まとめ♯11
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ショパン「これが僕の舟歌をイメージしたカレーだよ!ぜひ、食べてみてくれ!」
ラフマニノフ「よし、食べてみよう!舟歌のカレーってどんな味だ?」
ラフマニノフは一口食べてみると、目を閉じて、体をユラユラさせた。
ラフマニノフ「口に入れた瞬間にショパンの作曲したピアノ曲の舟歌が、頭の中で再生されたぞ?どういう仕組みになっているんだ?」
ショパン「これは、音楽再生料理といって、僕が発明したんだ!霊界で初めてらしくて、特許を取ったんだ!!!ラフマに負けないビジネスをして、ラフマに負けないくらいお金を稼ぎたいからね!」
ラフマニノフ「ものすごい発明だな。きっと売れるぞ?でも、どういう仕組みなんだ?」
ショパン「地上世界では科学的に絶対に無理だけど、霊界では可能だったんだ。カレーの材料に私がピアノ演奏を聞かせて、材料の中の記憶分子に音楽を記憶させるんだ」
ラフマニノフ「よく、分からないが。とにかく、食べた時に、録音された音楽が脳内で再生されるんだな?」
ショパン「そうだよ!今日、この音楽再生料理である舟歌カレーを、霊界のコンビニに置いてもらえように、商社に交渉するんだけど、ラフマも来てくれないかな?」
ラフマニノフ「自分の力でやってみろ!俺が助けたら、お前が満足しないだろ?」
ショパン「でも、お互いに助け合い、協力するって決めたじゃん!」
ラフマニノフ「お前の力を伸ばすためだ!なんても助けていたら、お前が成長しないだろ?」
こうして、ショパンはただ一人で商社に、この音楽再生料理の「舟歌カレー」を売り出すことにした。
舟歌といえば、ショパンの傑作だから、売れるだろうと思っていたのかもしれない。
商社にいくら電話し、メールし、直接出向いて、話だけでも聞いてもらえるようにと、粘り、やっと会議室へと通された。
商社の営業マン「そんなのカレーを食べながら、CDでも流して、舟歌を聞けばいい」
と需要がないと言われてしまった。
ショパンは必死に説明した。
ショパン「このカレーには、私の生演奏が録音されています。CDを買ったり、演奏会に来なくても、このカレーを食べれば、私のCDでは味わえないオリジナル演奏の舟歌が、体に振動するように響き渡ります!!!」
商社の営業マン「しかし、音楽はまあいいとして、味がイマイチなんですよ!!!」
ショパン「えっ?そこですか?あっ、確かに音楽が流れるだけばかりを重視していて、味はあまり気にしてなかったです!!!」
商社の営業マン「カレーが不味ければ、音楽を聴きたいとは思わないでしょう。カレーが美味しければ、音楽に興味がない人でも買ってくれるでしょう。味とオリジナリティ『音楽再生』を両立させなくてはなりません!私たちが独自に紹介する人気ナンバーワンのカレーとコラボしてはどうでしょうか?味まで開発していたら、時間がかかりますし!この音楽再生料理のアイデアはとても斬新で良いものですから」
ショパン「いいえ、僕は味もイチから研究して、私だけの力で作り上げて見せます!!!大好きな相棒に言われたんです!自分の力でやらないと成長がないって!!!」
そういうことで、ショパンは自力でカレーの研究をしようと思っていたが、ラフマニノフから意外な提案をされた。
ラフマニノフ「ショパン。実は、『俺のカフェ』でお前の音楽再生料理を使いたいんだ!カレーを開発することは手伝わない。お前が一人でやってみろ!でも、カレーを開発できたら、『俺のカフェ』でメニューに出してみよう。そこから、カフェが有名になれば、お前の商品も話題になり、売れて、商社が幅広く販売してくれるかもしれないからな!!!」
ショパン「でも、自分一人の力でって......」
ラフマニノフ「それは、カレーを開発することに関してはだ!!!全てとは言ってない!!!協力してこそ俺たち相棒だろ?全てを一人でやろうとすると、大きなことは成し遂げられない!ただ、俺はショパンにカレーを独自開発して、自分の力で成し遂げたときの喜びを体験してほしい!」
ショパン「ラフマが自分の会社を起業し、大きくしてきた喜びを僕にも味わえって?」
ラフマニノフ「自分の成長と、人との協力。これで、事は成し遂げられるのさ!!!」
ショパン「そうだね!!!ラフマ!僕、カレーの開発、頑張るから」
72
ショパンは新年度の「エキスパートピアノ音楽学校」の入学生の初見レッスンに顔を見せていた。
入学生の一人がピアノのレッスンを受けていたが、レッスンしている先生はその生徒に困り果てていた。
音符を覚えられないのだ。
記憶力があまりに低かった。
その生徒は「サム」と言う。
先生がその初見レッスンに顔を見せていたショパンに助けを求めた。
先生「ショパン様。手に負えない生徒がいまして.......」
ショパン「わかった。誰だ?」
サムはイライラしているように見えた。
ショパン「どうした?私がショパンだ。わが校へようこそ!どこがわからないんだ?」
サム「記憶できないんだよ!!!楽譜を!!!」
ショパン「では、このように弾いてみろ」
ショパンは自分で簡単なノクターン2番の冒頭の右手の6つの音を弾いた。
サム「えっ?わからない。どう弾いたのかすら......」
ショパンは何度弾いても、記憶できないサムに、こう言った。
ショパン「やる気あるのか?6音すらも覚えられないわけがないだろ!集中しろよ!」
サム「してるよ!!!!!」
サムがピアノの鍵盤を強く叩き、不協和音が教室中に響き渡り、周囲の視線がショパンとサムに集中した。
ショパン「なんだ?その態度は?開き直るな!!!あと20分でノクターン2番の冒頭の右手の10音符すら覚えられないのなら、向いてなかったということであきらめてもらう」
結局、サムは覚えられずに、激怒した。
ピアノの才能が皆無な論外な自分に腹が立って、自暴自棄になり、目の前のピアノを蹴りまくった。
ショパン「サム!!!お前は退学だ!才能がないばかりか、ピアノに八つ当たりか?? お前にピアノを弾く資格などない!!!」
サム「うるせー!バカショパン!!!」
ちょうど、教室を飛び出したサムと入れ違いでラフマニノフが入ってきた。
ラフマニノフ「どうした?ショパン?何があったんだ?」
ショパン「今まではこの音楽学校の門戸を広げて、誰でも希望すれば入学できるようにしてきた。できるかぎりピアノを愛してもらいたいし、楽しんでもらいたいからね。でも、これからは最低限、楽譜を暗譜できるかどうかの、特に記憶力があるかどうかは、入学試験で確かめたほうがいい。最低限のピアノ演奏するための暗譜すらできないなら、入学できないようにしないと、彼みたいな、ノクターン2番の10個の音符すら何分経っても記憶できない、ピアニストになれない人材がこのエキスパートピアノ音楽学校に入ってきてしまい、時間と手間がかかってしまうから。このエキスパートピアノは遊びでやってるわけじゃない。甘かったよ」
ラフマニノフ「どんなに努力して頑張っても、ピアニストになれない、言い方悪いが、無能もいるって認めないとな。そんな無能にまで付き合っていたら、本当に有能な人材に時間を当てられなくなってしまう。無能に付き合う時間がもったいないから、入学できなくするわけだな?」
ショパン「そうなんだよ!本当はできるかぎりの人にピアノの面白さを気づかせたいけどね。これは仕方がないことなんだ。悲しいよね」
ラフマニノフ「自然界の法則で、3%の超一流、10%のまあまあ、60%のボケーとした平凡と、27%の嫌味な斜に構えた脱落組に必ず分かれる。我々はどこに照準を合わせるかだ。もちろん、3%の超一流だ!俺とショパンを超えるピアノ音楽家を育て上げるには、金の卵に時間を割かなくてはな。落ちこぼれには、時間を割く余裕はない!夢のためだ。非情でもなんでもない。この世界は競争社会だ。実力と結果を出せないものは置いてかれるんだよな!よし、これからは最低限、入学試験に暗譜記憶力のテストを設けよう!!!」
ショパンとラフマニノフは自分たちの欠点に気づき、改善することで、またひとつ前進した。
暗譜できない腹いせに、ピアノを蹴り飛ばし、ピアノの一部を破損させたサムは退学になった。
73
僕はある大きな崖へと来ていた。
記憶力が極端に低い僕は、ここでショパンのピアノ曲を記憶するしか方法がない。
「ああ、40分のピアノ協奏曲だから、かなり痛いだろうな!でも、自力で覚えられないから仕方ない」
「記憶物登録」のところにショパンのピアノ協奏曲1番の楽譜を置く。
すると、崖の底が深くなった気がした。
「痛覚記憶の崖」といわれる場所に来ている。
この場所は記憶力が低い人が、どうしても記憶できないものを記憶するときに、恐怖と痛みと引き換えに、強制的に霊体に記憶したいものをインプットするという場所になっている。
記憶させたいものの量が多いほど、質が大きいほど、崖から飛び降りたときに、地面に激突するときの痛みと恐怖が大きくなる。
それを感じて、やっと記憶させることができる。
一生懸命、記憶しようとして、どうしてもできなかった人が、最後に利用する「記憶の砦」だ。
しかし、「記憶力自体を向上させる方法」もある。
それは、「かゆみ部屋」にはいり、全身のかゆみを起こさせ、耐えること。
耐えた時間の長さに比例して記憶力が上がる。
最初から記憶力が強い人が羨ましい限りだが、それは、その人の素質なので仕方ないのだ。
この世は不公平だ。
僕はショパンの40分のピアノ協奏曲を記憶したいからと、崖から飛び降りた。
落下スピードはかなり速い。
普通の人なら何日で記憶暗譜できるのだろうか?
天才で5日くらい?凡人では1か月くらいはかかるか?
それを崖から飛び降りる恐怖と痛みと引き換えに、一瞬で記憶するのだ。
多少は痛いだろうなと思った。
記憶力が低いと言われて、調べまくった結果、ここにたどり着いた。
でも、結局は、「記憶力自体を向上」させないとキリがない。
何かを記憶するたびに、ここに来なくちゃならないのは勘弁だ。
だから、今日は試しに、本当に記憶できるのか試してみて、できたら、かゆみ部屋で記憶力自体を向上させて、僕はたくさんのピアノ曲を弾けるようになるのさ!!!
僕は落下していくーーー!!!
2分ほど落下しつづけて、地面に激突した。
「痛ったーーーー!」
その痛みは「爪切りしていて、少し深く切ってしまった瞬間の痛み」くらいのものだった。
予想したより大したことがない痛みだ。
でも、記憶させる回数と量が増えると、痛みも大きくなるし、手間がかかるからな。
何回も味わうと、さすがにしんどいな。
僕はかゆみ部屋に入ることにした。
何時間、耐えられるかな。耐えた時間の分だけ、記憶力が徐々に、少しずつ向上する。
この世は等価交換。
何かを得るには、何かを犠牲にしなくてはならない。
きっと、この世の記憶力がいい人も、何かしら苦痛を味わったから、その能力が身に着いたのかもしれないな。
私はどうしても、ピアノ演奏をしたかった。
ピアニストになりたかった。
成功者は願望が強かっただけなのだ。
きっと、躊躇したり、戸惑うこともあったでしょう。
でも、願望が遥かにそれを上回っていたのだ。
原動力は
「ピアノを弾きたい!ショパンのピアノ曲を全曲弾きこなしたい!」という願望。
僕は「かゆみ部屋」に入り、記憶力を向上させる苦行を開始した!!!
74
どういうことだ??
記憶力が上がってない。
全然、記憶ができない。
ピアノでショパンの別れの曲を暗譜しようとしても、全然、頭に入ってこない。
サムはイライラしてピアノを殴った。
「ガーン!!!!」
またもや、エキスパートピアノ音楽学校のピアノのように、壊してしまった。
「かゆみ」に耐えた分だけ、記憶力が上がるという方法も、サムには効果が無かった。
なぜか、記憶ができない。
サムは絶望した。
ショパンの「別れの曲」が弾けるようになりたかった。
サム「俺はやはり、才能がない。あきらめよう!」
全財産を使い、新調したグランドピアノも、意味が無かったようだ。
「ショパンのピアノ曲を弾きたかった」
サムは外に飛び出して、思いっきり叫んだ!!!
「ワーーーーーー!!!」
毎回のストレス発散方法だった。
人の目なんて気にしてる余裕なんかなかった。
「そんな叫んでいたら、声が枯れてしまうよ?」
なんと、サムの前にショパンが現れた。
サム「ショパン!お前、どうしてここにいるんだ?」
ショパン「記憶力を上げるために、痛覚記憶の崖や、かゆみ部屋もやったけど、効果無かったんだってな??」
サム「俺を笑いに来たのか?どうして来たんだ?」
ショパン「一緒にレッスンするぜ!! お前のイライラや憎しみは痛いほどよくわかる!」
サム「ピアノも八つ当たりして、壊してしまったんだ!無理だよ!俺は記憶力があまりに低すぎて、ショパンの曲を弾くことは永遠に叶わないんだよ!」
ショパン「いや、私が付き合うよ!一緒に、一曲、別れの曲を弾けるようになるまでは最後までレッスンしよう。そのために、私はエキスパートピアノ音楽学校を2ヶ月休んで、ラフマニノフに全てを任せてきたんだよ」
サム「なんだって?なんでそんなことしたの?なぜ、出来の悪い俺のためにそこまでしたの??」
ショパン「出来が悪いからって放っておいたら、ピアノの指導者として、いや、人間として失格だと思ったんだよ!願いの木に『記憶力が上がりますように!別れの曲を弾けるようになりますように』って書いてあった札を見て、サムのことを思い出したんだ!!!」
サム「でも、記憶力を上げるための方法はありません。痛覚記憶の崖、かゆみ部屋でも無理でした。呪いみたいに、記憶力が上がらないし、1か月間は暗譜しようと躍起になりましたが、結局、無理でした。たとえショパンが俺に天才的なレッスンをしても覚えられないと思います」
ショパン「じゃあ、あと2ヶ月間、一緒にレッスンしよう。必ず、別れの曲を弾けるようにする。これは、私の夢でもあるんだ!!!」
サム「俺は学校のピアノも、自宅のピアノも八つ当たりして、壊して、退学になって、どうしようもないんです。もう、あきらめるしか......」
ショパン「私が君の立場になったら、同じことすると思うよ。私は偶然、才能があったから、そうなってないだけ。これは完全に運なんだよ!全て運といってもいい!私は才能がないからやるっていう選択肢があってもいいと思う!!!上達を楽しもうよ!!!さあ、ついてきて!!!」
サムはショパンに連れられて、ショパンコンサートホールに来ていた。
大きなホールでショパンはサムにレッスンを開始。
ショパン「いいかい?絶対にあきらめちゃダメだ!!!」
サムはショパンに感謝した。
結局、ショパンのレッスンは2ヶ月間、一日8時間を毎日やった。
その結果、
サムは記憶力が奇跡的とも思えるほど向上した。
サムは自分の記憶力が向上したことに驚きを隠せなかった。
「信じられない……」
ショパンはサムが様々な手を使っても、一向に記憶力が上がらないことを不思議に思い、ラフマニノフに頼んで調査してもらっていた。
サムは呪いにかかっていた。
「記憶力が向上しない呪い」だった。
それは、サムが霊界の超名門貴族「ココ一族」の跡取りになる代償として「記憶力減退」を与えられたのだ。
それはサム自身が選んだことだが、サムはその記憶を失ってしまっていた。
遥か昔のことだから、記憶がごっちゃになっていて、いつの日か、記憶ができないのは呪いのせいということすら忘れてしまったのだ。
「記憶力減退」によって。
ショパンはその「記憶力減退の呪い」を解くために、「等価交換取引」をした。
ショパンは貴重な「2ヶ月間」の時間を毎日、8時間、サムに使い、レッスンする代償に、「記憶力減退」の呪いを解放したのだった。
2ヶ月間、一向に、記憶できないサムに付き合うのは、苦痛でもあったはずだ。
天才のショパンからしたら。
しかし、ショパンは才能がない人を見捨てたくなかった。
「才能がある人しか相手にしない」なんて嫌だった。
「一人を大切に!!!目の前の一人を大切に!誰も置き去りにしない。見捨てたくない」
サムは小さなピアノ発表会で「別れの曲」を弾いた。
それは、記憶できない自分への別れを告げたくて、前々から、目標にしてきた、弾きたかった曲だ
サムは涙を流してこの曲を弾き終えた。
記憶減退の呪いをショパンが解いたことはサムに話していない。
サム「ありがとう。ショパン!!!」
サムは歓喜と感謝の涙を流して、ショパンを抱きしめた。
ショパンは目の前の一人を大切にして本当によかったと思った。
ショパン「これだ!!!本当に私が見たかった景色は!!!!!」
かつて、ラフマニノフに「オーケストレーションが上達しない呪い」を解放してもらったように、今度は自分がサムを同じように助けてやりたいと思ったのだ。
「思いやりは伝染する」
人は繋がっている。
善いことも繋がってゆくのだと。
人に思いやりの橋を架けたい。
ショパンはそんな自分の願いをまたひとつ叶えた。
超名門一族の「ココ・サム」はショパンの弟子になり、ショパンとラフマニノフの心強い味方になり、お互いに助け合うことになってゆく。
結局、、ショパンはエキスパートピアノでの暗譜できるかなどの入学試験などは、、行わないことにした。。
どんな人でも、、ピアノが好きならば入学できるように。。
一人でも多くの人にピアノを楽しんでもらうことこそ、、一番の願いだと思い出した。。
ピアノの才能がないから、、断るなんて、、嫌だった。。
ショパンは初めてエキスパートピアノを立ち上げた時の初心に戻れた。。
どんな人もピアノを学べる学校にしたい。。
「才能がある優秀なピアニスト」を出すよりも、、
「ピアノを弾き、作曲を楽しむ人を増やす」ほうがよっぽど大事だと実感した。。
75
ある一人の男が地球で亡くなり、霊界入りした。
彼は地上世界で61年間を過ごした。
しかし、彼は弱者だった。
26歳までは順風満帆で、大学に進み、起業して、年収10億円を超えていた。
成功者だった。
勝ち組に思えた。
しかし、働きすぎによる「うつ病」により、一気に転落人生を送った。
27歳から死ぬまでの34年間はまさに、生活保護のお世話になり、自分の情けなさに苦しみながら生きた。
霊界入りしたその男の名は「モノルスキー」
霊界の役所に来た。
ガイドに連れてこられたのだ。
まず、記憶を修復してもらう。
霊界入りしたときに、今までの転生前の記憶などを取り戻すためのものだ。
「記憶修復所」で記憶を取り戻したときに、彼は唖然とした。
「私は元々この霊界のトップだったんじゃないか。そうだ。思い出した。しかし、無理やり、この地球に転生させられたんだ。あいつらが、シナメルドが俺をハメたんだった」
しかし、自分をハメたシナメルドに怒りは湧かなかった。
モノルスキーは弱者をいじめる政治を繰り返していた。
全く社会的弱者を相手にせず、助けなかった。
救わなかった。
その不公平で独裁的な政治をしたせいだ。
シナメルドに地球に転生させられたのは。
「人生映画劇場」へと来た。
今までの61年間の人生を映像で振り返るためだ。
そこに、シナメルドがいた。
シナメルド「久しぶりだな!!!モノルスキー!!!!記憶は戻ったようだな!!!」
モノルスキー「シナメルド.......」
二人は人生映画劇場で、モノルスキーの人生を視聴した。
そこには、まさにモノルスキーの弱い者としての人生が映し出されていた。
シナメルド「まさか、自分が弱者になるとは思わなかっただろう?」
モノルスキー「俺に弱者の気持ちを理解させるために、このような人生に送り込んだんだろ?」
シナメルド「俺を恨むか?今、俺はお前の後を継ぎ、霊界のトップになって、霊界を運営している!」
モノルスキー「俺は弱い者を迫害していたよな。でも、自分がいざ、弱い者になって、初めて気づいた。俺のやっていたことは間違いだったんだって。それを気づかせるために、俺はこの人生を送ったんだな……」
シナメルド「仕方なかったんだ。初めて役所の職員になったときのお前は弱者に優しかった。でも、瞬く間に出世していき、だんだん、その優しさを忘れていって、暴走していった。だから……」
モノルスキー「それ以上言うな。俺は、弱者の気持ちが痛いほど分かったんだ。自分の生活費すら稼げない、情けなさ、自分への怒り、劣等感、助けてもらってばかりの恥ずかしさ。すべて味わった。だから、これからは自分が弱者に優しくしようと思う。助けようと思う。また、役所のイチ職員として、俺を迎えてほしい。最も弱い者のために生きたいんだ!!!自分が弱い者だったからこそ、痛いほど、その人たちの気持ちがわかるんだ!」
シナメルド「実の兄を、霊界から地球へと送ることがどれだけ辛かったか......俺は毎日泣いていたよ。でも、兄貴のためにはこれが最善だったんだ。本当に兄貴のためになるなら、どんな苦痛だって耐えたいと思った。兄貴は生まれ変わったみたいだ。兄貴がいない寂しさに耐えた甲斐があったよ」
モノルスキー「弱い者ほど大事にするべきだ」
シナメルド「今の兄貴、最高にカッコいいよ!!!」
生まれ変わったモノルスキーはまた初心を取り戻して、霊界の役所に勤めることになった。
最高にカッコよくなった兄を見たシナメルドは、モノルスキーを地上に送って本当によかったと心から思った。
大切なことに気づかせ、学ぶために、地上世界にみんな転生していくんだと。




