるんだからな。ピアノを弾いているショパンと指揮している私が写っている感じにしよう」
ショパン「そこは賛成だ!だが、一万枚もいらないと思うな。千枚くらいにしようよ。持ち運びが大変だよ。何キロになると思う?」
ラフマニノフ「すべて私たちが直に宣伝カーで宣伝しながら、各学校を回ろう。劇場にもね。このポスターを見るのは音楽関係者が望みだ。音楽が好きな人の目にとまるようにね」
ショパン「僕、恥ずかしいから、君が宣伝カーで拡声器を使って宣伝してよね!」
ラフマニノフ「いや、ショパンにもやらせるよ。たまには新しいことにも挑戦し、器を広げる努力をしたらどうだ?」
ショパン「わかったよ。声が馬鹿デカいラフマニノフがたくさんしゃべったほうがみんなに伝わると思うけどね。僕、しゃべり下手だし」
こうしてラフマニノフとショパンは宣伝カーで霊界の各地の学校や劇場を回った。結局、すぐに宣伝カーで啓蒙活動を始めると、人だかりで車が走れなくなるほどだった。一目、ラフマニノフとショパンという史上最大級の超一流音楽家に実際に会いたいとたくさんの人が押し寄せてきたのだ。印刷したA4のポスターをみんなに配り、一万枚があっという間に消え、足りなくなった!
ショパン「あー!疲れた!まさか、あんなにいっぱい人が来るとは!」
ラフマニノフ「私がいるから当然だろ!会いたくなるに決まってる!もっとポスターを印刷しておけばよかったな。いろんな人が自分から来てくれたから、私たちから移動して渡す手間が省けたな。まあ、劇場とかに置くポスターが足らなくなってしまったから、明日は五万枚持っていこう」
ショパン「でも、この営業活動、初めてにしては上出来だと思うよ。新聞にも大きくニュースになるしテレビ局の取材も来たから、明日は大変なニュースになっていると思うよ」
ラフマニノフ「はい!相棒!」
ショパン「またコーヒーか?飽きないの?まだ、コーヒーの研究してるんだね」
ラフマニノフ「ノートにコーヒーの特徴を記録し、コーヒーのプロフェッショナルになるのだ。私はなんでも中途半端は嫌いだからな」
ショパン「今回はブルマンなんだね。今までで一番おいしいよ。それより、さっき相棒!って言わなかった?僕、君の相棒になったつもりないんだけど。同盟だよ。お互いに利益があるから組んでいるだけだよ」
ラフマニノフ「一緒にこれだけ行動していれば、相棒と呼んでもいいだろ!ダメなのか!」
ショパン「ダメなんて一言も言ってないよ。なんか、照れくさくて!でも、僕、君と組んでよかったよ。いろいろと楽しいし。いい刺激になるよ!」
ラフマニノフ「コーヒーの感想を700文字以内にして述べよ!」
ショパン「え?本当に君はめんどくさい男だな!このコーヒ―は甘さが際立っていて、豆本来の味がしっかり際立っている。なかなか飲めない味だよ。今までのコーヒーの中で一番おいしいね。以上!」
ラフマニノフ「700文字以内いっていったはずだ。全然感想が少ないじゃないか。普通、700文字以内と言われたら、600文字以上とか言うだろう。それに、君はコーヒーあまり飲まないから今までで一番おいしいと言われても、参考にはならないな」
ショパン「うっ!本当に君はめんどくさいね。とにかく美味しいよ!君が紹介してくれた今までの20種類のコーヒーの中ではダントツで独特な味がして、美味しいね。千円くらいだしてもいいかな!」
ラフマニノフ「安すぎるな!どれだけ高級なブルマンだと思ってる?」
ショパン「僕はケチじゃないよ。いくらしたの?」
ラフマニノフ「これは500円だ!」
ショパン「じゃあ、元は取れるからいいじゃん!全然高級じゃないし!」
車の中で話していると、少年が近寄ってきた。
少年「ショパンさんですよね!実際に会えるなんて思わなかった。サインください!」
ショパン「君、僕たちの運営する音楽学校に来ていたよね。体験会だっけ??」
少年「そうなんです!ショパンさんに教わりたくて!昔から大ファンだったんです!」
ラフマニノフ「君!私はショパンの相棒だ!私たちに教わりたいならそれなりの能力が必須だが自信あるのか?厳しいぞ?」
少年「はい。才能は多分、ないです。自信は正直ありません。でも、努力でどうにかしてみせます」
ラフマニノフ「まあ、がんばりたまえ。努力だけではどうにもならないこともあるが、全力を尽くし悔いを残さないでやりたいことをやりたいだけやりなさい!」
ショパン「ねえ、君が持っている時計。それ、古城『フルブルス』の永久会員権だよね」
少年「そうです。興味あるんですか?これは僕が霊界最高のサッカー選手に選ばれたときの特典でもらったものですが」
ラフマニノフ「君、サッカーの天才だったのか?ならなんで音楽学校に入ろうとしてるんだ?サッカーは辞めるのか?」
少年「サッカーはもう頂点を極めたので、たまたまショパンの舟歌を聞いて、ピアノの魅力にとりつかれてしまい、音楽に興味を持ちました。ピアノ曲を作曲したいし、ピアノでショパンの作品を演奏したいです!」
ショパン「その永久会員権を一緒に使わせてくれたら、その度に私個人で君に作曲と音楽理論とピアノ演奏のレッスンを一カ月つけよう。3人まで同行可能なんだよね。その会員権。古城は昔から行きたくて興味があったんだ。城の雰囲気がとにかく好きだからな。霊界最大の城なんて最高じゃないか。そこでしか食べれない料理にも興味があるし、そこでしか演奏されない音楽があるらしいから聞いてみたい!!」
少年「お安い御用です。しかし、誓約書を書いてください。必ず約束は守ると!」
ラフマニノフ「君、ショパンを信用してないのか?」
少年「口約束だけでは信用できません。そう、親からきつく教わりました」
ショパン「その古城フルブルスにラフマニノフも連れていくけど、いいかな?」
少年「はい。もちろんです」
ラフマニノフ「私はショパンみたいにレッスンをつけないぞ?君を特別扱いするつもりはない」
少年「ショパンさん。さっきの誓約書とかは冗談です。レッスンはしなくていいです。永久会員権を利用して、ショパンに教えてもらうとなると、卑怯な気がします。あなたたちの音楽学校でライバルと切磋琢磨して、才能で正式に選ばれてみせます!そうじゃないと、自分が納得しません!ショパンさんやラフマニノフさんに習うのはしっかり才能で選ばれた10人に選ばれてからにしたいです!」
ラフマニノフ「少年!素晴らしい心構えだ!気に入った!コーヒーでも御馳走しよう!」
3人はしばらく話しまくっていた!
第7話
ショパンとラフマニノフは少年「響希」くんのために花屋さんに来ていた。
ショパン「母親にプレゼントする花なら、すみれをおすすめするよ。香りがとにかく癒されるし、飾っておくだけで雰囲気が良くなるし、私は砂糖にまぶして食べたりもしたよ」
響希「食べたんですか?すみれって食べれるの?」
ラフマニノフ「これこれ、ショパン。食べるなんて可哀想だろう。花だって一生懸命生きているんだからな」
ショパン「そんなこといったら、コーヒーだって豆から作る。豆だって立派に生きているんだから人のこと言えないんじゃないか?コーヒーたくさん飲んでいる君は」
ラフマニノフ「コーヒー豆と花を一緒にするな。花は飾るためにあるんだ。食べるためじゃない」
響希「あの、なんでいつも言い合いになるの?仲良くしてください」
ショパン「そうだそうだ!ラフマはいつも突っかかってくるからな!冷静な響希くんを見習いなさい」
アゲハ「あんたたち、私の存在を忘れないでよ。すごい疎外感だわ。私が響希を可哀想だと思い、幽体離脱して連れてきたんだから」
ラフマニノフ「響希くんは霊界は初めてかな?」
響希「ええ、とても美しい場所だと思います。目が見えるってこういうことだったんだって忘れてました。憧れの2人に会えてうれしいです。ラフマニノフの2番とショパンの2番が特にお気に入りです。こんなロマンティックな曲を作曲した人はどんな人なのか興味がありました」
ショパン「すべて聞いてくれたの?僕の生前の240曲程。もちろん、ラフマの曲も聞いたんだよね?」
響希「ショパンさんのは舟歌、バラード4番、練習曲「木枯らし」など約10曲。ラフマニノフさんのは全て聞きました」
ラフマニノフ「君!さすがだ!ショパンより私の曲の方が魅力的だから全て聞いてくれたんだろう!」
ショパン「君、僕の曲全然聞いてないじゃん。10分の1も聞いてないじゃん。ラフマだけずるい!」
ラフマニノフ「残念だったな!ショパン!私のが優秀なのだ」
ショパン「これからは全て聞いてよね!絶対だよ!」
響希「分かりました。ショパンさんのも全て聞きます。ラフマニノフさんのピアノ協奏曲2番だけでショパンさんより優秀な作曲家だということが分かりました。オーケストラの使い方がうまいですね。ラフマニノフさんは」
ショパン「ピアノが本当に好きな人には私の曲の方が響くはずなんだけど、響くのは名前だけだったのか?」
ラフマニノフ「寒いぞ!ショパン!」
響希「これからはショパンさんのも無理やり聞きます。嫌でも聞きます。だから、許してください」
ショパン「音楽は嫌々聞くものではない。もし、自分の好みに合わず、退屈で嫌になるなら聞かなくていいぞ!私の曲の良さを知っている人はいくらでもいるからな」
響希「ショパンさんよりラフマニノフさんのほうがかっこよくて好きです。身長が大きく、手も大きく、顔も素敵で、ピアノ演奏技術も極めて高く、素晴らしい音楽家ですよね。ショパンさんはほとんどピアノ専門作曲家なので、オーケストレーションが使えるラフマニノフさんのほうが作曲家として優れていると思います」
ラフマニノフ「さすがだ!少年!ショパンも確かにスゴイが、私はもっとスゴイ!」
アゲハ「どう考えたって、ショパンの方が作曲家として優れているでしょ。何、二人とも現実から逃げてるのよ!それより、早く、すみれの花でも買って、母親に届けてやりなさい!」
響希「この花はショパンに捧げます。すみれが大好きだってことだから、すみれの花を。ラフマニノフさんばかり優遇してしまい、悪いので。ラフマニノフさんには、バラの花を!」
ラフマニノフ「私ってバラが似合うのか?」
アゲハ「響希くんって変わった感性してるわね」
ショパンはすみれを。ラフマニノフにはバラを。
響希くんは憧れの2人の作曲家の顔を見て、興奮した夜を過ごした。
第8話
ショパンとラフマニノフは大スターのユウジロウのプロモーションに入りたいということでオーディションに来ていた。
三千人近い応募者の中に、ショパンとラフマニノフはいた。
ラフマニノフ「ユウジロウや。私たちは地球でも超有名な音楽家だった。だから、オーディションなんかしなくても採用して、合格にしてくれるだろう?」
ユウジロウ「ちゃんと、オーディションに参加して正式に受からないとだめだよ。あんちゃん」
ショパン「そうですよね。私たちだけ特別扱いしたら、私たちより格下の参加者が不公平ですよね」
ユウジロウ「格下ってなんだよ。君たちより偉大な人たちが来ているぞ?」
ベートーベン「私たちのことかな?」
ラフマニノフ「なんだ。ベートーベンとモーツァルトも来ていたのか?こりゃ、大物だ!」
モーツァルト「ショパンはピアノー傾倒。ラフマニノフは私たちのまさに格下。相手にならないね」
ショパン「なんだ!!!決めつけるなよ!今回のオーディションは映画の作曲家を決める大会なんだから。クラシックしか作曲したことない私たちじゃ、不利かもしれないだろ?」
ユウジロウ「いや、君たちのクラシック映画音楽専用のポストを用意している。しかし、2人までだ!がんばって合格してくれ!」
ラフマニノフ「クラシック映画音楽専用ならショパンは受からないかもな。よりオーケストラの使い方が重要になるからな」
ショパン「審査基準はどんな感じなんですか?」
ユウジロウ「ピアノオンリーでも大丈夫だ。より魅力的で愛されそうな甘美なメロディーを生み出せる作曲家二人を決める!映画を彷彿とさせる内容が何より重要だ」
こうして、オーディションは開幕した。
映画「男たちの魂」という戦争に行った男の生き様を曲にする。
結局、オーディションは「ピアノ協奏曲」で勝負することになった。
結果、ラフマニノフとベートーベンが採用された。クラシック専用の作曲家たちは他にも30人ほどいたが、やはり、この二人は別格だった。ラフマニノフは特にトップ合格した。ラフマニノフの甘い旋律とベートーベンの力強い旋律が合っていたみたいだった。
ショパン「なんで僕のピアノ協奏曲は採用されなかったんですか?悔しいです。今までたくさん作曲して、腕を磨いてきたのに!」
ユウジロウ「ショパンの場合、怒りを感じる旋律が不足していた。全くなかった。終始、いつもの君らしい甘すぎる旋律が繰り返されるだけだった。また第3楽章がラフマニノフのほうが優れていた。あと、やはり、オーケストラが目立たないところは変わっていなかったな」
ラフマニノフ「ショパン!残念だったな!私の方が格上ということだ!」
ショパン「きーーー、悔しい!!!」
ユウジロウ「モーツァルトはこの4人の中では最下位だったな。2位ベートーベンで3位ショバン。4位がモーツァルトだったからな」
モーツァルトは鼻水を垂らし、呆然としていた。
モーツァルト「なんで最下位なんだ。地球のクラシック作曲家ランキングで1位だったのに」
ユウジロウ「君は浅い。深い感動が全くない。明るすぎる曲想だからな。戦争は明るいだけじゃだめだ」
モーツァルト「私には向いてなかったのか。」
ユウジロウ「まあ、モーツァルトは曲の多さよりも少なくてもいいから曲の質を高めよう。ショパンとモーツァルトがくっつくとより成長すると思うよ?」
ショパン「えっ?僕、ラフマニノフから離れるのは嫌だよ!」
ラフマニノフ「また、音楽学校は始まったばかりだ!これからも一緒だから大丈夫だ。ショパンは本当に寂しがり屋だな!」
ベートーベン「ショパンのピアノ曲を作曲する才能はここにいる誰よりも高い。私も見習いたいくらいだ」
ショパン「ベートーベンにそんなこと言ってもらえるなんて嬉しいです。ラフマニノフをよろしくお願いします。仲良くしてやってください。偉そうだけど、いい奴なんです!」
ラフマニノフ「私のことがそんなに好きなのか?じゃあ、今日の夕飯はお前の大好物のガーリックマヨネーズステーキを作ってやる!」
ショパン「もう三回連続それじゃん!!いい加減にしてよ!ラフマニノフらしいな!」
モーツァルト「私もラフマニノフの食べてみたい!」
ベートーベン「同意!!」
こうして、四人はラフマニノフの家に向かった。
第9話
ショパンとラフマニノフは青空と太陽がさんさんと照り付ける雲の上でリラックスした状態で浮いていた。
ここは霊界。どこでも行けるのである。綺麗なブルー色の空と暖かい太陽が快感でほぼ毎日、ここに来るのである。
ショパン「ねえ。ラフマニノフ。今度、人気投票っていうのやってみない?霊界全体で、ラフマニノフと僕。どちらが人気があるのかっていうのを知りたいんだ」
ラフマニノフ「なんでそこまで俺との対決にこだわるんだ?」
ショパン「どうしても君に勝ちたくて仕方ないんだよ。人気も作曲の実力も」
ラフマニノフ「安心しなさい。一生、俺には勝てないだろうからな。アハハハハ」
ショパン「絶対に勝ってやる!それより、ここはいつ来ても最高だよね。太陽がちょうどよい温度で、居心地がいいし、ものすごい幸福感に包まれるんだ」
ラフマニノフ「俺がいるからだろう。俺がお前の太陽だからな」
ショパン「そういうギャグはいいよ。今、すごい寒くなったよ」
ラフマニノフ「まあ、ずっとここにいたいよな。俺はここで思考にふけるのが好きなんだ」
ショパン「どんなこと考えているの?」
ラフマニノフ「俺は、お前に会うまでは不幸だった。寂しかった。孤独だったんだ。生前からショパンのことは尊敬していたが、まさかこうやって死んでからこっちの世界で相棒になるなんて思ってもみなかった。生きていれば何が起こるか分からないな。とにかく、ショパンは最高のダチだってことだ」
ショパン「よせやい。照れるじゃないか。僕だって、ラフマニノフとバディになれてよかったよ。なんかバカなところが面白いし」
ラフマニノフ「バカは余計だよ!まあ、俺は生前は死んだら終わりだと思っていた。死後の世界があるなんて微塵も思わなかった。人は霊界で永遠に生き続けると知った時、絶望したんだ。生前は孤独だった。人には言わなかったし、態度にも出さなかった。隠していたんだ。絶望を。でも、永遠に生きるのは嫌だ。ひとりぼっちというか、虚無感に永遠に苦しめられるんだと思っていたら、ショパン、お前が現れた。ありがとう。救われたよ。俺は一人じゃないんだって」
ショパン「今日のラフマはなんかおかしいよ。すごい感傷的になって、センチメンタルなことばかり言うね。いつもの君らしくないね」
ラフマニノフ「これからもよろしくな」
ショパン「それはこっちのセリフだよ。僕はラフマから離れたくない。絶対に。いつまでも一緒にいよう。最高の相棒よ」
ラフマニノフ「あっ、そうだ。これから副業のコーヒー屋を開業するんだが、全部手伝ってくれないか?」
ショパン「全部?さっきまでの話は手伝ってもらうために言ったんじゃないよね?わざと心に響くようなこと言って、コーヒー屋を手伝わせる算段だったとか?」
ラフマニノフ「それはどうだかな。さあ、コーヒー屋に行こう!もう、すでに準備を始めているんだ!」
ショパン「分かった。そう、焦るなよ!」
こうして、ショパンとラフマニノフはコーヒー屋の開業の仕事に赴いた。
第10話
ショパンとラフマニノフはコーヒー仲間のゲンのところに来ていた。
ラフマニノフ「美味しいブレンドの配合を見つけたぞ。史上最高のおいしさだ。飲んでみてくれ」
ゲン「うーん。これはマンデリン『フレンチロースト7割』、エチオピア『シティロースト3割』」
ラフマニノフ「さすがだな!お前は神の舌を持つ男だな。正解だ」
ショパン「フレンチローストって何?」
ゲン「焙煎の度合いのことですよ。深い焙煎のことがフレンチロースト。やや深い焙煎がシティローストです」
ショパン「焙煎って何?」
ラフマニノフ「焙煎とはローストといい、生豆を加熱して、豆の細胞組織中に糖類や有機酸を精製させ、芳香物質や褐色色素、苦み成分を生成させることだ。ショパンはコーヒーの素人だからな。私たちについてきたくば、しっかりコーヒーの基礎を勉強しなさい」
ショパン「なんかめんどくさいな。僕はゲンさんの入れるコーヒーを飲みたくてついてきたんだよ」
ラフマニノフ「俺が毎日飲ませているじゃないか?俺のじゃ満足できてないのか?」
ショパン「同じ味にしか感じないんだ。僕の舌がおかしいのかな?でも、僕は生前、少年時代にどんぐりコーヒーを飲んでいたことは思い出すよ」
ショパンは自身が書いたシャファルニャ通信1824年8月19日号の文面をラフマニノフとゲンに見せた。
「本年、同月18日、ショパン氏、ドングリコーヒーを七杯飲む。これを八杯飲まなければならない日も近いか」
ゲン「わざわざ証拠を見せつけなくてもいいと思いますけどね」
ラフマニノフ「ショパンはいろいろとこだわる奴なんだよ。こいつにコービーをハマらせたら私たち以上に美味しいコーヒーのブレンド黄金比を発見するかもしれない」
ショパン「僕はラフマに付き合っているだけで、コーヒーは興味ないのが正直なところなんだけど」
ゲン「それより今日はショパンさんと初対面です。ショパンの生のピアノ演奏をぜひ堪能したいな」
ショパン「何の曲がいいですか?」
ゲン「友達のアゲハさんに幽体離脱を習ってから、私は霊界に自由に来れるようになった。そして、あなた方二人と知り合えた。コーヒーを通じてね。あの有名なショパンに会えると聞いて胸が高鳴っていました。英雄ポロネーズを弾いていただけますか?」
ショパン「分かりました。」
ショパンはゲンのピアノで演奏した。
ゲン「ラフマと違ってゆっくりと味わうように弾きますね。これがショパンか。世界中の名だたるピアニストや音楽愛好家たちがショパンの生演奏を聴きたがっていることでしょう。でも、それはいずれ肉体が死を迎えることにより、霊界のショパンに会えるようになることで成就する。死は人間最後にして最大のご褒美なのかもしれません」
ショパン「私に会いたがる人は星の数ほどいます。でも、みんながみんな会えるわけじゃないです。ゲンさん。あなたは幸運ですね。ラフマのコネがなかったら多分、私とあなたは会えてない」
ラフマニノフ「ショパンは霊界でも人気者で、常に客人がひっきりなしに来る。それに嫌気がさしてショパンは槍を使う番人を雇ったくらいだ。無断で来た人を、許可なくショパンの前に現れた人を槍で追い返すんだ」
ゲン「今度、ショパンとラフマニノフの演奏会に私を招待してください」
ショパン「ゲンさん。あなたはシンガーソングライターらしいじゃないですか。ピアノ演奏した代わりに何か歌ってくれませんか?あなたの一番歌いたい歌を」
ゲン「分かりました」
「おはよう、世の中⋯」
ゲンは歌いだした。
ショパン「いい曲ですね。元気が出ます。イントロの出だしが特に好きです。私たちは音楽家として友達3人組になりましょう」
ゲン「友達と言ってもらえるなんて、恐縮です。まだまだあなた方お二人には及ばない駆け出しの音楽家ですから、これから精進していきます」
ラフマニノフ「ゲンは俺たちと違って声帯を使って歌う歌手だ。だから、種類が違うから比べられないよ。それぞれに違う個性や良さがあるからな。私たちはクラシック音楽家だ。ゲンはミュージシャンだ。まあ、天才度でいったら、俺、ショパン、ゲンの順だな。だから、ゲンはもっと私たちの友達に相応しいくらいの天才を目指すんだ!」
ゲン「分かりました。もっと天才になれるように向上していきます」
ショパン「いくらゲンが才能あっても私たちみたいになるのは無理じゃないかな?」
ラフマニノフ「いや、ゲンならショパンを超えられる可能性がある」
ショパン「何だよ。それ。僕のこと甘く見てない?」
ゲン「ショパンを超えられるとは露ほどにも思っていません。ただ、過去の自分と比較して前進できればいいです。さあ、今度は私の選んだ史上最高のコーヒーを淹れましょう」
ラフマニノフ「ショパン、ゲンのコーヒーへの情熱はお前のピアノに対する情熱に似ていると思い、なんだか親近感が湧かないか?」
ショパン「あっ!!!ラフマのコーヒーより全然美味しい。レベルが違う!!!どうしたらこんな美味になるんだろう!!!ラフマはゲンを見習えよ!」
ゲン「そう言われると、嬉しいですね。まあ、これはラフマに教えてもらったブレンドですが」
ショパン「そうだったの?今までのラフマとは違うね」
ラフマニノフ「ゲン、それはないぞ。お前のオリジナルブレンドを淹れてくれ」
ゲン「喜んで!」




