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さどうぶっ! ~転校生の茶道部部長は、初恋の女の子に瓜二つだった件~  作者: アブラゼミ
いっぱいめ「ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」

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第十七杯「とある図書委員の禁書目録」

 職員室で鍵を受け取り、図書室へと向かう。


昇降口前の廊下は部活へ向かう生徒がごった返していた。タイミング悪く重なってしまっているらしい。黒色の学ランと紺色のセーラー服の群れで詰まっている。


僕はそれを避けるように大きく迂回して、図書室へ行く事にした。








 久しぶりに通る1年生の教室前の廊下。


少し前まで1年生だった僕達と入れ替わった1年生達が、騒がしく談笑していた。


早足で1年生の廊下を進んでいると、6クラスある教室の真ん中辺りに、何やらポスターが貼られている掲示板があった。




「部員集めのポスターって、これの事か」




『茶道部 部員募集中』と達筆な筆で書かれたポスターが、他の部活の部員募集のポスターと並んで隅っこに貼ってある。文字だけで絵も何もない、これじゃ書道部のポスターみたいだ。




「瀬川さんって、独特のセンスの持ち主なのかもな……」




 僕はポスターから目を離し、図書室へ急いだ。








****************************








「ゴメン、待ったー?」


「いえー、今来た所ですー」




 まるでデートの待ち合わせのようなやり取りだが、その場所は学校の図書室の前だ。


金髪ショートボブの輝木さんと、数名の生徒達が本を持って待っている。


鍵を開けて、カウンターに座り輝木さんと2人で本の返却を受け付ける。


すぐに仕事がなくなった。




「ヒマですねー」


「ヒマだね」




 僕は参考書を取り出し、輝木さんはタブレットをいじり出す。


それも飽きたので、近所の図書館から借りてきたラノベを取り出し読み出した。


しばらくして、輝木さんがタブレットをカウンターに置いてこちらに話しかけてきた。




「先輩先輩、何読んでるんですか?」


「『とある魔術の○書目録』」




 読んでいた巻を閉じ、輝木さんに表紙を見せる。


輝木さんが、獲物を見つけた猫のように目をギラリと輝かせた。




「ほほう、1周してそこに帰ってきた感じですか」


「うん、そんな感じ。久しぶりに読み返したくなっちゃって」




 数多あるライトノベル作品の中でも超人気作で、超大作と言っていい作品。


当然読んだ事あるが、久しぶりに読み返すと面白くてハマり直したという訳だ。




「先輩はどの話が好きですか?」


「新約のオティ○スを世界中の刺客から守る話かなあ。世界中を敵に回しても1人の女の子を守る上○さん、マジ上○さんだよ」


「マジ上○さんですよねー」




 オタクにしか分からない話で輝木さんと盛り上がる。


中学でも高校でもこういう話ができる相手がいなかったので、彼女というラノベ好き仲間ができたのは素直に楽しい。




「先輩はどのキャラ推しですか?」


「食○操祈かな。輝木さんは?」


「結○淡希ちゃんです」


「え、意外」




 上○さんや一○通行の名前が出てくるかと思ったら、意外な名前が出てきた。


無印の頃は少しだけ活躍してたけど、新約や創約に入ってからはそれほど出番は多くないし、どちらかというと男性に人気がありそうなキャラだ。




「ところで先輩、茶道の本はどうしたんですか?」




 理由を聞こうと思ったら、話題を変えられた。


僕は苦い思いを飲み下しながら、輝木さんに答えた。




「あれなら返却して本棚に戻したよ」


「どうしてですか?」


「やっぱり、ホラ……『百聞は一見にしかず』っていうか、『習うより慣れろ』っていうか……」




 昨日はおとといに続いて歩き方の練習と礼の練習だった。何回か扇子で叩かれた。


正直勉強しても頭に入らなかったし意味がなかった。


自分で返却手続きをして、自分の手で棚に戻した。本当はいけないんだけど。




「ふーん、そうなんですねー」




 輝木さんが興味なさそうな返事をする。


それから人もまばらな図書室を見回して、前を向いたままこちらに話しかけてきた。




「先輩、転校生の茶道部部長って、どんな人なんですか?」




 輝木さんに聞かれ考える。


まだ3回しか会ってないし、瀬川さんの人となりを知っているとはいいがたい。


けれども、彼女を一言で表すとしたらこの言葉以外ない気がした。




「美しい人、かな」


「……美人って事ですか?」


「ああうん、見た目もそうなんだけど仕草というか所作というか、ひとつひとつの動きが美しいんだ」


「ほほう」


「正座してる姿とか、お茶を点てる仕草とか、美しくて思わず見とれちゃうんだ。字もすごくキレイなんだよ」


「へー、そうなんですかー」




 輝木さんが、気のせいかジト目でこっちを見てくる。


どうしたんだろう?




と、思っているとカウンターの前に誰かが現れた。


輝木さんと2人、慌てて佇まいを直す。


目の前には紺色のセーラー服と白いリボンに包まれた形のよさそうな胸、キレイな首筋、頭の上でお団子にした茶色い髪。そして、あの子に瓜二つな顔。




「大鳥君、こんにちは」




 噂をすればなんとやら、


そこにいたのは転校生にして茶道部部長、瀬川莉子さんだった。

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