表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/20

まとめ♯9

61


 太陽の霊界ではショパンアンチの霊界最高責任者の「クスミマルタ」により、ショパンの作品はすべて太陽圏霊界では演奏禁止、コンサートも禁止、ショパンも立ち入り禁止となっていた。


 そのきっかけはショパンのバラード4番を聞いたクスミマルタがショパンの才能に嫉妬して、ショパンを認めたくないという妬みから、嫌がらせをしていたのだ。


 表向きはショパンが太陽圏霊界では自分の作品を演奏しないようにとクスミマルタに頼み込んだことになっていた。


 それは、ショパンがさらに自分以上のピアノ作曲家の存在が冥王星にいたことにより、もう少し、もっとさらにピアノ曲の作曲の技術を高めてから、太陽圏霊界には広まってほしいと思ったとされた。


 裏の本当の理由はクスミマルタによるショパンの作品の妨害である。


 クスミマルタの息子は地球圏霊界のそこそこ名の知れたピアノ音楽作曲家である。


 しかし、ショパンの足元にも及ばないことから、クスミマルタはショパンが気に入らなくなってしまったのだ。


ショパン「僕としてはどうしても太陽圏霊界で自分の作品が演奏されてほしいし、もっと愛されてほしい。太陽はこの太陽系で一番大きな星であり、一番大きな市場だから。太陽で僕の作品がたくさん演奏されれば、それだけ著作権料により莫大な収入が入るよね。でも、不可能だ。クスミマルタが僕のことを毛嫌いしているからね。あきらめるしかない」


ラフマニノフ「いや、あきらめるな。やればできる。最善を尽くしていないのに、最初からあきらめて何もしないのは最低だ。やれば絶対にできる。よほどのことじゃないかぎり」


ショパン「でも、クスミマルタを変えるなんて無理だよ。ものすごい頑固で人の意見を聞かないらしいし。こればっかりはよほどのことだよ。だから、やってもできないよ。うまくいかないよ」


ラフマニノフ「まだ行動してないだろ?すべてのできることをやり尽くしてから言うセリフだぞ?俺が証明してやる。やればできるってことを。不可能はないってことを!」


ショパン「だから!!!こればかりは無理だって!」


5日後、


 すぐさま、ラフマニノフは太陽圏霊界のクスミマルタの元へと向かった。


 クスミマルタはラフマニノフのことも大嫌いだった。


 ショパンと仲が良いからだ。


 太陽圏霊界の最上層部の最も高い塔の頂上にクスミマルタは住んでいた。


 クスミマルタは慌てて焦っていた。


 自分の息子の「カイリス」が行方不明になったからだ。


 3日前にピアノ学校からの帰り道にこつ然と姿を消してしまった。


 行方不明届を提出し、太陽系すべての星の霊界での捜索が開始されていた。


ラフマニノフ「クスミマルタさん。地球圏霊界の音楽家のラフマニノフです。実は大事な話がありまして。時間を設けていただきたいのですが」


クスミマルタ「今、それどころじゃない。わたしの息子が行方不明なのだ。それに、話し合いは絶対にしないからな。私はお前のことが嫌いだ」


ラフマニノフ「息子のカイリス君のことでお話があるのですが……」


クスミマルタ「何??」


 クスミマルタの表情が一変した。


 クスミマルタはやむを得ず、ラフマニノフと話し合いの場を設けた。


クスミマルタ「どんな話だ?? カイリスについて何か知っているのか??」


ラフマニノフ「カイリス君。姿を現しなさい」


カイリス「はい!ラフマニノフさん!」


 カイリスはラフマニノフの指示通りにクスミマルタの前に姿を現した。


クスミマルタ「カイリス!! どういうことだ??なぜ、ラフマニノフといるんだ?? 今までどこに行っていたんだ?? 死ぬほど心配したんぞ!!」


カイリス「ピアノ学校の帰りの途中にいきなり見知らぬ集団に誘拐されたんだ。そして、牢屋に監禁されていたところを、ラフマニノフさんがいきなり現れて助けてくれたんだ」


クスミマルタ「ラフマニノフがだと?? なんでラフマニノフがいきなり息子を救い出すんだ?? なんで息子が誘拐された場所を知っていたんだ?? もしや、誘拐犯とグルだったとかないよな?? ラフマニノフよ、、、もしそうならこれは犯罪だぞ」


ラフマニノフ「カイリスが行方不明になっている噂を知り、私が3日間探しまくったんですよ。しかし、カイリスは必ずある場所に監禁されていると分かりました。実は、この手紙を見てください」


 ラフマニノフはクスミマルタにある手紙を見せた。


 そこには、カイリスを誘拐することと、誘拐場所にラフマニノフが来るようにという指示がされていた。


クスミマルタ「この手紙がお前のもとに来たというのか?? だから、その手紙通りにカイリスの元に向かったということか」


ラフマニノフ「この手紙をよこした誘拐グループのボスに会いました。そのボスはショパンの大ファンで、太陽圏霊界、つまりあなた方の星に住んでいたのですが、どうしてもショパンの曲を太陽圏霊界で演奏できるようにし、ショパンの作品を太陽圏霊界全体に広めることを許可してほしい。今までショパンを拒否していた考えを改めてほしい!という要望が誘拐の目的だったようです。もし、これを断れば、カイリスくんは永久にピアノ学校に通えなくなるし、あなたとも会えなくする。と誘拐グループが言っていました。誘拐はいつでもできると。ショパンのピアノ作品は素晴らしいから、どうしても許可してほしいと。そういうことを誘拐犯のボスからクスミマルタに伝えるように私が頼まれました。大事なカイリス君のために、ぜひ、太陽圏霊界でショパン作品の禁止を解除してください。でないと、カイリス君が危険です」


クスミマルタ「そんなことしたくない。悪に屈したくない。この件は各霊界の警察に任せ、カイリスにはボディーガードをたくさんつけて、誘拐する隙を与えないようにすればいいんじゃないのか??」


ラフマニノフ「なぜ、そこまでショパンを嫌うのですか?自分の息子を危険に晒してまで……誘拐グループに狙われてしまえば、カイリス君は毎日、恐怖で本当に失踪してしまうかもしれません」


クスミマルタ「カイリスはショパンに憧れている。でも、更に物凄いピアノ作曲家がこの太陽系にすでに誕生している。しかし、カイリスはショパンのピアノ曲の魅力、味、独創性は唯一無二でショパンにしか出せないから、一生、尊敬して、超えられるようになりたいと考えている。私は、そのショパンより優れたピアノ音楽作曲家に憧れてほしかったから、太陽圏霊界ではそのショパン以上のピアノ音楽作曲家の作品を太陽圏霊界でたくさん広まるように宣伝しているんだ。ショパンに憧れていたらショパンを永遠に超えられない。ショパン以上の作曲家に憧れたら、ショパンを超えられるかもとな。目標は高めに設定していけばいいと。基準は高めにということだ」


ラフマニノフ「お願いです。私のことが嫌いでしょうが、カイリス君のショパンへの憧れを大事にしてやってくれませんか。しっかり見てやってください。カイリス君はずっとショパンのみを愛してきました。ショパンを太陽圏霊界でどうしても演奏したいのだそうです。しかし、あなたがショパンを禁止しているせいで弾けないと苦しんでいるのです。まるで、飛びたいのに羽をもがれた鳥のようにカイリス君は葛藤していたのです。それに気づいていますか?」


カイリス君「パパ。お願い。今までパパが怖くて言えなかったけど、ラフマニノフさんの言う通りなんだ。僕はどうしてもショパンをこの太陽圏霊界で弾きたい。演奏したい。もっとショパンをみんなに教えたいし、ショパンが愛されてほしい。だから、ショパン禁止をやめてほしい。お願いします。僕のために!!」


「ウウウウウ……」


 カイリス君は号泣しながら土下座して、パパのクスミマルタに訴えて、お願いした。


クスミマルタ「負けたよ。ラフマニノフにカイリスを助けてもらった恩義、カイリスを誘拐グループから守るために、そして何より、カイリスの意思を尊重しなければな。わかった。これからはショパンを積極的にこの太陽圏霊界に採用する」


カイリス君「ありがとう。パパ。ラフマニノフさん。よかったね。計画どおりだね!」


ラフマニノフ「バカ!それは内緒だ!」


クスミマルタ「何?計画どおりだと?どういうことだ」


ラフマニノフ「まあ、それは置いておいて……ショパンをこれからよろしくお願いします!」


 ラフマニノフは太陽圏霊界から帰ってきた。


ショパン「どうだった?? 結局できたの?? 私の作品は太陽圏霊界で許可された??」


ラフマニノフ「ああ!! 許可された。クスミマルタの息子が我がエキスパートピアノに入学することにもなったぞ!!」


ショパン「ラフマって凄すぎない??」


ラフマニノフ「やればできるといっただろ。不可能なことなんてないんだよ!! 俺を誰だと思ってるんだ!! 天下のラフマニノフだぞ??」


ショパン「はああ!! ラフマよ!!この恩は必ず返すから。ありがとう。君にはいつも助けられっぱなしだね。大事なことを教えてもらったよ。やればできるんだって。不可能なことはないんだってね」


62


 コーヒー屋のゲンに手伝ってもらいながら、ラフマニノフは念願だった自分の店である


「俺のコーヒー」をオープンしようとしていた。


 店の内装カラーはピンク色で統一して、異色のコーヒー店として有名になることが目標であった。


 最終目標はこの地球圏霊界において、最も人気で有名なコーヒーブランドへと成長させること。


「ラフマスペシャル」という独自のコーヒーを開発した。


 ショパンも協力してくれているのだが、コーヒーに関しては素人なので、あまり味に対して的確なアドバイスはできなかったが、かえって、コーヒーのプロであるゲンと素人のショパンが素晴らしい相乗効果を生み、貴重な意見として参考にできることも。


ラフマニノフ「ショパン、どうだ?? 俺の店だぞ」


ショパン「やはり予想的中したな。ピンク色で店内を統一するとはね。ラフマらしいっちゃらしいが……」


 店内は机と椅子がたくさん並び、約500名がコーヒーを楽しめるくらいの規模の、コーヒー専門店としては破格の広さを誇っていた。


 地球圏霊界で最大規模である。


ラフマニノフは霊界で一番大きなコーヒー専門店というのにこだわったのだ。


ゲン「僕もラフマブレンドが霊界で一番人気な銘柄になるまで、この店のスタッフをするつもりです。ラフマニノフと一緒に仕事ができて嬉しいです。ラフマニノフの夢を叶えてやりたいのです。ラフマニノフとコーヒー店をやることは、私の昔からの夢だった」


ショパン「でも、ゲンの店は大丈夫なの?」


ゲン「店はしっかり機能させていますから大丈夫です!」


 店はオープンした。


 前々から大々的に宣伝していたこともあり、たくさんの来客があった。


 500人なんかあっという間に超え、入場制限をしなければならなくなった。


 本日の客は3000人ほど。


 ショパンとラフマニノフがW校長を務めるエキスパートピアノの生徒が約6割を占めていた。


 エキスパートピアノでチラシや口頭で、ラフマニノフのコーヒー専門店「俺のコーヒー」を宣伝したからである。


 オープン記念で100生命ポイントという超格安の料金でコーヒーをおかわりし放題だった。


 あまりにたくさんの人が来たため、なるべく多くの人に楽しんでもらえるよう、一旦、入店したら30分以内に店を退出しなければならないという決まりも急遽、定めた。


 入場制限で店に入れない人を少なくしたかった。


 看板メニューはもちろん「ラフマブレンド」


 これを霊界最大の銘柄にしようという野望があった。


その他に、メニューは15種類。


 その中には「ショパンブレンド」「ゲンブレンド」も含まれていた。


 ショパンとゲンが開発した特製オリジナルブレンドである。


 ショパンが最もおいしいと感じる豆の配合を。


 ゲンも同様だった。


ショパンもラフマニノフにそそのかされ、コーヒー開発を忙しい合間を縫ってしていた。


それから、


「ラフマブレンドを用いた特製カフェオレ」


「メープルシロップとマーガリンのパンケーキ」


などもある。


 ラフマが一番気になっていたのが「ラフマショパンゲンブレンド」だ。


 それぞれの3人の名前が冠したコーヒー豆をブレンドしただけの単純なものだった。


 この「ラフマショパンゲンブレンド」がとても美味しいという声があった。


 ほとんどが「ラフマブレンド」を注文したが、少ない客が、この「ラフマショパンゲンブレンド」を注文して飲み、賞賛してくれた。


 そして、ラフマの中でこういう感情が芽生えだした。


「3人で力を合わせたこのラフマショパンゲンブレンドこそ霊界最大の人気コーヒーにしたい。一人だけのラフマコーヒーより、みんなで喜びを分かち合えるからだ」


 接客で忙しかったが、あらかじめ用意して作ったコーヒーをコップに注ぐだけ、客にカウンターまで来てもらい、渡すだけなので、自分たちもコーヒーを飲む暇があった。


「ラフマニノフ ショパン ゲン」この3人のみで店をどうしても回したいというこだわりがラフマニノフにはあった。


 他にスタッフは雇いたくなかったのだ。


 支払いはどんなに飲んでも100生命ポイント。


 今日だけだが。


 オープン記念なので特別価格での提供だった。


 それは生命時計と呼ばれる時計を、あるレジのタッチ画面にかざすだけで支払いが済むようになっている。


 地球圏霊界に住むすべての人たちは「生命時計」を腕に装着している。


 それには自分の「生命ポイント」が表示されていて、その生命時計で支払いができる。


 生命ポイントは霊界でのお金と同じ役割があり、あればあるほど様々なサービスを受けられる。


 この霊界に来る前の地上世界での、物質界での肉体的苦痛、精神的苦痛、人や社会での善行、貢献量により、生命ポイントがいくらもらえるのかが決まる。


 つまり、生きていて今まで味わった苦痛が多ければ多いほど、天国の霊界ではお金がもらえるというシステムであり、苦痛を無駄にしないという神からの配慮があった。


 全宇宙に存在する無数の霊界でも、霊界に来れば、同じように「生命時計」が自然に装着されるようになっていて、これを無くすことはできない。


 時計自体を見えなくすることは可能でも、生命レベルで深く結びついていて、万人に生命時計は存在する。


 3000人ほどの客を接客するのにとても忙しくて、しかし、喜びでいっぱいの3人であった。


 ラフマニノフは自分のコーヒーを飲んでくれる客たちの「美味しい!最高だ!素晴らしい!」といった言葉とコーヒーを飲んでいるときの幸せそうな表情に、これ以上の喜びはないというくらいであった。


ラフマニノフ「俺たちのコーヒーがみんなを幸せにして、癒しの時間を与えている。こんな嬉しいことがあるか?? しかも、ショパンとゲンまで一緒になって、志事している。最高だな」


 ショパンとゲンもこの日初めて「ラフマショパンゲンブレンド」を飲んだ。


ショパン「少し酸味があって、香りがすごくいい!ブラックで飲むことの魅力に気づかせてくれた。これからはブラックでコーヒーを味わうよ!」


ゲン「強烈な味だね。これがナンバーワンになるには、時間がかかる。改良を重ねよう」


 そして、ラフマニノフはショパンとゲンに今日の報酬を払った。


 100万生命ポイントずつだ。


ショパン「いらないよ。僕はお金より大事なものをもらったから。ラフマと一緒に志事ができた幸せをね」


ゲン「僕はもらいたいな。何故なら、霊界の恵まれない子供たちを救うための食糧と家を購入する資金にしたいから、お金が必要なんだよ!」


ラフマニノフ「そうか。でも、ショパン、受け取ってくれ。それにしても、俺たちは似た者同士だな!」


 ショパンとゲンはそれぞれラフマニノフから今日の給料をもらい、ショパンはなんと、それをゲンと同じ恵まれない可哀想な子供たちのための団体に寄付した。


 ラフマニノフは自分で子供たちを救う団体を立ち上げるための活動資金にするために使うことを決めた。


 ショパンとゲンは子供たちを救う寄付を。


 ラフマニノフは子供を救う団体を自ら立ち上げる。


 3人は心の根っこが同じだった。


「最も弱い者のために生きたい」


 3人は確かに生き方が似ていたのだ。


63


 宇宙には表宇宙と裏宇宙があり、ショパンとラフマニノフのいる表宇宙の神は「ミヤザワトモヒデ」が君臨していた。


 そして、ミヤザワトモヒデは暴走気味だった。


ラフマニノフの恋人「バイオレット」を一方的に奪い、自分の恋人にしてしまったのだ。


 そして、結婚式まであげようとしていた。


 ショパンはどうしてもラフマニノフのためにバイオレットを取り返してやりたかった。


 しかし、相手は表宇宙の神。


 一筋縄ではいかないことは明らかだ。


 裏宇宙の神「アイザム・メトロン」


 それはミヤザワトモビデの上司。


 表宇宙より裏宇宙のほうが上の存在だった。


 裏宇宙のアイザム・メトロンに会うしかない。


 しかし、簡単に会えるわけがなかった。


 しかし、唯一無二のパートナーのラフマニノフのためにショパンは帰ってこれるか分からない裏宇宙へと足を踏み入れる覚悟を決めた。


ショパン「旅行に行きたい!! 一人旅をしたいんだ。だから、それまでエキスパートピアノのことを頼む」


ラフマニノフ「いつも一緒にいるって約束だろ。俺もついていくよ」


ショパン「今回ばかりは一人で行きたい。頼むよ!理由は聞かないでくれよ!!!どうしても僕は行くところがあるんだ!!!」


ラフマニノフ「1ヶ月以上は待てないからな」


ショパン「ラフマ、、、ありがとう」


 ラフマニノフはショパンの背中をさすった。


ラフマニノフ「俺に内緒で何かやろうとしているんだろ?? 隠そうとしても無駄だからな」


ショパン「一生の願いだ。詮索しないでくれ。頼む」


 こうして、ショパンはラフマニノフにしばしの別れを告げて、裏宇宙へと旅立つ。


「ミヤザワトモヒデ」と「バイオレット」の結婚式にラフマニノフが呼ばれていた。


 ミヤザワトモヒデが性格悪く、ラフマニノフに見せつけるためだ。


 ラフマニノフは深く落ち込んでいた。


 愛した女性が無残にも奪われた。


 その奪った相手は表宇宙最大の権力者。


 ラフマニノフは涙を流しながら、バイオレットのほうを見つめていた。


 バイオレットもラフマニノフを心から愛していた。


 ラフマニノフを見て、お互いの目線が合い、気まずい雰囲気になった。


 結婚式の締めの口づけを交わそうとした瞬間にバイオレットは叫んでしまった。


「イヤー!! 私は!! 私は本当はラフマニノフ様が好きなの!! あなたなんか本気で愛していないわ!! ラフマニノフ様!! 助けて!!」


 ラフマニノフは驚いて、勢いよく立ち上がり、バイオレットの目の前へと近寄った。


ラフマニノフ「バイオレット!! 俺もだ!! 俺もお前を愛している!! これ以上ないくらい愛してる!!」


 ミヤザワトモヒデの目の前で、ラフマニノフとバイオレットは熱い口づけを交わした。


 この結婚式には表宇宙のたくさんの豪華な来賓が来ていた。


 バイオレットはもう耐えられなかった。


 心からラフマニノフを愛する気持ち、ラフマニノフへの情熱、恋心、愛情があふれだし、我慢の限界をむかえ、本音を叫んでしまったのだ。


 どうなってもいい。


 ここで本当の気持ちを告白しなければ永遠に後悔する。


 そう思った。


 ラフマニノフとバイオレットは涙を流しながら、抱き合っていた。


ラフマニノフ「離れたくないよ。お前が大好きだ!!」


バイオレット「同じよ!! これ以上ないくらい愛してるわ」


ラフマニノフ「もうどうなってもいい。これでミヤザクトモヒデにどんなにいじめられようが、迫害されようが、エキスパートピアノを潰されようが、どうなってもいい!!!お前と一緒になりたい!!!」


 結婚式場のたくさんの客は、黄色い歓声を上げて、会場中が盛り上がった。


ミヤザワトモヒデ「お前たち、どういうつもりだ?何の真似だ?こんなことしてただで済むと……」


「ミヤザワ君!!!!」


 そこに一人の超大物がいきなり姿を現し、声を張り上げた。


 裏宇宙の神「アイザム・メトロン」本人だ。


アイザム・メトロン「ショパンから話は聞いたぞ?ラフマニノフの恋人を奪ったそうだな。それも同意なしで一方的に。どうなんだ?」


ミヤザワトモヒデ「メトロン様!!!なぜ、ここに?」


アイザム・メトロン「ショパンに聞いたのだ。私がどれだけ曲がったことが嫌いなのか分かっていないようだな!!!ミヤザワトモヒデ!お前は今日付けで、表宇宙の神の職を解任する!!!」


ミヤザワトモヒデ「いや、それだけはやめてください。メトロン様!あんまりです!!!ショパン!!!お前、チクったな!なんてことを!!!」


ショパン「唯一無二の親友のラフマを傷つけ、不幸にする奴はいくら宇宙の神といえど、絶対に許しません!!!本当に愛する者同士が結ばれるべきです!そうでしょ?」


アイザム・メトロン「ミヤザワトモヒデを結婚式場から追い出せ!!!」


 アイザム・メトロンの部下たちが、ミヤザワトモヒデを追い出した。


アイザム・メトロン「私の部下が大変な無礼を働いたな。でも、もう安心したまえ。ミヤザワトモヒデはもうこの表宇宙から永久追放だ」


ラフマニノフ「あなたは一体、何者ですか?? ミヤザワトモヒデにあれだけのことが言えるとは」


ショパン「裏宇宙の代表神で、ミヤザワトモヒデの上司だよ」


ラフマニノフ「ショパン……ありがとう。今回ばかりは本当に助かったよ」


ショパン「いつも僕を助けてくれたのはラフマじゃないか。僕はラフマに宇宙一幸せになってもらいたいんだよ」


バイオレット「ありがとう。ショパン。メトロン様。感謝します」


ラフマニノフ「バイオレット。もう、これで俺たちを邪魔する奴はいない。これからはずっと一緒にいられる」


バイオレット「ラフマニノフ様!!!」


 ラフマニノフとバイオレットは強く抱きしめ合った。


 ショパンは幸せだった。


 たとえ、バイオレットとラフマニノフが一緒にいる時間が増え、自分との時間が減ったとしても、ショパンはラフマニノフが最も幸せと感じることをしてほしかった。


 それが本当の友情だと。


 本当にラフマニノフが幸せなら、ショパンは自分が一番幸せだったのだ。


「自分がしてほしいと思うことを、何よりもまず人にしてあげたい」


 ショパンはラフマニノフの歓喜し、涙を流し、喜ぶ姿をいつまでも見ていた。


 喜ぶラフマニノフを見て、自分が一番嬉しかった。


64


 ショパンとラフマニノフはエキスパートピアノ音楽学校の様子をカメラで撮影、放送するテレビ局の番組の制作依頼を計画していた。


 その名も「エキスパートピアノの風景」である。


 週一で30分番組である。


 そのチャンネルを回せば、エキスパートピアノの生放送が見られるというものである。


 カメラは100台設置して、ランダムにカメラの映像が選ばれ、放送される。


 ショパンとラフマニノフの校長室のカメラは、映る確率が「2500分の1」でとても貴重である。


 いつ、ショパンとラフマニノフがそのチャンネルで映るか、楽しみで見る人がいるかもしれないという期待があった。


 その「エキスパートピアノの風景」の視聴率が高ければ、テレビCMも流すので、莫大な金が手に入る。


 生命ポイントだ。


 生命ポイントとは霊界でのお金である。


 ショパンとラフマニノフはテレビ番組の制作会社「マーマレード」に来ていた。


 2人はそこの社長とアポを取っていた。


 2人の有名音楽家が会いに来て、そこの社長はとても光栄に思っていた。


 2人はどのような番組にするかを細かくその社長と打ち合わせした。


社長「かしこまりました。番組をつくる費用はこの契約書通りです。わが社は霊界で人気なテレビ局です。そのゴールデンタイムに放送するということで、万が一、3か月の平均視聴率が5%以下ならば番組放送中止することになります。わざわざ超人気テレビ局で視聴率が稼げない番組を流していてもメリットはお互いに皆無ですからね」


ショパン「ああ、私たちはどうしても有名になりたい。エキスパートピアノ音楽学校を有名にしたいのです。なので、なんでも試してみたいと思いました。このマーマレードで私たちが提案したエキスパートピアノの風景を大々的に宣伝してください。ショパンとラフマニノフが経営するピアノに特化した音楽学校だと」


ラフマニノフ「ショパンを超えるピアノ音楽作曲家と、俺を超えるピアノ協奏曲作曲家兼ピアノ演奏家を我がエキスパートピアノから出したい。そのためには、今でもとりあえず有名だが、さらに宣伝を強化して、知名度を上げなくてはならない」


社長「あなた方の夢はとても共感できます。夢を叶えるお手伝いができれば嬉しい限りです」


 こうして、100台のカメラを使い、「エキスパートピアノの風景」は放送されることになった。


 開始からの平均視聴率は、


1か月目は11%。2か月目は8%。3か月目は5%。


 一応、平均視聴率5%以上は達成した。


ショパン「うーん。なんか、視聴率が微妙だよね。もっと人気出るかと思っていたのに!!!残念だな」


ラフマニノフ「俺たちが映る回数を増やしたらどうかな。他の生徒は無名だから、映っても見る人は少ない。見たいと思う人は少ないんじゃないかな」


ショパン「いっそのこと、僕ら2人だけのカメラにしてみる?有名な僕とラフマがいっぱい映る番組なら見る人がいるかもしれない。ピアノもたくさん演奏してさ。校長室とピアノ演奏室の2つだけにカメラを絞るんだ」


 こうして、急遽、カメラはショパンとラフマニノフがエキスパートピアノにいるところを集中させて映し、放送するようにした。


 題名も「ショパンとラフマニノフのエキスパートピアノ音楽学校での様子」と改名した。


 そうすると、霊界の有名な音楽家であるショパンとラフマニノフが見れるということで、ファンが視聴率を稼いでくれた。


 平均視聴率は18%となった。


 あくまで、校長室とピアノの演奏室での様子の2つのカメラのみ使われて、放送されているのだが。


 また、30分の番組のなかで、15分はピアノ演奏をショパンとラフマニノフが生演奏、生放送でしてくれるということで、人気が出た。


 最近の1週間の様子を事前に撮影し、編集し、放送する


「最近1週間のショパンとラフマニノフ」


も流された。


 ショパンとラフマニノフが校長室で仕事している様子など、リアルタイムで2人の様子が見れるようにもした。


 校長室で椅子に座り、リアルタイムで仕事をしていたり、作曲していたり、2人が仲良く話していたりしている様子、食事の様子など様々である。


ショパン「もっともっと有名になって、成功して、生徒数を増やして、いつの日か夢を叶えるんだ」


ラフマニノフ「自ら能動的に動けば、退屈する暇なんてないんだな。自ら動く。待っているだけじゃなくて。受け身じゃなくてな。自分から行動することだ。それを実践していこう。これからもな!!!」


ショパン「日常なんて、心構え次第で、行動次第で、創造性を発揮して、いくらでも楽しくできるんだ!」


65


 ショパンとラフマニノフの元にノブとアゲハがやってきていた。


ノブ「ショパンさん。実は提案があるんですけども。あなたのバラード5番を地球の物質界、私たちが住む世界で、広めたいのです。霊界で教えてもらったのを意味のあるものにするためにも。幽体離脱でいつでも霊界に来れるようになったからです。できれば、バラード5番だけじゃなく、まだ地上世界「物質界」で知られていないショパンさんの数々の名曲をぜひ、地球でも弾けるように、多くのピアニストが演奏でき、楽しめるようにしたいのです。私が幽体離脱して、霊界に行き、ショパンに会って、作品を学んでいるということは信じてもらえないでしょうけど。その許可を頂きたいのですが」


ショパン「いや、君の名で広めたまえ。広めようと何しようと自由にしてよい。君の作品として、私の珠玉のまだ知られてない霊界で作曲した200年分の名曲を世界中に広めてほしい。そうしてくれたら、嬉しい」


アゲハ「でも、そんなことしたら事実と異なることになるわ。頑固なラフマニノフが許さないんじゃないの?」


ラフマニノフ「いや、逆にノブの作品として広まっていき、みんなが霊界に来たときに、実はショパンの作品って分かった時のギャップというか、ある種の裏切りが、意外性がいいかもしれないな」


ノブ「僕の名で広めるのですか?」


ショパン「むしろ、君が有名になってほしい。私の作品でね。私が許可すれば問題ないはずだ。そして、すでにピアニストとして有名だろうが、さらに私の未知のピアノ曲を広めることで有名になった後に、実は霊界に行き、ショパンにピアノの作品を教えてもらっていたと、今までのこの質の高いピアノ曲はすべて、ショパンが霊界で作曲した作品だったのだと後から告白してみれば、物質界で霊界がもっと注目されるかもしれない。私たちが霊界にいるという期待でみんな死んだら更に私たちに会えて、ピアノも楽しめるというワクワクを味わえるかもしれないな」


ノブ「霊界でこれだけの新しいショパンらしいピアノの名曲を生み出しているのに、それを物質界では知られてないなんてもったいなさすぎます。だから、徐々にショパンの更なる名曲を広めていきたいです。許可をいただいたので、まずはバラード5番を僕の自作曲CDに収録したいと思います」


アゲハ「あなた、控えめな性格かと思ったら、いきなりやる気だして、どうしたのよ、ノブ??」


ノブ「霊界を有名にしたいのです。物質界では、死ねばすべて終わりと思っている人たちがたくさんいます。どうせ死んで全て無くなり、消え去るなら、生きていても仕方ないという、生きる意味を見失う人がたくさんいる。だから、死後の世界はあり、死後も生命は存続するという、生命は永遠という歓喜の事実を広めていきたいのです。そして、なにより、ショパンさんとの繋がりを強化したいのです」


ラフマニノフ「なぜ、繋がりを強化したいのかな?」


ノブ「ショパンの英雄ポロネーズがきっかけでピアノを始めました。ショパンは僕に夢と希望を与えてくれた存在だから!!」


ショパン「がんばりたまえ。ノブ君。心から君の野望を応援するよ!!」


 こうして、ノブによるショパン地上拡大作戦がスタートすることになった。


 ノブはショパンが大好きだった。


 ショパンと何かしら関わっていたい。


 それは彼の願いなのである。


ラフマニノフ「ノブがお前の作品でさらに有名になったら、霊界の存在もあるかもしれないというワクワクする人が増えるから良いことだと思う。人間は霊として永遠に霊界でも生き続けるという事実をたくさんの人が知れば、喜びながら、楽しみにしながら、地上世界を生きられる人が増えるからな」


ショパン「僕のピアノ曲って唯一無ニだって、以前、言ってくれたよね。それは本心??」


ラフマニノフ「当たり前だろ?俺は嘘つかないって、長年付き合ってきたお前が一番よく分かっているはずだ」


ショパン「ナイバルのピアノ曲と僕のピアノ曲。どちらが優れているかな?」


ラフマニノフ「もちろん、ショパンに決まっている。質ではショパンのほうが上だよ。曲数やジャンルの広さなどではナイバルに軍配が上がるが、ピアノ曲の質と内容ではショパンだ。お前はピアノの神だ。その前にもその後にもショパンを超えるピアノ音楽を作曲している音楽家はいないと思う!!!」


ショパン「ラフマ、、ノブが僕の作品でさらに有名になり、霊界の存在がさらに肯定されることで、どれだけ悲惨で嫌な人生になったとしても、過ちや間違いを犯したとしても、必ずまたやり直す機会が与えられるということを物質界の人たちに知ってほしいんだ。人は間違いを犯したり、運が悪いと、苦しい死に方することもある。でも、霊界でまた地球に人間として転生することもできるし、霊界では地上世界で叶わなかったことすべてが可能になるという希望の太陽の哲学を広めたい。辛く、苦しい地上世界から自殺者を減らすためにも、そのような太陽の考え方が必要だと思うんだ。ノブ君にはその太陽の考え方、哲学を広める使命があるんだと思うよ」


ラフマニノフ「まさか、ノブからあんなこと言ってくるとは思わなくて、意外だったな!!!」


ショパン「アゲハの積極的な性格に影響されはじめたのだろうね」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ