予期せぬ知らせの数日前・続(10)
「それで、時代の違う私たちが
同じタイミングで転生したことは置いておいて。
アリスが言っていたシリーズって・・?」
ティアナの言葉に、アリスはまた顔を俯いた。
「あ、その、、
えっと…私がいた時代ではレトロゲームがはやっていて。
その中でも人気があったのが
携帯アプリの乙女ゲームなんです」
「携帯アプリの乙女ゲームが
レトロゲームって呼ばれる時代なのね…」
ティアナはジェネレーションギャップに少しショックを受けた。
「私の時代には、
携帯電話もレトロ機械で…」
「私たちが言う、ポケベルとか
スーパーファミコン的な感じかな…」
「?」
「あ、なんでもないの。続けて?」
「はい。レトロゲームのブームに合わせて、
ゲームを題材とした本がはやっていたんです」
「本はまだあるんだ…」
「紙でできたものではありませんよ。
携帯電話もなのですが、
ネックレスや時計やピアスに半導体を埋め込んで
昔でいうマイクロチップのようなものを体に入れることで
自由にVRを見ることが出来るんです。
えっと、ゲームでよくみる"ステータス"みたいな感覚です」
「へぇ…」
ティアナは感心しながらアリスの話を聞いた。
「それで、本は仮想通貨でデータを買って
マイクロチップにダウンロードするんです」
「うんうん」
前世のその先の時代の話に、ティアナは興味津々だ。
「だから、紙のように
貸し借りができないんです」
「あ、データだから?」
「はい。マイクロチップにある情報は
すべて国に管理されていて、
購入したデータは特殊な機械を使って
マイクロチップにダウンロードするので
誰かと共有することはできないんです」
「なるほど…」
「だから、趣味に偏っちゃって…。
私が持っていたのは
ティアナ様がメインのシリーズだけなんです」
「え?悪役令嬢がメイン?!」
アリスの言葉に、ティアナは困惑していた。
「私がメインのシリーズもあるの?」
「はい。ティアナ様のシリーズは
自分よりも人気なんですよ」
「ええ!?」
「ざまぁ展開が多いですし、
ティアナ様のやることは
真っすぐで潔くて…
悪役だとしても応援したくなります」
「そ、そう…」
(応援するのはよろしくないと思うのだけれど…)
「それで、話を戻しますが。
私は、発売されていた
ティアナ様のシリーズなら
全てを網羅しています」
「そ、そう・・」
アリスのギラつく瞳に、ティアナは少し戸惑った。
「だから、すぐにこの世界が
ティアナ様のシリーズでないことに気が付きました」
「・・・」
「でも、ティアナ様の話以外は
読んだことがなくて、
ずっとわからなかったんです」
「・・・」
「そんな時に、
あの人物の名前を聞いたんです」
「あの人物?」
アリスはこくりと頷いた。
「それで、すぐに
師匠が闇堕ちする物語だと気付きました」
善人だった人が悪役に捕まり洗脳されて強制的に悪へと転じてしまう「悪堕ち」と違い、「闇堕ち」は自らの意志によって悪へと転じてしまうことだ。
あの、お助けキャラで人が善すぎるほどの善人が、なぜ闇堕ちを・・?
「悪堕ちではなく、闇堕ち?」
アリスはこくりと頷いた。
「そして、
この王国にとってのハッピーエンドは
ティアナ様や自分のシリーズだからなんです。
登場人物によっては、
ハッピーエンドではなくなります」
「え?どういうこと・・?」
「アイラ・ベイリー・アポストル」
ティアナは、
アリスの言葉に嫌な予感を感じた・・
(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。
(※)改訂している話には★マークを付けています。
(※)ムーンライトノベルより更新は遅れます。
(※)ムーンライトノベル版(https://novel18.syosetu.com/n9962hu/)
(※)ムーンライトノベル版には18禁描写が含まれます。ご注意ください。




