39/66
第三十九杯「新しい朝」
新しい朝が来た。
希望の朝かどうかは分からないけど、気分は新しい朝だ。
昨日瀬川さんと話をして、茶道部に残る事になった。
『私が大鳥君の事が好きだからです』
あの言葉の意味が気になって昨日はなかなか寝付けなかった。
普通に考えれば人間としてという意味だと思う。
けれどあんな事を言われたらどうしたって気になってしまう。
「……ズルい人だな、瀬川さんは」
天然か、それとも人たらしか。
何にせよ彼女の思惑通りになってしまった。
「……」
どうしても彼女の事を意識してしまう。
けど勘違いしてはいけない。
普段通り、これまで通りの僕でいよう。
好きだと勘違いして痛い奴になるのが一番恥ずかしい。
「……うん?」
ふと、何やら違和感がして起こしかけた体を横にする。
「……痛い」
体のある部分がピリピリして痛い。
経験のある痛みだ。子供の頃手で触った時にうっかりなった事がある痛みだ。
「……」
毎朝の生理現象を起こしているそれを、刺激しないように慎重に立ち上がる。
その際もピリっと来てウッとなる。
おそるおそるパジャマのズボンと下着のゴムに手をかけ覗き込む。
「……あ~、マジか~……」
大鳥裕樹、17歳の6月。
男として一皮剥けた朝だった。




