第九十五話 ユウキランドの視察
追記:この話から週3投稿に変えさせていただきます。ストックがほとんどないためです。
ご理解ください。
「俺は本当に伯爵になったんだなあ」
「ユウキは変に偉ぶってない。そこが好き」
おお、ルルの言葉は刺さるなあ。
ちょっと涙が出そうだぞ。
ユウキランドの城の中はまだまだ調度品が足りていなかった。
まあ変に飾り付けるつもりはないが、多少は必要だな。
「ユウゴ、ユウキランドの移住者たちはどうなってる?」
「ピピ。もう二千人以上は来てる。急いで街の建築中」
「そうか、そこから城のメイドさんたちも雇わないとな」
配信が人気があるからかなり人が集まるんだろうなあ。
神聖の森はエルグランド王国の辺境だからそうそう人は集まらない。
その後、シチランオークの生育状況を聞いたりする。
「ユウキ伯爵、シチランオークはかなり増えて千体以上いるぞ」
「いろんなものを食わせたが、米を食わせたシチランオークが一番人気があるのじゃ」
冒険者ギルドの支部長のバルガスさんと商業ギルドのバンズさんが答えてくれる。
そっか、陸稲の米も状態保存で数百年前の在庫が残っているからまだまだ大丈夫だ。
その後、ガーディアンが肩代わりしてくれていた書類仕事に追われる。
伯爵になったのだから、俺の権限でしか決済できない案件は大量にある。
「うーん。神聖の森をもっと切り広げたいか」
「ユウキ、アルクアラウンド帝国との戦争もあるから迷いますわね」
「そうなんだよ、イリス」
イリスは隣で俺の書類仕事を手伝ってくれている。
「もっとどんな魔物が出るかも調査した方がいいです」
「クリス、それもそうだよな」
昔はカゲが神聖の森の見回りをしてくれていたが今は俺についている。
冒険者たちが神聖の森の魔物の間引きをしてくれているが、広大な森ゆえに追いついていない。
「もしかしたらドラゴンが住んでいるかもしれないしな」
「フフフ、そうそう、ドラゴンは出ませんわ」
「いやーキングヒドラとレッドドラゴンの件があるからな」
俺たちは軽く会話していたが、これがフラグというやつだと後になって気づく。
「パメラの糸による服の生産はどうなってる?」
「ピピ。順調。庶民の服には糸が高価すぎるから、貴族向けに作っている」
「舞踏会の時にみんなのドレスが好評過ぎて、奥様方から作ってほしいって頼まれてるからな」
バルクの街にいた仕立て屋のアレイアを神聖の森のユウキランドに引き抜いたのだ。
アレイアのデザインはかなり洗練されていて元々人気だったところにグレートモスのパメラが吐く糸を使ったことによって人気が爆発した。
「そうだ、ミシンを置いてあげよう」
「ミシン?」
「服を縫う時に使う機械だよ」
俺は仕立て屋のアレイアの店に行って、ミシンをプレゼントしようとしたのだが……。
「おーい、俺だよ。ユウキだ」
『……』
店の中は無言で糸を縫う人によって埋め尽くされていた。
針子は三十人以上いるな。
「……誰ですか? この忙しい時に……」
店の奥からよろよろとした赤毛の女性が出てくる。
目の下には隈ができている。
これはダメだな。ちょっと休ませないと。
「注文はどれくらい受けているんだ?」
「数えきれないくらい……」
「それはダメだ。ちゃんと納期が迫っている物とそれ以外の余裕があるものに分けないと」
俺は店の中に入り、まずミシンを針子の分とアレイアの分を買って使い方を説明する。
まあ家庭科で習ったくらいの事しか俺も知らないけどな。
だが、アレイアと針子たちの目がめっちゃ輝いてるな。
「すごい! 並縫いが簡単にできる!」
「糸の間隔も均一ですよ!」
「これでまだまだ働ける!」
「ストップ! ストーップ!」
俺が叫んだので皆が不思議そうに俺を見る。
「これは皆の業務を効率的にするためのもので、これ以上仕事を増やすための物ではありません!」
「そんな! もっと働きたいのに!」
「ちゃんと継続可能で長時間働かない環境にしてください! アレイアも休め!」
ミシンの使い方を説明した後、俺はアレイアを店の裏の居住区に寝かせる。
「私はもういらない子ですか?」
「そんなわけないだろう。休めって言ってるの」
「……はい」
流石に疲れていたのだろう。アレイアはすぐに眠りについた。
はあ、ったくどうしてこうなったんだ。
俺は次にドワッフさんの鍛冶場を見に行く。
カーン! カーン!
金属を叩く音が聞こえてくる。
鍛冶場を覗くと火を使っているので熱気が凄い、気がする。
俺はレッドドラゴンの魔力を持っているので熱はほとんど感じなかった。
「ドワッフさん! いるか~?」
「なんじゃい! この忙しい時に! ってユウキさんか!」
「おう、仕事は順調か?」
「そりゃあ、順調だぞ。ミスリル鉱石をほぼ無限に使えるから鍛冶が楽しくて仕方ないわい」
どうやら魔力を込めた長剣を作っているようだ。
「それは魔剣か?」
「おお、一目で気づくとは流石じゃのう」
「魔力を感じたからな」
厚みのある大剣と長剣の中間くらいの剣だ。
それにしても何か引き付けられるな。
「これは暁の火のパーティー用の長剣じゃぞ。切れ味上昇と魔力を通しやすい形になっておる」
「ほう、そう言えば、王都に行く途中で、これをもらったんだが……?」
俺はアイテムボックスに眠っていたヒヒイロカネとレッドドラゴンの牙を見せる。
「な、な、何じゃ! これがヒヒイロカネではないか!」
「そうなんだ。俺の伯爵家に伝わる秘剣としてこの二つを使った魔剣を作ってほしい」
「お、おう! 勿論じゃ! 期限としては一か月くらいかかるが構わんか?」
「全然大丈夫だよ。とにかく良い物を作ってくれ」
どんな魔剣になるか楽しみだな。
その後、ドワッフさんの作業を見ているとスマホに連絡があった。
「大変! 神聖の森の中間に大きな湖が見つかった!」
「マジか、ルル。俺もそこに向かう」
「強大な魔力を感じるってカゲが言ってる」
「ええ?」
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