第八十四話 シタラテレビの構想
俺はダック侯爵の屋敷で、ダック侯爵とカンカール宰相と向かい合っていた。
「まずはユウキ殿、奴隷商人の屋敷を見つけて、ラーク男爵達の蛮行から奴隷たちを救ってくれて感謝する」
「ユウキさんのお陰で大勢の命が救われました。ハーレムも増えて良かったですね?」
「勘弁してください。カンカール宰相」
「フフフ、良いではないですか」
マジでハーレム要員が一気に増えて大変だよ。
もう何人と結婚すればいいかわからなくなってきた。
「それで話したい事とは何ですか?」
「ダック侯爵、カンカール宰相。俺の配信を使った国家事業をしませんか?」
『!』
ダック侯爵とカンカール宰相は驚いた顔をする。
まあ配信でも言ってなかったからな。
「配信を使った国家事業だと?」
「情報を発信してお金にするのです」
「情報ですか」
「まず、スラムの住人や身寄りのない人たちを雇います。そしてこの国のまだ知られてない裏側や明るいニュースを発信するのです」
「それだと他国に自ら情報を流すことになりますよ?」
「他国の情報もニュースにします。いずれは他国にも情報局を広げて、密に連携する予定です」
「ふむ。それをするメリットがわからぬな」
「まずは王国の治安維持がしやすくなります。何故かと言うと見られているという意識がつき、犯罪が減るからです」
「他には?」
「例えば、この国の武力や開発した武器の一部を情報として配信に流します。それによって仮想敵国が攻めるのを躊躇するでしょう」
ダック侯爵とカンカール宰相は難しい顔をして考え込む。
「ドナルド公爵派を切り崩すことにも使えますか?」
流石カンカール宰相だ。貴族の闇や横暴を暴き、配信することで国民の国に対する人気も上がる。不正をする貴族も減るだろう。
「なるほどな。これは異世界の仕組みか?」
「そうですね。私のいた世界にこのような仕組みがありました」
悪いところも説明しなくてはいけないな。
「ですが、メリットだけではありません。国家の利になる配信ばかりすると次第に国全体がおかしくなります」
「どういうことです?」
「具体的には国が配信を仕切ると、戦争を仕掛けても大義名分があると見せかけることができます。だから配信をする情報局はあくまで中立でなければいけないのです」
ちなみにこの会議は配信していない。
今の所考えている番組は三つだ。
スラムの住人や子供たちが潜入カメラマンで俺に仕える奴隷達三十人がアナウンサーになってもらう。スラムの現状や王都の様子を毎日中継し、良いところも悪いところも配信する。王都の住人達には神聖の森の遺跡で作られるスマホを安く販売する。
他にはユウキ商会プレゼンツの通販だ。
売る商品はひとまず、シチランオーク、温泉卵や温泉まんじゅう。石鹸やシャンプーも売る予定だ。米も広めたいな。
最後に異世界ダンジョン攻略・SASUKEだ。
ダンジョン攻略を暁の火や餓狼、他にはコビーさんのパーティーにも頼んで冒険者の心得や戦闘シーンを配信してもらう。娯楽のないこの国ではすぐに火がつくだろう。
俺はこの事も説明すると、ダック侯爵とカンカール宰相は口に手を当てて唸る。
「なるほど。どれも面白そうだな」
「この構想は王様にも相談しましょう」
「だがドナルド公爵派が何というか……」
そうだよな。そこは問題だ。
ラーク男爵家から取り押さえられた証拠はドナルド公爵とは巧妙に結びつかないものばかりだった。
あっ、今回捕まえた奴隷商人はドナルド公爵の関与を断言してたな。
「奴隷商人はドナルド公爵の関与を吐きましたよ? それを使えば処罰できるのでは?」
「それでも奴は白を切るだろう」
ふむ。ならば一足早く、シタラテレビの構想を使ってドナルド公爵の奴隷売買の現場を押さえられないだろうか?
ルルやカゲ、アリア、カレイナ、エメリアも呼んで護衛をしてもらえればいいかもしれない。
「一足早く、スラムの住人と子供たちを雇いましょう。そしてドナルド公爵の奴隷売買の現場を押さえて、配信しましょう」
「なるほどな。カンカール宰相、すぐにレオンハルト陛下に相談しよう」
「分かりました。ユウキさんの爵位にケチをつけられる前に潰してしまうのです」
ダック侯爵とカンカール宰相は悪い顔をして笑っているな。
会議は終わり、俺はスラムの住人達をまず雇うために王都に余っている土地がないか聞くことにした。
「フフフ。それならばひとまず、ラーク男爵家の屋敷を使ってください」
「分かりました」
ラーク男爵家は金を蓄えていたようで、大きな風呂やダンスホールや調理場があった。
俺達が迎え入れる準備をしている中、スラムの住人達にラルクやアニヤ、見目麗しい奴隷達が仕事と食べ物を与えると宣伝してもらう。
「フフフ、ユウキ嬉しそうね」
「まあな、身寄りのない子供たちやスラムの住人を助けられるからな」
クリスは俺の料理の手伝いをしている。
「ユウキさん! 連れてきたよ!」
「こ、こんな豪華な屋敷で俺たちを雇ってくれる人がいるのか?」
「配信者のユウキさんだよ」
「あ、その話なら聞いたことあるぜ」
まずは五十人ほどのスラムの住人が屋敷に来た。
すぐにクリーンを掛けて、ひとまず食事にする。
消化に優しい卵がゆを沢山作ったのでそれを食べてもらう。
「ううう、おいじい」
「いっぱいあるから腹いっぱい食べな」
先程話していた少年はラルクの友達らしい。
ガンドという名前だった。
次はお風呂に入ってもらい、体を温める。
俺たちはひっきりなしにスラムの住人を受け入れ続けた。
「ユウキさん、恐らく五百人はいるかと……」
「うーん。ラーク男爵家でも流石に受け入れきれない。よし、希望者に神聖の森やバルクの街の異世界配信レストラン、ユウキ商会に行ってもらおう」
俺たちは、人数を振り分けて王都に残ると言った百人をシタラテレビのクルーに雇うことにした。
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