人類滅亡まで、意外と時間なかったり?
一気に飛び、もう6月です。
人数少なっちゃったクラスのお話です。
「人類滅亡まで、意外と時間なかったり?」楽しんでいただけたら嬉しいです。
むしむしとした湿度が肌にまとわりつき、制服が気持ち悪い感触になる。
「あっついぃ…。」
目の前の席で美鈴ちゃんがだらしなく机に伏せる。
私は自宅から持ってきたうちわで首を仰いでいた。
「6月だもんね。もう夏だね。」
修学旅行から一月以上経った6月30日。
期末試験も終わり、一学期も終わりに近づいてきていた。
私はうちわを美鈴ちゃんに向け、忙しなく動かしてやる。
「あー、年明けから半年も経ったのかぁ、早いな。」
「そうだね、もう夏至も過ぎたしあと半年…」
そう言いかけた美鈴ちゃんは、いきなり目を見開くと、スマホを取り出し何やら調べ始める。
2分近く経ったころ、美鈴ちゃんの口から「…ぇえ!?」という声が漏れた。
私は唖然とする美鈴ちゃんの顔を覗き込んだ。
「どうしたの?」
「今言われて気づいたんだけど、私達命日まで時間なくない?」
「まぁ、今年があと半年で終わるからね。それなりに…」
私が言い終わる前に、美鈴ちゃんがスマホの画面を見せてきた。
そこには、今日から来年の3月31日までの日数が表示されていた。
「あと…275日。275日ですよ!」
「そ、そうだね。」
あまりの美鈴ちゃんの迫力にのけぞってしまった。
「…え、反応薄くない?275日なんだよ?あとそれしか生きられないってわかってる?」
正直、だから何だという感じだ。
「そうだね」としか反応できない。
美鈴ちゃんは大きなため息をつき、私に湿った視線を投げかけてきた。
「な、なに…?」
「だぁって、結衣ちゃん生きるのに無頓着すぎるんだもん。あと…ざっと9ヶ月だよ?275日って。短いなーって思わないの?」
「別に。妊娠周期は280日でしょ?今から妊娠しても十分正規産で産めるし、まだ長く感じるけど。」
「そういう問題じゃなくて!」と美鈴ちゃんは大きく被りを振った。
私的に率直な意見を言っただけなのだが、間違っていただろうか。
「それしか生きられないことに、短いって感じないのかって話だよ!」
「しないかな。明日死ぬかもしれないし。」
空いた口が塞がらないという表情で、美鈴ちゃんがこちらを見つめてくる。
その痛みすら感じる視線に、私は露骨に目線を逸らす。
その拍子に、著しく人数が足りないクラスが視界に飛び込んできた。
今は昼休み。
教室以外で昼食を食べる生徒がいたとしても、あまりにも少ない。
そう、立河市立錦中学校3年4組は、圧倒的に登校人数が減っていた。
「なんか…随分少なくなっちゃったね。」
不意に口から溢れた言葉に、美鈴ちゃんが頷く。
「一年後に死ぬ」「受験もない」
宇宙の謎現象が生んだ暴論は、クラスメイトの意欲と登校意義を根こそぎ奪っていった。
修学旅行が終わり、期末試験が近づいてきた6月上旬。
クラスの生徒が少しづつ減っていった。
始業式の時には30人いたクラスに今いるのは、全部で24人。
数字で見ると少なく感じるが、実際にクラスを見回すとその数字の大きさがわかる。
登校していても教室にいない生徒もいるので、本当に不登校状態の生徒は3人くらいだろうか。
「みんな、どんどんいなくなっちゃうのかな。」
美鈴ちゃんの言葉に、私は「そうかもね」と返した。
実際、真面目に授業を受けてる生徒なんて、ほとんどいないからだ。
そのうち、登校すらしなくなる生徒は増えるだろう。
私は斜め後ろにある空席を見つめる。
(あいつ、もう学校に来ないのかな…)
さ行の席の彼に、私は小さなため息を漏らした。
物思いにふっけていた私の肩を、左側から小さく叩かれる。
振り向くと、そこには真剣な眼差しを向ける美鈴ちゃんがいた。
「私は、卒業式まで学校に行くよ。」
その視線に、「結衣ちゃんはどうするの?」という問いが含まれてる気がした。
私は二つ返事で答えた。
「私も。最期まで頑張るよ。」
斜め後ろの空席を見つめながら、私はそう言った。
前話からぶっ続けで原稿を書いてるので、文章が変になってそうだなって心配です。氷室八弥です。(読み方:ひむろやや)
今回の結衣ちゃん、論理的すぎてちょっと気持ち悪いですね。
だんだんクラスの人数が減ってくのは寂しいだろうな。でも、実際そんなにいないんじゃないかなって私は思いますが。
さ行の「あいつ」とは、一体誰でしょうか?お楽しみにー!
ご意見・ご感想、お待ちしてますー




