友達って
今回、恐ろしいくらい平和です。
「友達って」楽しんでいただけたら嬉しいです。
4月15日。人類滅亡まで残り351日。
3年生に進級して少し経ったが、私がどんな学校生活をしているかといえば…。
「結衣ちゃーん、宿題写させてよぉ〜。」
「そんな某猫型ロボットに頼る小学6年生のノリで頼ってこないの。自分でやりなさい。」
「そんなこと言わないでおくれよぅ。展開なんてわからないよぅ。」
と、ほとんど毎日泣きついてくる友達1(名前は宇佐見さん。後ろの席。)と…
「…あ。…」
と目を合わせるたびに萎縮されるが、男子に話しかけられると口角が上がり、態度が変わる男子1(確か名前は鯉川さん。右隣の席。)そして…
「結衣ちゃん結衣ちゃん、見てあれ。」
「どうかしたの?」
「あの雲、クロワッサンみたい…。」
「…あぁ…まぁ、そうなんだね?」
と、たまに本当に呑気なことをいう安藤美鈴ちゃん(前の席)と話すことが多い。
他のクラスメイトと話すことはほとんどなく、強いていえば出入りが被った時の会釈に尽きる。
癖の強い生徒が周りに固まってるように思えるが、気のせいだろうか。
そして、生徒が癖強だからといって、先生が普通という保証はない。具体例を挙げれば…。
国語の先生は「こんにちは」の「こ」が毎度上がっていて「こ↑んにちは」になっている。
理科の先生、放課後の理科室で顕微鏡を覗きながらにやにやしていたという目撃情報あり。
体育の先生は根性論が異常に強い。
…と、先生の方が癖強という現象がおきている。
(入学した時からそんな予感はあったけど、ここの学校って変な人集まるのかな…)
そんなことを考えながら廊下を歩く。三時間目が体育なので着替えなくてはならない。
体育は苦手なのだが、どうせあと一年で終わるのだ。仕方ないので出てやる。
更衣室で体操着に着替え、体育館に移動する。
本当に憂鬱でしかない。機能的推理により、この季節は多分…
「今回は恒例の体力測定やりまーす。」
やっぱり…と、つい声が出そうになった。この季節はいつもこうだ。
そして私が体育分野で一番嫌っている20mシャトルランをやらなければならない。
記録用紙を配られ、測定をして回っていくスタイルだ。
「結衣ちゃん、一緒に回ろうよ。」
体育が嫌いじゃない美鈴ちゃんがにこやかに誘ってくる。
私は「よろしく」と答えると、用紙に目を落とす。記録項目の多さにがっくりと項垂れた。
握力と反復横跳びを回り終え、授業時間は後半分くらいだろうか。
すでに疲れが滲み出てぐったりしてきた私に反して、美鈴ちゃんはぴんぴんしている。
(…なんでこの人こんなに元気なんだ…。)
体力測定は2、3回に分けて行うとは言っていたが、どうみても項目が多いように感じる。
私のような非力にも回りきれる量なのだろうか。毎年疑問に思う。
そして次に回るのは…。
「結衣ちゃん結衣ちゃん、次はシャトルランだよー。」
「うん分かってる。言わないで…。」
「あっ、そっか。結衣ちゃんシャトルランが天敵だったっけね。頑張ろ!」
簡単に言ってくれる。私は体育館の中央に、テープで作られたトラックを睨んだ。
規則的な音階の電子音が体育館中に鳴り響く。そして私はそのトラックの中を往復している。
まだ始まって数分しか経ってないだろうが、すでに息が切れる。
隣の美鈴ちゃんは涼しい顔をしているのに、なんで私だけこんなに運動できないのだろうか。確かに普段から運動の習慣はないし、小さい頃からインドア生活を続けていた。そのせいかな…。
何回トラックの中を回っただろうか。回数なんて、とっくに数えられなくなっていた。
頭がくらくらし、呼吸が乱れていく。視界がチカチカして、身体中から汗が吹き出る。足が重いが、先生から「やめ」と言われるまで走り続けないといけないのが本当に苦痛だ。
あと一回、あと一回を繰り返していく。
しばらく朦朧としながら走っていると、遠くから「磐城さん、止まっていいよ」という先生の声が聞こえてきた。
やっと終われる…。壁に持たれるように体重をかけると、重力に抗えず下半身から私は崩れ落ちた。
歩いて呼吸を整えないといけないが、そんなことができるほど体力は残っていない。
目の前が真っ暗になり、意識が遠のいていくのを感じた。
私の名前を呼ぶ声が遠くから聞こえる。
私は重い瞼をこじ開け、視界に映った状況を見て唖然とした。
体育の先生、保険の先生、美鈴ちゃんが私を囲むようにして座っている。仰向けになり、足は上げてある。まだ頭に霧がかかっているが、今の状況を確認する。
「え…私、どうしました?」
「走った後に倒れちゃったんだよぉ。心臓止まったかと思った…。」
美鈴ちゃんが今にも泣き出しそうな顔で説明する。
なんとなくそんな予感はしたけど、本当に倒れてしまっていたらしい。
保健の先生と体育の先生が何やら話したのち、保健の先生が近づいて言った。
「とりあえず今回の体育は見学にしてもらって、次の授業も体調次第で決めてね。駄目そうだったら保健室に来てください。…でもさっきより顔色はいいし、気持ち悪いとかはない?」
私は「ないです」と答える。
保健の先生は「じゃあ今のところ大丈夫かな」と言った後、「じゃあ後お願いしまーす」と言い残し、体育館から出て行った。
まさか本当に倒れるとは思わなかったな…。日頃から運動しておくべきだったろうか。
そんなことを考えていると、視界の端から水筒を差し出された。
水筒を持って来てくれたのはうちのクラスの保健委員だった。名前は確か…。
「ありがとう。保泉さん。」
「いいんだよ。体調は大丈夫?」
保泉さんは私の前に座ると、顔を覗き込む。私は差し出された水筒を受け取り、少しづつ口にする。
「大丈夫。心配かけてすみません。」
「同じクラスなんだから、そんなに改まらなくていいのに…。私のことも花音でいいよ。」
保泉さん、下の名前花音って言うんだ。前聞いたことがあるような気がするが忘れてしまっていた。
「あと一年だってのに、ご丁寧にやらされるなんてね。面倒だよねこれ。」
「…本当に!本当に面倒です。」
おかげで酷い目に遭ったし、やはりこの測定は嫌いだ。
「私は個人的には許容できるかも。一年後に滅ぶとしても、体の健康に関わるものだし、まだどうでもいいって吹っ切れるのは早いしね。まぁ、こう倒れちゃうとやらなくていいじゃんって思うけど。」
確かに…と思った。あと一年、されど一年だ。351日は長い。
その間の運動不足等を危惧して、花音さんはこの主張をしているのだろう。
「ぐうの音も出ないや。もっと運動してれば、こうはならなかったかも。」
「私と一緒に運動するー?きっと楽しいよ!」
「丁重にお断りする。」
美鈴ちゃんが目を輝かせる。この子本当に体育が好きなんだな。てっきり同じインドア派だと思っていたのに…。
3人で顔を見合わせ笑い合う。あと一年でなくなるけど、学校は捨てたもんじゃないかもしれない。
どうでもいい話をするのも、悩みを打ち明けるのもできそうで、今更ながら友達という関係の不思議さを感じていた。
ゴールデンウィークは予定がないようであります。氷室八弥です。(読み方:ひむろやや)
今回、平和すぎて内容が薄くなってしまいました。「へー」と流してやってくださいね。
皆さんは最近、どんな動画や本を読むのでしょうか?私は雨穴さんの「変な」シリーズを見返そうかなーと思っています。
雨穴さんの最新の動画、最高でした。お時間あれば皆さんも是非是非。
ご意見・ご感想、お待ちしてます!




