第百一話 続・婚約者に愛を語る
カレイナは少しもじもじしながら俺の傍に来た。
「カレイナは神聖の森で会ったよな。キングヒドラ戦や火山のダンジョンでも俺に魔力操作の大事さを伝えてくれた」
「……うん」
「天雷としても、可憐でエルフのお姫様みたいな一人の女の子としても頼りにしてるぞ」
「……ユウキ」
カレイナは目に涙をためて、俺にスタイルのいい、美乳を押し付けてくる。
俺は頭を撫でてよしよししてから、婚約指輪を渡す。
「これはエルフの森で暮らすイメージを形にしたエメラルドだよ」
「すごい。蔦や葉の細工がとても綺麗……」
「受け取ってくれるか?」
「うん」
銀髪を靡かせた可憐なカレイナに婚約指輪を渡す。
照明にエメラルドの指輪をかざして、見ているカレイナは微笑んでいた。
次はエメリアだな。
今は金髪をポニーテールにして、顔は赤らんでいる。
「わたくし、今の生活が夢みたいですわ」
「どうしてだ?」
「聖女としての生活は、民を救うための使命に縛られていた。でもここではただのエメリアとしていられますの」
ったく。泣かせることを言いやがって。
俺はエメリアを抱き寄せて、チュッとキスをした後、素早く婚約指輪を見せる。
「これは情熱的なエメリアを想像して作った指輪だよ」
「すごいですわ。これはレッドスピネル? 十字架もありますの」
「エメリアはバルクの街で出会ってから、武闘派聖女として、俺を守ってくれた。火山のダンジョンの攻略も楽しかったな」
エメリアの手を取って、俺は左手の薬指に指輪を通す。
「エメリア、これからも俺の隣にいてくれるか?」
「はい……ですわ」
涙をボロボロ流す、エメリアの顔を優しく撫でる。
最後に胸元に飛び込んでくるエメリアはとっても可愛い。
次はアリアだな。
今はピンクブロンドをツインテールにしている。
ドリルみたいにカールさせたらエメリアに似ちゃうな。
「私の番ですわ!」
「フフ、アリアはいつも元気だな。そんな君に贈る指輪はこれだよ」
「これは、イエロートパーズ? しかも星形になってる」
「小さなリボンのミスリル細工も入れてみた。気に入ってくれたかな?」
「とっても……」
嬉しそうにはにかむアリアは男爵令嬢としての気品を感じさせた。
「アリアは俺の家にリア凸してきて、そのまま仲間になったけど、キングヒドラ戦や火山のダンジョンでも一緒に戦ったよな。次の剣聖と称されるほどの剣の腕は本当にすごいし、元気いっぱいの所も大好きだ」
「私は……令嬢の癖に剣ばかり振っていると社交界では陰口をたたかれていました。それを認めたうえで、慕ってくれる殿方はユウキ以外いませんわ!」
アリアの剣の腕はそれまでの人生で積み上げた努力の結晶だ。
それを馬鹿にするやつがいるなんて許せないな。
俺は王都の舞踏会で絡んできたインテリガリ勉貴族を少し思い出したが、すぐに思考から追い出した。
アリアの手を取って、左手の薬指に指輪を通す。
この指輪を渡す様子は配信に流されているぞ。
さっきからお祝いスパチャが止まらないんだ。
グングニル男爵もこれを見て涙を流しているだろうな。
「一生そばにいてくれるか?」
「はい。生涯、ユウキを守り抜く剣となります」
アリアと見つめ合い、そっと目を閉じて、キスをする。
最後はイリスだな。
それぞれの指輪を渡すタイミングで拍手をしていたが、いつもの天邪鬼な雰囲気ではなく、少し顔を赤くしている。
「イリス。こっちに来てくれ」
「……その」
「?」
「私は皆の中で一番ユウキとつながりが少ないですわ。しかも王女としての権力を使って、婚約を押し付けて……。指輪をもらっていいのですか?」
何だそんなことか。確かにイリスはエルグランド王国の第一王女で最も関わりは少ない。でも!
俺は心の中の思いの丈をイリスに吐き出す。
「俺は! 神聖の森にレオンハルト陛下と一緒に来てくれた時から意識していたぞ。確かに関わりは一番少ない。でも、イリスとの思い出は皆に負けないくらい濃いんだ」
イリスは少しびっくりした顔で俺を見つめている。
「婚約発表をしてくれた時は面食らったけどそこまで思ってくれているんだって嬉しかった。イリス、君が好きなんだ。指輪は受け取ってくれないのか?」
俺は少し悲しそうな顔をして、指輪を下げようとする。
すると時が止まり、イリスが俺の顔の前に現れて、手を掴んでいた。
「私は配信でユウキの日常を見ていた時から、とっても憧れていましたわ。そしていつか思いは恋に変わった。皆の幸せそうなハーレムにいつか混ざりたいと思っていました」
「イリス」
「ユウキ! もう絶対離しませんわ! アルクアラウンド帝国との戦争も勝ちますわよ!」
そう言った後、イリスは俺の唇に情熱的な大人のキスをする。
イリスは皆の中でも一番キスが上手いんだ。
これ、皆には内緒だぞ?
俺たちは止まった永遠の時の中でお互いの舌をむさぼり合った。
数十分、あるいは数時間はしていたかもしれない。
それほどお互いの愛を確かめていた。
顔を離すと銀糸が垂れて、少し背徳的なムードを醸し出す。
もっとしたいとせがむ、イリスをなだめて、顔を拭き、時を動かしてもらう。
「また時が止まっていた気がするのじゃ」
「ユウキ?」
「イリス、またやったわね」
カゲとルルとカレイナがぷんすか顔になる。
ただ、もう流石に夜の大運動会は出来ない。
もうすぐ朝だからな。
「イリス、受け取ってくれ」
「はい」
イリスの細い指にロイヤルブルー・サファイアのクッションカットの指輪を通す。
ミスリル細工はアシンメトリーで片方には王冠、片方にはシルバーの細工がされている。
「イリスのドレスをイメージして作ったんだ。似合ってるな」
「……ユウキ!」
イリスはまた飛び込んできて、キスをせがむ。
今度は皆が顔を膨らませる中、フレンチ・キスをした。
その後の事は覚えてない。
何故か皆が高価なワインを持ってきて、俺に注ぐのだ。
「もう飲めない……」
「はーい、ベッドに行きましょうねえ」
「明日の仕事が……」
「あら、時間を止めれば、幾らでも楽しめますわ」
おぼろげな記憶だがこんなやり取りがされていた気がする。
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