第七杯「転校生の茶道部部長」
第三話から第六話を大きく書き直しています。第六話までお読みになられていた方は、お手数ですがお読み直しのほど、よろしくお願いいたします。
新校舎の隣にある、今は特別授業などでしか使われていない旧校舎の古い階段を上る。
掃除はしてるんだろうけど、ホコリだらけだ。多分掃除しても掃除してもホコリが降ってくるんだろう。
節電のためか電気が点いていない薄暗い階段を重い足取りで3階まで上ぼりながら、僕は暗澹とした気持ちになっていた。
部活なんて、いや誰かと関わるなんて面倒だ。人間関係は最小限でいい。
「……ハア」
どうやって転校生の茶道部部長の子を傷つけずに入部を断るか、考えても思い浮かばない。
こういうのは本当に苦手だ。
興味がない相手に興味があるフリをするのも、興味がないと伝えるのも。
「……ハア」
階段を上る足が、重い。
僕が何事にもやる気がないのも、自分の青春に何の期待もしてないのも、すべては初恋の相手と違う学校に進学する事になったからだ。
彼女の事を、僕は今でも引きずっている。
そんな事を考えながら歩いている内に、三階まで着いた。
これまた電気が点いてない薄暗い廊下を進み、隅にある茶道部の部室の前に立つ。
こんな所に来たのは初めてだ。古びた扉に『茶道部』と達筆な字で書かれた紙が貼ってある。
僕は、その扉をノックした。
『は、はーい』
緊張した声が返ってくる。
扉越しだけどキレイな声が響いた。まるで琴の音色のようだ。
「生徒会長に言われて体験入部に来ました。2年の大鳥おおとりです」
『ど、どうぞ。お入り下さい』
「失礼します」
横に引く扉を開けて中に入る。
古い教室だった。
壁も天井も年季が入っている。けれど床にはきれいに畳が敷かれ、部屋の中はきちんと掃除されていた。
壁には『和敬清寂』と達筆で書かれた掛け軸が飾られ、白い花が飾られた花瓶もある。
そして畳の上には、制服姿の少女が正座していた。
その人は、緊張した様子で背筋を伸ばしていた。
シワ一つないセーラー服。スカートのプリーツはきっちり揃っていて、まるで儀式のように整った姿だった。
そして、その制服を着ている少女も――目を奪われるほど美しい人だった。
「さ、茶道部部長の瀬川莉子です!」
少女が、両手をついて美しい所作で頭を下げる。
「ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」
少女がゆっくり顔を上げる。
その瞬間、僕は息を呑んだ――――――――
目の前にいたのは――――――――
中学三年間ずっと好きだった、初恋の相手。
椎名莉心と、瓜二つの顔をした少女だった。
瀬川莉子
誕生日 2月7日
身長 163cm
クラス 2年4組
好きな食べ物 和菓子
苦手な食べ物 洋菓子(特にクリーム系)
得意科目 古文・日本史
苦手科目 英語
趣味 カワイイものを見る事・集める事(特にぬいぐるみ)
特技 書道
最近の悩み 新しく立ち上げた茶道部に部員が集められない




