第八十二話 奴隷の四人
「この四人で奴隷の子たちは最後か?」
「は、はいいいい」
俺がレッドドラゴンの魔力を纏って話しかけると奴隷商人から悲鳴のような声が返ってくる。まあこんな外道に恐れられてもどうとも思わない。
奴隷になっていた四人が挨拶してくる。
「アニヤだよ! ラルクお兄ちゃんと一緒に来てくれてありがとう!」
「マニマニだ。狼獣人でアルクアラウンド帝国から連れられてきた。救助に感謝する」
「ルカ。同じく狼獣人」
「イルスですわ。あたしはハイエルフ。エルフの国で奴隷狩りに遭って連れられてきたのです」
四人ともほとんど裸だったのでママゾンで女性物の服を買って渡す。
着替えているときは後ろを向いていた。
それにしてもハイエルフか。ファンタジーでは大体地位が高かったりするけど同じなのかな。
「ユウキ、ハイエルフはエルフの国の長老クラス」
「ルル、やっぱりそうか」
「ルカは毛並みが銀色ですね」
「クリス、俺も気になってたんだ」
「アニヤはともかく、マニマニとルカとイルスはかなりできそうだのう」
「カゲ、マジか」
ラルクは着替えたアニヤと抱き合っている。
奴隷商人と屋敷で倒した用心棒とゴロツキ達はアイテムボックスに放り込んで外に出てきた。
「奴隷たちはどこに売るつもりだったんだ?」
「はい、ラーク男爵家に売る予定でした」
「ドナルド公爵には売らないのか?」
「……」
奴隷商人は無言になったので、縄に雷を弱めに流す。
「あばばばば!」
「もう一度言う。ドナルド公爵には売らないのか?」
「イルスはドナルド公爵に売る予定でした」
やっぱりな。ラーク男爵家にはもうダック侯爵と王都の騎士団が配信を見て、制圧に行っているらしい。
奴隷の首輪を外して、奴隷から解放しようか。
だが、ここで想定外の事が起きる。
「ラルクお兄ちゃん、外に行っても住む所がないよ……」
「そうだよな」
「あっしやルカもどこで働けばいいかわからない」
「うーん」
どうしたらいいんだ? 俺が悩んでいるとハイエルフのイルスさんがとんでもないことを言い出す。
「ユウキさんの奴隷になるしかない。ユウキさんの所に居ればあたしたちは安泰」
「ええ? エルグランド王国では奴隷は違法だろ?」
「違法奴隷を引き取るときは契約できるわ」
「それはいいですね。ユウキはいい主ですし、神聖の森に行けばいくらでも仕事はあります」
「ユウキ、王都でもユウキ商会の支部を立ち上げてはどうじゃ? それならばこの子たちを使えるしのう」
「うーん。折角戦える戦力を商会に使うのはなあ」
「それもそうじゃのう。だったら護衛にすればいい。一々冒険者を雇うより効率がいいじゃろう」
「ユウキさんお願い」
ルカのつぶらな瞳が俺を見てくる。
うーん、奴隷は使うつもりはなかったが仕方ないか。
「分かったよ。四人とも家で引き取ろう」
『やった!』
四人の嬉しそうな声がスラム街に響く。
それを遠巻きに見て羨ましそうにするボロボロの姿の住人。
「ユウキさん、あの……」
「ラルク、何だ?」
「スラム街の人たちも助けられない? 俺、アニヤと暮らしているときに助けてくれる人もいたんだ」
スラム街にいる理由は犯罪を犯して行き場がなくなったり、お金がなくて、行き場がない人たちが多いみたいだ。
俺は一つやりたかったことを思い出す。
それは異世界で配信できるスマホを使ったマスメディアを作ることだ。
すでに新聞社はこの世界にあるらしい。だがあまり一般層には広がっていないようだ。
ニュース番組はあまり流さないが、娯楽番組や冒険者の冒険に目線を当てた番組なんていいかもしれない。料理番組もいいだろう。
王都には溢れんばかりのスラムの住人がいる。
その人たちを取材用のクルーとして充てるのはいいかもしれないな。
俺はダック侯爵と王様にこの発想を話すことにした。
あともう一つ気になっていたことがある。
「ルカは何で、毛並みが銀色なんだ?」
「神狼族の血を引いているの」
「神狼族? 凄そうな名前だな」
奴隷商人に話を聞くと、神狼族は獣人族の中でもかなり地位が高い、とても身体能力が高い一族だとか。
奴隷としてもハイエルフのイルスの次に価値が高いらしい。
マニマニはルカとここで出会って守ると決めたらしい。
狼獣人にとって、神狼族はそれほどすごい存在だそうだ。
「ハイエルフに神狼族。すごい人材ばかり」
「ルルはマニマニみたいにルカに憧れないのか?」
「勿論すごいと思う。でもルルの一番はユウキ」
「ルル~!」
俺はルルに抱き着く。ふう、大きなお胸がとってもいい感じ。
カゲとクリスに剝がされる。たまには甘えてもいいじゃん。
異世界配信のコメント欄が騒がしくなる。
「ユウキ殿! ラーク男爵を捕らえたぞ!」
「ドナルド公爵に繋がるかはわかりません。ですがユウキさんの配信のお陰です」
「違法奴隷がたくさんいるんだ。かなり傷を負っている者や、回復魔法を掛けているが命がぎりぎりの者もいる!」
レオンハルト陛下とカンカール宰相と騎士団長のクラナさんがコメントをしていた。
「ユウキ、助けに行くのじゃ!」
「おう! 四人もついてきてくれるか?」
『はい!』
奴隷商人はアイテムボックスに入れて、ラーク男爵家に急ぐ。
群衆たちが集まり、騎士団の人たちもいて物々しい雰囲気に包まれている。
「どいてくれ!」
「おお、ユウキさんだ! 皆、道を開けろ!」
騎士団の人たちが群衆を退けてくれた。
屋敷にみんなと踏み込む。
舞踏会を行う部屋に向かうとけが人が寝かされていた。
「ユウキ殿!」
カンカール宰相もいた。レオンハルト陛下はさすがにいない。
「この者たちが……」
「これはひどい」
体中に鞭や火傷の跡が残っている。
ひどい者は右腕がなくなっていて意識がない。
どうにかするしかないな。
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