第六十八話 レッドドラゴン戦
「グラウルさん、エメリア、アリア、ガルドさんが前衛。ザンは遊撃役、ミレアが後衛、俺とカレイナが中衛だ」
『承知した!』
俺の指示に自然に従ってくれるのはありがたい。
俺たちはボス部屋に足を踏み入れる。
「ボス部屋はボスを倒すまで出れないぞ」
「分かった」
つまりレッドドラゴンを倒すまで出れないってことか。燃えてきたな。
俺の中の金色の魔力が蠢く。もしかしたらキングヒドラとレッドドラゴンは何か因縁があるのかもしれない。
ボス部屋の中央には何もいない。これがレアボスの出現を見分ける方法らしい。
折れた剣や血だらけの防具だけが残っている。
噛みつかれた後のボロボロのフルアーマー。
「仇は取るからな」
血の匂いが濃い空間の中、俺は一人呟く。
中央に黒い靄が立ち込め、五メートルくらいの龍の形に変わる。
『また愚かな人間がきおったか』
紅い鱗に黄色の爬虫類的な目。その存在感は圧倒的だった。
しかも言葉を解すほどの知性。
レッドドラゴンの中でも古株かもしれない。
『むっ! この魔力は……キングヒドラの奴か?』
「そうだぞ。キングヒドラを倒したのは俺たちだ」
『ほうほう、奴を倒すほどの人間か。これは楽しみだな』
黄色の目が俺を捉える。
「ユウキさんだけじゃないぞ!」
「俺様もやるぜ!」
ガルドさんとグラウルさんも頼もしいな。
『それでは一当てしようではないか!』
レッドドラゴンは息を吸い込み始める。
くう、体が中央に引き込まれる。これはブレスの前兆だ。
「カレイナ! 結界魔法! ミレアさんはグラウルさんに補助魔法を!」
「了解」
「オッケーにゃ!」
グラウルさんに水魔法の膜が張られる。大盾も水色に包まれた。
カレイナはぶつぶつと詠唱をして、結界魔法を完成させる。
「女神マリア様! 大いなる敵の攻撃から守る力を!」
カレイナはSランクだけあってか、様々な属性の魔法を高レベルで使える。
ミレアさんは補助魔法が一番得意と言っていた。
レッドドラゴンの吸い込みが終わり、紅い光が口から発射される。
俺たちはグラウルさんの後ろに隠れて、結界魔法で熱を遮る。
「うおおおおおおおお!」
グラウルさんの大盾が押される。
水を纏っているのに、じゅうじゅうと焦げる音がする。
「ここで負けたら、俺様は餓狼の名にふさわしくない!」
グラウルさんは意地でも大盾を離さまいとする。
五秒間、十秒間。
紅い光が永遠に続くかと思われたが、途中で途切れる。
アリアさんとエメリアとガルドさんが跳び出す。
ここからは俺たちのターンだぜ!
「秘剣ボルカニック! 私に力を!」
アリアが秘剣を手に走りながら、叫ぶ。
紅くて黒いオーラがアリアを包む。
ピンクブロンドのポニーテールが揺れながらレッドドラゴンに近づく。
一方エメリアも白金色の光を纏い、瞬時にレッドドラゴンに到達する。
「まずは一発! 天空、踵落とし!」
ジャンプしてクルクル回った後、最高のタイミングでレッドドラゴンの頭を捉える。
『グワア! 何だこの威力は!』
よし、レッドドラゴンは頭を地面に陥没させて、ダウンする。
ブレスの後の攻撃は効くだろうな。
アリアはレッドドラゴンの右側の翼を切り裂く!
『グワアアア!』
更に足も攻撃し、スリップさせた。
ガルドさんは二刀流の刀で闘気技の斬撃を放ち、鱗をはがそうとする。
レッドドラゴンは首の後ろに逆鱗があり、そこを守るために予備の鱗が厚く生えているのだが、そこを狙っているようだ。
グラウルさんはミレアに回復魔法を掛けられている。
シズナさんは闘気技で弓を引き絞り、次のダウンに備えているようだ。
ザンは足の腱を短剣や暗器で削り取ろうとしている。
俺も行くか。
「雷足!」
金色の魔力を足に纏い、雷のような雷光を発しながらレッドドラゴンに迫る。
丁度起き上がり、次のブレスを用意しようとしていたが……。
「痺れろ! チェインライトニング!」
俺はレッドドラゴンの口の中にチェインライトニングを撃ち込む!
『グワアアアア! やめろおおおお!』
二度目のダウンを取り、皆で攻撃する。
「意外と行けそうだな!」
ザンさん、それはフラグだ!
暫くするとレッドドラゴンが起き上がり、尻尾を振り回す。
「皆、退避!」
全員が周囲に散ったところで、レッドドラゴンが赤く光りはじめる。
「ユウキさん! クリムゾンゴーレムの時みたいな第二形態だ!」
「カレイナ! ダイダルウェーブの準備を!」
だがここでレッドドラゴンの周囲に粉塵が散り始める。
「まずい、離れろ!」
バアアアン!
粉塵爆発だ! グラウルさんは大盾で耐えたが、ガルドさんとザンさんとアリアが吹き飛ばされた!
『わっはっは! 我を侮った罰だ!』
壁に叩きつけられて意識を失っている!
エメリアが、回復魔法を掛けに行った。
これで前線にいるのはグラウルさんと俺だけ。
ミレアさんはアクアバレットを四十連射して、エメリア達にヘイトが行かないようにしてる。
「俺様が相手だ!」
『グワア、熊獣人か! 焼いて食ってくれるわ!』
レッドドラゴンは瞬時に突進。
大盾で受けるが、押されていく!
「俺も忘れるな!」
今チェインライトニングはグラウルさんに感電する。
『ユウキさん、アイテムボックスを使ってください!』
『マリア様? でも取り込んだらまた……』
『違います! 中の物を撃ちだすんです!』
『その発想があったか!』
俺は鉄鉱石を手に出し、金色の魔力で浮遊させる。
宙に浮いてバチバチとなる鉄鉱石を雷の速さで撃ちだす!
「行けえええ! レールガン!」
――それは神話の雷。
レッドドラゴンがグラウルさんに気を取られているうちに撃ちだされた希望の雷は、レッドドラゴンの胴体を撃ちぬく。
『グワアアアア!』
レッドドラゴンは吹き飛ばされて、壁に叩きつけられる。
紅い光はなくなった!
「私を忘れないで!」
シズナさんのヘッドショット!
闘気技の弓矢がレッドドラゴンの右目を深々と貫く。
そして、俺はもうひとつ、鉄鉱石を取り出して、呟く。
「これで終わりだ」
金色の魔力が俺から光だし、渦巻く。
「レールガン!」
ベストショット!
レッドドラゴンの脳天を貫き、レールガンは壁に当たり、バリバリッと光る。
一瞬沈黙が訪れる。
そして……!
『うおおおおおお!』
『勝ったぞおお!』
配信のコメント欄もとんでもないスピードで流れていく。
俺は壊れたフルアーマーを見て呟く。
「仇は取ったぞ」
小説をいつも読んで頂きありがとうございます。面白かった、また読みたいという方は高評価やブックマークをお願いします。作者の励みになります\( 'ω')/
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎を★★★★★にしてくださると作者が大変喜んで更新頻度が増えるかもしれません。よろしくお願いします。




