第九十六話 アクアドラゴンとの対話
この作品は百話到達後に週3投稿か、隔日に変えさせていただきます。筆者のリアル環境が大きく変わるため、毎日投稿が厳しくなってきます。これまで欠かさず最新話を読んでくれてありがとうございます。これからも末永くよろしくお願いします。
「マジか、すぐに行く」
「早く来て!」
うーん、移動手段がないな。馬車はまだユウキランドにほとんどないし。
どうしたもんか。
「オラたちに任せるだ!」
「アール、イーガ、ウーノ!」
「ワイバーン便で鍛えたところをユウキに見せるだ!」
「オラたちのアイテムボックスに入るだ!」
ユウキランドの運搬要員ことワイバーンのアール、イーガ、ウーノが来てくれた。
ルル達の魔力を追ってもらい、アイテムボックスに入る。
転移魔法を使う気分に似ているな。なんか、浮遊感があって暖かいと思ったら一瞬で着いていた。
「ルル、カゲ!」
「ユウキ!」
「ワイバーン達がここで役立つとはのう。もう見えておるぞ」
神聖の森の中にぽっかりと開いた広大な湖が見える。
水質はかなり綺麗で川魚や藻が生えていた。
そして……中央にそびえ立つのは全長十メートルの東洋の龍のような見た目の水龍だった。
鱗は水色のオーラに纏われていて、圧力が半端ない。
ん? 所々、黒い鱗と紋様に覆われているな。
水龍が威圧してきているようだ。
「こ、怖いだ」
「オラたちではかなわねえ」
「ありゃあ、何百年も生きた古龍だなあ」
「古龍ってのはどういう龍なんだ?」
「数百年生きて、体が成長しきった龍の頂点なんだな」
アールが答えてくれる。
確かに敵いそうな相手じゃないな。ちょっと話しかけてみるか。
「数百年生きた古龍だとお見受けした。私は神聖の森の統治をしているユウキ伯爵だ」
「我の眠りを妨げた人間たちの長か」
「申し訳ない。ユウキランドの建設で忙しかったんだ」
水龍は尾を振り回しながら威圧してくる。
だが俺もレッドドラゴンとキングヒドラのオーラを纏うと水龍の態度が変わる。
「ほう、キングヒドラとレッドドラゴンを倒したのか。なかなかやるではないか」
「いえいえ、ですが貴方の方が格上では?」
水龍はフンと鼻息を吐き、少し威圧を収める。
「当然だ。我は数百年以上生きた古龍。小童どもを倒したところで我には届かぬ」
「それはそうだ。だがこちらに敵意はないんだ」
ルルとカゲはまだ怯えているな。無理もない。
俺も気を抜いたら膝が震えそうだ。
だが、俺はユウキ伯爵、ここで怯えているわけにはいかない。
俺と水龍はしばらく全力のオーラでにらみ合っていた。
空気が震えて、神聖の森に静寂が訪れる。
何秒だったかわからない。数時間さえ経っているかもしれない。
水龍はフッとオーラを霧散させる。
ふう。何とかなったか?
「我の全力の威圧に耐えるとはな」
「これでも修羅場をくぐっていますから」
「ほう。まあそれは良い。こちらに頼みがある。その頼みをかなえたらユウキランドとやらの統治を認めてもよい」
おお、やっと交渉っぽくなってきた。
頼みとは何だろう?
「我の領域である神聖の森に危機が迫っておる。邪悪な人間共の敵意がな」
「⁉ それはアルクアラウンド帝国ですか?」
「名前は知らぬが神聖の森の木々を刈り取り、徐々にこちらに範囲を広げておる」
クソ。一年か二年後って言ってたのに思った以上に侵攻が速いな。
俺は唇を嚙みしめる。
「案ずるな、ユウキよ。頼みとはそのことではない」
「ならば何ですか?」
「我にかけられた呪いを解いてほしいのだ。このままでは呪いにむしばまれて邪龍に落ちる」
「古龍の水龍様に呪いをかけられる人物がいるなんて……」
「アルクアラウンド帝国に潜む魔族が呪いをかけた」
「魔族?」
この世界に魔王とかはいないって昔見たコウダイ様の日記にはあったけど今は違うのか?
「魔族と呼称しておるがあれは別の世界からの異物じゃ」
「私と同じ転生者……」
「そうだ。そやつとやり合い、何とか勝ったものの邪悪な呪いをかけられた」
「分かった。その呪いを解こう」
水龍は全長十メートルの巨体を近づけてくる。
まあ、転生者の呪いだろうとエンシェントヒーリングなら解けるだろう。
俺はこの時、完全に副作用を忘れていた。
エンシェントヒーリング:回復魔法の最上位魔法。魔力がBランク以上の者は欠損状態すら治せる回復魔法。副作用もある。
俺は体から金色と緋色の魔力を混ぜ合わせる。それはやがて太陽の輝きとなり、痛々しい黒い鱗が見える水龍に降り注いだ。
「これは……本当に暖かい……我の心にまで染み渡るようだ」
ルル達もその光を見つめながら、何かを呟いていた。
水龍の黒い鱗と紋様が徐々に消えていく。
そして水龍の体から黒い靄が溶け出して、霧散していく。
『ぐぎゃああああ! 俺様の呪いを解きやがったな!』
太陽の光が消えていくと水龍が恍惚とした顔になっているのが見えた。
「わ、我は女神マリア様に会ったぞ!」
「そうですか!」
「それでな、ユウキランドの守り龍として使命を果たせと承ったのだ!」
「え?」
な、なんか話が怪しい。
俺、アルクアラウンド帝国の偵察したいから帰っていいかな?
『てへぺろ☆』
『マリア様、またやりましたね!』
『大丈夫です。あの水龍は男ですから☆』
『もっと嫌な情報だ!』
水龍はまばゆい光に包まれて、水色の髪を肩まで靡かせたキラキラしたオーラを纏った高身長イケメンに変わった。
「ユウキ! 我の使命がわかったぞ!」
「え? 何でしょう」
「ユウキランドを生涯守り抜くことだ!」
お、おう。なんかまともだ。
良かった。ランドさんからラニさんみたいにならなくてよかった。
「ユウキが望むなら女になろう!」
「ならなくていい!」
あ、あかん。またハーレムがああああ!
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