第九十七話 帝国軍を偵察する
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ったく水龍を助けただけなのにこんなことになるなんて。
まあいいや。
「ユウキ、我に名前を付けてほしいのだ」
「良いですよ。私はあまりネーミングセンスがないのですが……」
「何でもよいのだ」
そうだなあ、水龍だからスイとかリュウガとかいいかもしれない。
「リュウガでもいいですか?」
「ふむ、良いのだ。我はこれからリュウガと名乗ろう!」
水龍が天に向かって叫んだ瞬間、まばゆい光に包まれる。
ワイバーンの時にもあった従魔契約というやつかな。
「おお、ユウキのアイテムボックスが使えるようになったぞ!」
「本当ですか。ワイバーン達もそうなったんです」
リュウガはワイバーンのアールとイーガとウーノとルルとカゲを見る。
『……』
まだアール達は怖がってるな。ルルとカゲも一緒だ。
「ふむ、そう固くなるな。我はユウキの従魔となった。お主らと一緒だ」
『へ、へい』
「う、うん。リュウガ、かっこいい。ユウキには負けるけど」
「わらわは怯えてしまうのう。何といっても神聖の森の裏の支配者と言った所じゃからのう」
ワイバーンのアール達は尻尾をお尻の下に丸めて怯えている。
まあ、時間はかかるだろうが慣れてほしい。
カゲも魔物だから慣れるのには時間かかるだろうな。
ルルは天然なのか、リュウガを見上げて、何かを呟いていた。
それにしても、もうアルクアラウンド帝国の侵略は始まっているようだ。
一度、敵情視察に行きたいな。
「リュウガ、その存在感を隠して、アルクアラウンド帝国の偵察に行くことはできるか?」
「我にかかれば楽勝なのだ。それにシャドウライガーの影魔法を使えばもっと確実に隠密できるぞ」
「確かにな。カゲ頼めるか?」
「任されたのじゃ」
「ルルも行く!」
そうだな、アール達に乗ってもらってルルとカゲと俺とリュウガ達で敵情視察に行くか。
俺はリュウガの背中に乗り込み、ルルとカゲはアールとイーガに乗る。
さあ、待ってろ。帝国軍、偵察に行くからな。
「カゲ、影魔法を頼む」
「分かったのじゃ」
俺たちはカゲの魔法によって、周囲の景色に溶け込む。
リュウガとアール達は空に浮かび上がり、神聖の森の広大な地平線を見つめながら宙を進む。
野鳥が鳴き、遠くの空にはグリフォンやコカトリスが飛んでいた。
あんな魔物も神聖の森には住んでいるんだな。
「グリフォンやコカトリスは強いのか?」
「ふむ、キングヒドラとレッドドラゴンよりは弱いのだ」
「ルル達の方が強い」
「あ奴らは空を飛ぶから厄介じゃのう」
あまり使われていないが、エルグランド王国とアルクアラウンド帝国を結ぶ一本道がある。ほとんど使われていないので獣道のようになっているけどな。
空を飛んで行っても、四時間はかかるとのことだ。
リュウガやルルとカゲとアール達とおしゃべりをしながら進んでいく。
「リュウガは何年くらい神聖の森の広大な湖に居たんだ?」
「ふむ、ここは魔力が噴き出して心地よいからのう。ざっと千年以上はおるのう」
「それだと古の賢者、コウダイ様と喋ったことがあるんじゃないか?」
「ルルもコウダイ様の話聞きたい」
「わらわもじゃ」
「そうだな。コウダイはとにかく強い男で周りに頼られておった。嫁も百人以上いたかの」
百人って、今の俺よりも十倍以上違うじゃん。
すごい数だな。
「あの頃は今よりも戦乱が続き、世の中は荒れていた。エルグランド王国の礎を作ったのはコウダイだぞ」
「へー」
古の賢者コウダイ様について話していると、あっという間に時間がたった。
「見えてきたな」
「あれは……?」
「何と珍妙なものを使っているのう」
神聖の森の木々を切り倒しているのは日本で見慣れたショベルカーや重機のトラックだった。
アルクアラウンド帝国とエルグランド王国を結ぶ一本道ではなく、別の方向から森に道を作っている。
「ユウキ、あの黄色い変な形の物はキャンピングカーに似てる」
「そうだ。間違いない帝国の転移者がアルクアラウンド帝国に協力してるんだ」
いつも通り俺の視界は配信されているので、視聴者から驚きの声が上がる。
「マジか。転移者は勿論他にもいると思ったけどよりにもよって、アルクアラウンド帝国で転移か」
「それも重機ってことは機械を持ってこれるのか? 相手が銃を使うことも考えた方がいいぞ」
これは大ごとになってきたな。
だが水龍のリュウガに呪いをかけた転生者もいるって聞いたな。
それとは別なのか?
ここからは声を出さずに念話で皆と話す。
普段マリア様と念話してるからみんなにも試したらできたんだ。
『リュウガ、ここに呪いをかけた魔族を名乗る転生者はいるか?』
『いや、あ奴の気配は大体わかる。ここにはいないが、アルクアラウンド帝国の方から邪悪な気配がするな』
『ユウキ、勝てる?』
『ルル、そうだな。相手の能力次第だ』
『ユウキはどんと構えておればいい。わらわ達が守るのじゃ」
『カゲ、気持ちは嬉しいが俺にも活躍させてくれ』
『オラたちも頑張るだ!』
『アールの言う通りだ』
『アール、イーガ、ウーノ。これが終わったらワイバーン達の仲間を募ってくれ』
『分かっただ!』
幸い、神聖の森の木々は膨大にあるので一年以上道を作るのに時間がかかるだろう。
その間に準備をする。ちなみに神聖の森の木々は燃やしてもすぐに復活する。
そのため、一本ずつ木を切って根を抜くしか方法がないのだ。
『絶対にお前たちにいい思いはさせないぞ……』
俺は固く皆を守る決意を固めた。
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