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まとめ♯10


66


「これから説明することはとても重要なことだからな」


 地球圏霊界のトップ「シナメルド」がラフマニノフとショパンにそう宣言した。


シナメルド「木星霊界の最高責任者のオリエンタルに会いに行く。そして、オリエンタルはラフマニノフの霊界での全15曲のピアノ協奏曲を、木星霊界で自由にコンサートで誰でも自由に演奏できるようにしたいというのだ。その分のギャラの交渉にこれから行く。しかし、ラフマニノフは決して引き下がってはならぬ。できるだけ大きな生命ポイントをもらえ。オリエンタルはケチで有名なんだ。ものすごい倹約家だ。だから、この交渉は意地の張り合いになると思う」


 木星の霊界に到着した。


 宇宙船「チョコレート」で木星まで1時間の宇宙飛行だった。


 木星で一番大きな都市の「マルスロイ」の宇宙港に到着した。


 オリエンタルが既に到着していて、ショパンたち3人を待っていた。


 ガラス張りが7割を占める宇宙港の新鮮な雰囲気はショパンたち一行を大いに楽しませた。


「どうぞ、こちらへ」


 案内されたのは、霊界最高のグランドピアノといわれる「マイダッハ」が設置されたコンサートホールだった。


 これまたガラス張りの机と椅子に腰かけた4人はさっそく、本題に入った。


オリエンタル「ラフマニノフ様。シナメルドから聞いているとは思いますが、この木星ではあなたのピアノ協奏曲がクラシック音楽の中で最も愛されています。特に9番が人気です。しかし、著作権があるために、十分なギャラを払わなければ、木星のピアニストたちが開催する公開演奏会で、ラフマニノフ様のピアノ協奏曲を弾くことができません。しかし、木星のピアニストたちが演奏するたびに、その収益の5%の報酬では少なすぎると思います。さらに多くの報酬をラフマニノフ様に支払いたいのです。なので、木星でのラフマニノフ様のピアノ協奏曲の演奏著作権を買い取りたいのです。毎回、ピアニストがあなたのピアノ協奏曲を演奏するたびに、ラフマニノフ様にお支払いするギャラの計算する事務費などを削り、その節約した半分半分を我々で分け合う形にしたい!!!この額までお支払いできます」


 ラフマニノフは渡された小切手を見て驚愕した。


ラフマニノフ「130億?? そんなにくれるのか??」


オリエンタル「はい。今、一年間にラフマニノフ様に支払う、木星の全コンサートでのピアノ協奏曲演奏での著作権報酬は約6000万生命ポイントほどです。なので、200年分ほどの生命ポイントを一気に獲得できます。私たちの今までの手間のかかるギャラ計算とその事務費用が一日に300万程。それらを節約できるからこそ、これだけ支払えるのです。ラフマニノフ様に支払っていた1年間6000万より、事務費用一日300万のほうが高くつくのです。木星は大きいですから、そのギャラの計算や振込や、事務費用、人件費などを節約したいのです。これで取り引きが成立すれば、それらの一日300万ほどの経費が浮くので、こちらとしてはとても資金面で嬉しいのです」


ラフマニノフ「確かに、まとまった資金が一気に獲得できるのは嬉しい」


オリエンタル「そして、その演奏著作権量の130億生命ポイントの他に、節約した一日300万の経費の半分の150万生命ポイントを毎日、ラフマニノフ様に支払います。でないと、ラフマニノフ様に失礼ですからね。毎日150万の権利収入が手に入り、断る理由がないと思いますが」


ショパン「ラフマ。渡りに船じゃないか?一日150万生命ポイントは大きいよ」


ラフマニノフ「シナメルドからオリエンタルはケチだと聞いていたが、全く逆のようで、不審に感じるくらいだ。それより、ショパンにも同じような提案ができないか?? ショパンのピアノ曲の人気は木星ではどうなんだ??」


オリエンタル「実は、ショパン様はあまり人気ではないのです。こちらではピアノ協奏曲が最重視されていますから。木星のクラシック音楽といえばピアノ協奏曲です」


ラフマニノフ「ショパンのピアノ協奏曲全9曲も、同じギャラ、同じ条件で頼む!ショパンにも150万の権利収入を与えてやりたいんだ!!!」


ショパン「ラフマ⋯そんな⋯」


オリエンタル「ショパン様のピアノ協奏曲は9曲とも、特にラフマニノフ様のそれとは違い、ずば抜けて演奏されるわけでもないですし。人気もいまひとつですが⋯」


ラフマニノフ「では、これからのショパンの進化したオーケストレーションのピアノ協奏曲をショパンが作曲していくから、それを買い取ってほしい。一日150万の権利収入ギャラと、130億の契約金をショパンに支払え。ショパンはこれからどんどんオーケストレーションが上達していくのは間違いない。ショパンのピアノ協奏曲が俺のより木星で人気ないのはオーケストレーションが目立たないからだろう。それは解決されることになるから安心しろ。これから先のショパンの未来のピアノ協奏曲10曲の演奏著作権を買い取れ!俺とショパンは一心同体の相棒同士だ。俺だけ美味しい思いをしても嬉しくない」


オリエンタル「わかりました。ラフマニノフ様がそのようにおっしゃるならそういたしましょう。ラフマニノフ様の言葉なら信頼できます。ショパン様の今後のピアノ協奏曲の作曲の上達を期待して」


ショパン「ラフマ。ありがとう。嬉しいよ!! でも、どうしてそこまでして僕を??」


ラフマニノフ「言わなくても分かるだろう」


67


ショパン「芳樹、最近、ダメダメじゃないか。他の生徒をいじめていると、報告が入ったんだよ」


芳樹「いじめてねえよ。誰だよ。そんなこと言った奴は」


ショパン「こら、その口の利き方はなんだ。なってないじゃないか。心当たりがあるはずだが」


芳樹「心当たりなんてないよ。ふざけんなよ。誰かが嘘をついてるんだよ!!!」


ショパン「君がいじめを行っているという報告が3人から入ってるから、気を付けるように。いくら君が成績優秀者の上位に入っているからって、いじめをする生徒には特別扱いしない。最悪は退学も考えてもらう。本当にいじめをしていることが事実ならな!!」


芳樹「ふざけんな!!!何もしてないのに!!!本当に何もしてないのに!!!」


 芳樹がいじめをしたという内容は、3人の生徒から報告された。


生徒A「芳樹さんが、私を同性愛者だと噂話をしたんです。それが、広まってしまって、学校に来るのが苦痛になってしまったんです。私は、芳樹さんが好きでした。だから、告白したんです!!!そしたら、笑って断られて。付き合うことはできないと言われました。断るだけならまだしも、学校中に、私が同性愛者だということをバラしてしまったのです」


生徒B「私は楽譜を隠されました。いつも使っている大事な楽譜を」


生徒C「僕は悪口を主に言われました。才能ないから、この学校で学んでいても意味がない、みたいな嫌味ばかり言われて、このエキスパートピアノで学ぶ意欲を削がれました」


ということだ。


 すべて、川口芳樹が行ったという報告だ。


 ショパンは芳樹にそのいじめをされたという生徒達の全貌を話した。


ショパン「そのような報告が3人からあったんだが、なぜ、こんなことをしたんだ?理由でもあるのか?いじめは絶対に厳禁だ!喧嘩でもしたのか?」


芳樹「その3人は俺を嫌っているんだよ。その3人はラフマニノフ先生に仲が良い俺に嫉妬し、ありもしないことをでっちあげて、俺を退学にさせようとしているんだ。俺はこの3人に、『ラフマニノフの直接の教え子だからって、いい気になるなよ』って言われたし。必ずお前を退学にさせてやるとも言われたよ!!!その3人に。つまり、俺を陥れようとする悪の陰謀だよ」


ショパン「どっちの言うことが本当なんだ?わからない。どちらを信じたらいいのか。破天荒な性格のお前ならやりかねないという印象も無くはないし」


芳樹「俺は天才だから、3人が妬んで、いじめてきてるんだ。その3人を信じなくていいよ。正しいのは俺だからな!!!」


ショパン「おい、3人とも入ってこい!!!」 


 芳樹がいじめを行ったと報告した生徒3人が、計画したかのように芳樹の目の間に現れた。


芳樹「お前たち、どういうつもりだ?なぜ、こんな嘘をつくんだ?最低だな!!」


生徒C「お前は自分がラフマニノフの教え子だって、自慢ばかりするからだろ?嫌われるようなことをするからだ。自業自得だ!!!」


生徒A「え?ちょっと!!!芳樹が私たちに行ったいじめは全て本当のことなのよ?」


生徒B「そうだ!嘘じゃない。芳樹は俺たちをいじめてきたんだ!!!」


ショパン「意見が分かれたな!どっちが真実なんだ?」


芳樹「俺ってこんなに嫌われてるのかよ!!もうお前たちとは話したくない!!!俺、当分の間、休学するよ!お前たちの目論見どおり、目の前から邪魔者は消え去ってやるよ!これでいいんだろ?」


ショパン「ちょっと、芳樹!!!待て!!」


 芳樹は号泣をして、怒りの表情で勢いよく、校長室を飛び出した。


 ショパンと別行動を取っていて、いじめ調査をしていたラフマニノフは、校長室からいなくなった芳樹を探していた。


 ラフマニノフは芳樹が河川敷で座って、泣いているところを発見した!!!


ラフマニノフ「芳樹!!!大丈夫か?」


芳樹「先生!!!俺、もうダメかもしれません。先生も知ってるんでしょ?俺がいじめをしているってことを!!!」


ラフマニノフ「お前がいじめをしていないことくらい俺はよくわかっているよ。ただ、調子に乗る天才だから、嫌われたのかもしれないな。でも、俺やショパンみたいにその調子いい、破天荒なところ、熱いところ、人間味溢れるところを好いてくれる人たちもいるぞ?」


芳樹「ショパンは俺を好いてなんかいません。俺を信じてくれなかったし。それより、先生はなんで、僕がいじめをしてないって信じられるんですか?建前ですか?それとも本音ですか?」


ラフマニノフ「いじめの調査で周りの生徒に聞き込みしたら、芳樹がいじめをしたところを見た奴がいなかったんだ。いじめアンケートにもなかった!それで、お前が絶対にやってないってわかった。逆にあの3人は結託して、芳樹をいじめているところを見ていた生徒もいたぞ。だから、お前が逆に被害者だったんだな!!俺はお前の味方だぞ!! 安心しろ」


芳樹「俺、休学します!!!あの3人に気に食わないと思われる態度をしてしまったかもしれません。俺って、ものすごいお調子者だから!!!」


ラフマニノフ「学校を休むのはおすすめしないな」


芳樹「家で練習します。サボりませんから!!!」


ラフマニノフ「学校は人間関係を学ぶためにあるんだよ。みんなとうまく付き合っていくことを学ぶためにあるんだよ。ピアノの勉強や練習なんて家でもできるからな。今、ここて逃げたら負け犬になって悔しいはずだ」


芳樹「でも⋯」


ラフマニノフ「休学したら、俺がせっかく直に教えているのに、ガッカリするだろ?俺のために学校には来てくれ!! そして、うまくいかない人間関係をここで克服して、修復していくんだ。そこに成長があるからな。逃げては、せっかくの成長のチャンスを無駄にしてしまうから、ぜひ、学校にこれからも来るんだ。彼らに負けたくないだろう!!!俺からもあの3人に説得していくから。あの3人がしっかり芳樹とやっていけるように。よく、敵が味方になる物語があるが、敵同士がかけがえのない宝とも言える友情へと発展することもあるんだよ。それを目指そうじゃないか!!」


 ラフマニノフと芳樹が話をしていると、生徒3人とショパンが河川敷に走ってきた。


生徒A「芳樹ーーーー!!!!!!ごめん!!!!!私たちが悪かった!!!!!嘘ついてゴメン!!」


生徒B「ショパン先生の話を聞いて、芳樹は僕たちにライバル心をつけさせ、成長をさせるためにわざとむかつくような態度をとったってわかったんだ」


生徒C「私たちのためにしてくれていたんだね。その心の内を聞いて、我に返ったんだ。これからは一緒に切磋琢磨していこう。これから君も教えてよ。分からないことや疑問があったら、君に聞いてもいいかい?」


芳樹「お前ら、、、まあ、器の広い俺だから、仕方なく許してやるよ!!」


ショパン「ラフマからいじめの調査の結果を聞いた。このエキスパートピアノにはたくさんの監視カメラがついてる。いじめしたら、すぐに分かるんだよ。すべて、専用の調査機関に調べてもらったら、芳樹は何もしてないって分かった。私が悪かった。少しでも信じてやることができなくてゴメン」


芳樹「ショパンには失望させられたよ!! もっと人を見抜く力を身に付けてくれ」


ラフマニノフ「夕日が芳樹の大逆転ハッピーエンド勝利を祝福してくれているよ!!!」


ショパン「芳樹、これからもエキスパートピアノに来てくれ!! 頼む!! 辞めないでほしい。裏のない隠さない飾らない性格の生意気な態度で校長の僕に歯向かってくる反抗的な君がいないと退屈で寂しいからね」


芳樹「ショパン!! ラフマニノフ先生!! これからも生意気な俺をヨロシク!!」


68


 ショパンは「慈悲院」と呼ばれる児童養護護施設にいた。


 貧しくてピアノが買えない、ピアノを習えない子供たちが大勢いて、自分にも何か力になりたいと定期的に訪れているのだ。


 慈悲院のボロボロのピアノでバラード5番を弾いていると、ひとりの男の子が近づいてきた。


男の子「いつもありがとう」


ショパン「自分が好きでやっていることです。ただの自己満足ですからね。でも、もし、私に恩を感じることがあるなら、将来、困っている人たちを私と同じように助けてあげられる人材になってください」


男の子「ショパンさん。僕は貧しいです。食費も事欠くような日々です。なぜ、僕みたいな弱い立場の人たちが生まれるのでしょうか。生きている価値があるのでしょうか?? 助けてもらわないと生きていけないなんて、あまりに情けなくて、生きているのが苦痛です。いっそ、こんな弱い立場に生まれてしまったなら、自分の存在ごと無かったことにしたいです」


ショパン「なぜ、弱い者がいると思う?? それはね、この世の法則だからだ。強い者もいれば弱い者も当然いるんだ。強い者になればなるほどその人数は少なくなってくる。弱い者が強い者よりも多いのがこの世界の法則なのさ」


男の子「でも、どうせなら才能があったり、お金がある強者に生まれたかったです。悔しいです」


ショパン「初めから強い者だったら、弱い者の気持ちが分からない。でも、弱い者に生まれたら、同じ弱い者、困っている人達の気持ちが理解できる。助けてあげられるんだ。だから、同じ弱い者のために生きられる人になってほしい」


男の子「僕にも使命があるのでしょうか?? 何ができますか??」 


ショパン「実際に、私がこうやって君たちに奉仕してあげることで、私は幸せをもらっている。喜びをね。それだけでも、君たちの、弱い者たちの存在価値は十分あるんだよ。私も弱かったよ。音楽の才能が破格の天才だが、過去には、前世では、貧しい社会的弱者に生まれたこともある。音楽の才能がいくらあっても、環境や状況的に、才能を開花させられない、生かせない環境になってしまっていて苦しんだよ。人生が苦痛だった。そんな過去もあるよ。環境は自分で作るもの、選ぶものっていったって、限界がある。国から出られない場合もあるし、その国が独裁的で貧しい国だったりしたら、お手上げだしね。私も弱い立場だったから、君たちの気持ちはとてもよく分かるよ。でも、ありがとう。私が君たちにピアノの演奏や資金の提供をしていることで逆に、自分が人の役に立っていて、善いことしているって喜びを感じられているわけだから。君たちに感謝してる」


男の子「こんな僕にもできることがあるんでしょうか??」


ショパン「もちろんだよ。できることしかない!!!どうしても後ろ向きの感情が出てきて、落ち込んだり、マイナス思考になったり、消えたくなったりすることはあるだろう。でも、君の使命はこれから強くなって、同じ弱い者の人たちのために行動することだよ。お互い、弱かった者同士ならば、共感の嵐を呼ぶ。『強い者には私達の気持ちなんてわからない』と反発されることもない」


男の子「成功者で強い者であるショパンさんがこんなにも僕達のために時間を使ってくれていて、なんと言葉をかけたらよいのか分かりません。本当にありがとう」


ショパン「これから強くなっていこう。そこの至るまでの過程を楽しむゲームを神様から与えられたんだよ!!これから、成功して、弱い者たちを助けられる人になろう!!!」


男の子「弱い者でよかったです。だからこそ、弱い者を助けられる。気持ちをわかってやれる。決して、悪いことではなかったんですね!!!これから強くなっていきます。ショパンさんに負けないくらい!!!」


ショパン「元々弱い者であった人が、努力して、強い者になる、成功者になるほうが物語としては感動するじゃないか。ドラマ性があって。だから、そういう感動の物語をつくるために、あえて、弱い者に生まれてきたんだよ。最初から強かったら、なんか逆につまらない物語になると思う」


男の子「僕の生命の旅路も、物語なんですね。RPGだ!!」


ショパン「成功するまでの道のり、苦労や努力を楽しむために、今はスタート地点だ。これからたくさん楽しめるゲームなのさ」


「ショパーーーン!!!ケーキを買ってきたぞ!!!」


 ラフマニノフが遅れて登場した。


ラフマニノフ「さあ、みんな好きなだけ腹一杯食べていいぞ!!」


男の子「わーーー。ありがとう!!!」


 慈悲院の15人ほどの子供たちがショパンとラフマニノフの周りに集まり、ケーキを食べ始めた。


ラフマニノフ「いつ見てもいいな!!!こうやって、みんなが美味しそうに食べるところは!!」


ショパン「みんなが泣いて喜んでくれる。これが僕たちの最大の幸せなんだよ」


 2人の天才音楽家は弱い者への善行を喜んでやっていた。


 自分たちが以前、弱い者であったように、今度は、強い者になった自分たちが、同じ立場になった弱い者を助けてあげたい。


 いつまでも利他の心を忘れずにいたい。


 それが2人の生き様なのだ。


69


「ショパン&ラフマニノフの相談室」という場所があり、そこに一人の青年が来ていた。


ショパン「こんにちは。どんなことを相談したい??」


ラフマニノフ「素直に話してくれよ。隠さなくていい。せっかく選ばれたんだからね」


青年「僕は社会に貢献できないということにすごく罪悪感を感じています。あなた方はエキスパートピアノ音楽学校を作り、弱者を助けるための運動もして、すごく素晴らしいと思います。自分もしてみたいです。でも、心の問題があり、できません」


ショパン「なぜ、できないのかな??」


ラフマニノフ「心にどのような問題があると??」


青年「仕事の面接の予約を入れても、怖くなり、不安になり、キャンセルしてしまったり、運よく採用してもらったけれど、勤務初日で仕事中にいきなり無断で逃げ出して帰ったりです。もう10回以上失敗していて、10年以上何もできていません。ニートなのです。ショパンやラフマニノフみたいに活躍したい、あなた方みたいに活躍したいけれど、できません。逃げたり、キャンセルしたり、うまくいきません。きっと、強制的に連れていかれたり、やらないと拷問されるくらいの強制力がないとできないと思うのです。なぜなら、やらなくても生きていけるからだと思います。社会貢献活動をしなくても、働かなくても生きていける。だから、しない。でも、ショパンやラフマニノフを見て、自分も心底、社会で活躍して、自分も楽しみながら、世のため、人のために利他を実践できたらと思いました。でも、できません。したいけどできない。難しい問題です。皆さん活躍している人たちをテレビやネットで見ると、悔しくて、屈辱と敗北感で苦しくなります。なんで自分はできないんだって!みんなががあんなに活躍しているというのにって!心がとても弱いのです。歯磨きやシャワーや床屋すら苦痛になり、髭剃りすら苦痛になり。何にもできないでいます。こんな自分、とても無価値で何もできない、してないという屈辱から、存在ごと自分のことを消したくなります。自分を殺したいほど憎いです。今まで250個以上クソみたいな行動をしてきました。自分はダメ人間過ぎて、もう嫌です。ショパンやラフマニンフみたいに立派に、素晴らしい人になりたかった!!!悔しいです!!!でも、悔しいと思う資格すらないのだと感じています。悔しいといっても、行動したり、努力すらできないんです」


ラフマニノフ「長いな!! 余程、鬱憤が溜まっていたんだな」


青年「社会に貢献したいのです。この気持ちが叶わないので、物凄くもどかしいです。焦りと自己嫌悪で自分を責めてしまうのです」


ラフマニノフ「君は働きたくないんじゃなくて、働けないんだと思っている。実際にその通りだと思う。働こうと行動すると、拒否反応が出たり、精神状態が不安定になる。ならば、自分に合った道を選ぼう。無理にみんなと同じように、我々と同じように行動しようと、社会に貢献しようとするんじゃなくて、自分の特徴や特性に合ったやり方で、社会に貢献していけばいい。何か君ができそうなことはないか?自然にやってしまうこと=才能だと思ってくれていい。無理にできないこと、苦手なことを挑むより、得意なことや持っている才能を磨いて生かしていけばいいと思うよ」


青年「小説を書いてます。ネットにも載せていますが、アクセス数が雀の涙です。ほとんど誰にも見られません。だから、悲しいです。自分としては好きなように書いています。自分の書いた小説はお気に入りですが、見られないというのは残念ですね」


ショパン「でも一人は見てくれた人もいるんだろ?それでいいじゃないか。大勢に見られるよりも一人を楽しませられることを重視していきたいと私なら思う。何人か見てくれたなら、君は、私達と違った形で社会貢献していることになる。人のためになっているんだよ。人それぞれ、能力や性格や特徴や得意なことや好きなことも違う。だから、その人に合った社会貢献の仕方がある。千差万別だ。だから、私達を羨ましく思う気持ちもわかるが、まずは自分の能力や性格に合わせた志事をしていけばいいと思う。みんなが同じような仕事していたら、この世界は成り立たないだろう。自分だけのできることが、使命が必ずある。君はまずは、その小説を極める。極限まで高めていくことを心がけていけばいいと思うよ」


ラフマニノフ「そのうち有名になれるかもしれない。向上心だけは忘れるな!小説を書くのが上達し、君が生んだ小説が一気に霊界中を広まって、みんなを楽しませられることで、社会に貢献できるかもしれない。そのような夢があるじゃないか」


青年「僕にそのような人気になる小説を書く才能はありません!自分に期待できません!!!」


ラフマニノフ「向上していけばいい。どうすればもっと面白い霊界最高レベルの小説が書けるか、その方法を考え、試行錯誤して、実践していくしかない。君は普通に働くことは苦手で、できないのだから、小説で社会貢献するしかないんだと思う!必ず自分に合った社会貢献の方法がある。利他の方法がな。我々と同じ方法でやる必要はないだろう」


ショパン「苦手なことを無理に克服しなくていいって伝えたい。今日は、この言葉だけ持って帰ってください!好きなこと、自分にできること、自然にやってしまうこと=才能を磨いて、武器にして、世の中に貢献していけばいいさ」


青年「ショパンとラフマニノフの小説を書いているのですが、許可してもらえますか?あなた方が登場する小説で、あなた方が霊界で活動する小説ですが……」


ラフマニノフ「ああ。いいぞ!自由にやってみたまえ!我々も見てみるからな」


ショパン「アドレスを教えてくれ。どんな内容なのか気になる!!!」


青年「実は、僕は地上世界に幽体離脱して、この霊界に来てます。ショパンとラフマニノフの様子を生命隠匿装置で姿を隠しながら観察させてもらいました」


ショパン&ラフマニノフ「え??」


 少年は自分は普通に労働ができなくても、一般就労ができなくても、違う方法で人のために貢献できるということを2人の天才音楽家から教えてもらった。


 そして、その少年はとても社会貢献ができるようになったという。


 そう遠くない未来で。


70


 ショパンは近くの公園にいた。


 彼はベンチに座り、とても美しい黄色いイチョウの木を見ていた。


 この辺りで一番大きな高さのイチョウの木で、公園の真ん中に生えている。


 癒されるために定期的に通っていた公園だった。


 ある少年がそのイチョウの木を両手で抱きしめて、話しかけていた。


 ショパンは少年を後ろから同じように抱きしめ、


「イチョウの木に何を話してたの?」と聞いた。


 少年はいきなりショパンに抱きしめられて、驚いて、ショパンをはねのけた。


「また、あなたですか?この木はただのイチョウの木じゃないんだよ!」


「わかった!何か事情があるんだね?僕が相談相手になってあげるから!!!」


 ショパンは少年の話を聞いた。


 少年の話によると、公園のすぐ隣の病院に入院している時にに、夜、このイチョウの木が、少年を窓から覗いていたらしい。


 目と鼻と口をつけて。


 確かにイチョウの木なのに顔があったという。


 少年は病院の5階に入院していたから、5階の高さのイチョウの木と言えば、この木しかなくて、それでこのイチョウの木の正体を暴こうとしていたのだ。


「いいかい、少年。イチョウの木だって、そこにただ立っているだけじゃなくて、動き回りたいときもあるんだよ」


「このイチョウの木は化け物なのかな?目も鼻も口もあったんだよ?おかしいなあ!」


「きっと君がいつもこの公園で遊んでいたから、何しているのか気になったんじゃないかな?君はいつもこのイチョウの木に祈りを毎日、捧げていたじゃないか!病院の入院している人たちの病気が、早く治りますようにって!」


「でも、なんで僕が入院しているのを知っているの?イチョウの木が?」


「君がいきなり公園に遊びに来なくなったのは、この公園で足を怪我したからだよね。僕も見ていたよ!ベンチに座りながら、君をいつも見ていたんだよ!だから、病院に入院しているんじゃないかって思ったんだよ。このイチョウ君が」


「このイチョウの木。夜、動いて回っているのかな?また会えるかな?」


「また、会いたいのかい?」


「ただの夢じゃなかった。確かに病室のベッドの上で、このイチョウの木が窓から覗いているのをこの目で見たんだ!でも、もう退院してしまったから……」


「きっと、このイチョウはみんなに夢を与えてるんだよ。動くイチョウが会いに来たってなんか夢がないかい?」


「確かに、僕はこのイチョウの木が会いに来てくれたような気がして、嬉しかったです!でも、もう会えないのかもしれません。夜に何度も隠れて、見張ってましたが、このイチョウの木は動きませんでした。監視カメラもつけて、確認しましたが、結局、何も起きませんでした!」


「あのイチョウの木が現れた夜は、ちょうどクリスマスだったよね」


「なんで、クリスマスの日って知ってるんですか?」


「イチョウの木に聞いたんだよ!僕はこの木と会話ができるんだ!心の中でね。テレパシーさ!」


「じゃあ、やっぱり、この木だったんだね。また、会いたいって伝えてよ!!!会いたいよ!!!」


「残念だけど、それは無理だと言ってるよ!このイチョウの木は一生に一度だけ、自由に歩ける時間が設けられるんだけど、その機会は、君がクリスマスなのに誰も見舞いに来ない、プレゼントも無いと知って、わざわざ君にクリスマスプレゼントとして、その一生に一度の、動く機会を君に会いに来るために使ったと言ってるよ!」


「そんな!そんな大事なチャンスを僕のために使ったくれたなんて!!!とても大事な瞬間だったはずなのに!!!」


「それは、君がこのイチョウの木にずっとみんなのことを祈っていたから、その祈りは全てこのイチョウの木に通じていて、君を喜ばせたいと心から思えたからなんだって!君がみんなのために祈ったその力で、いつもより早く病気が治った人がたくさんいたんだって!」


「イチョウさん!!!ありがとう。つらい病院生活、イチョウさんが会いに来てくれたあの夜の日から、僕は魔法にかかって、苦しみが和らいだんだ。ありがとう。イチョウさん!」


 少年は涙を流して、イチョウの木を抱きしめて離さなかった!



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