予期せぬ知らせの数日前・続(9)
ティアナは、意を決してアリスへと向き合った。
「私も、前世の記憶があるの」
「え?」
「私も、前世は”日本人”で、
この世界について知っているの」
「えええっ!?」
アリスは、驚いて大きな瞳を見開き、唖然と口を開けていた。
「騙すつもりはなかったの。
それでも、結果アリスを
騙すことになっちゃったから。
ごめんなさい」
ティアナはアリスへ頭を下げると、ぷるぷると震える手を握りしめた。
アリスはきっと、本の世界のティアナに憧れていたのだろう。
なのに、蓋を開ければアリスと同じ転生者。
しかも、アリスから話を聞いておいて自分はずっと黙っていた。
アリスに怒られても、幻滅されても、おかしくはない。
「・・っ」
アリスからの言葉を待つ刹那、ティアナはぎゅっと瞳を閉じた。
許してくれなかったらどうしよう…。
いや、たとえ許さないと罵られたとしても誠心誠意謝ろう。
だって、アリスは私にとって…大切な友達だ。失いたくない・・っ!
・・しかし、
アリスは思いもよらない言葉を口にした。
「どのシリーズを?!」
「え?シリーズ?」
アリスは、必死の形相でティアナに詰め寄り、
同じ日本人であったという事実を気にもとめていない様子だった。
「私はティアナ様しか読んでなくてっ・・」
「ちょっ、ちょっと落ち着いて・・!」
アリスの勢いに、戸惑いながらもティアナは説明しようと言葉を返した。
「あの、私が知っているのはゲームだけなの。
本が発売された話は知らなくて・・」
「え?」
アリスはきょとんとティアナを見つめた。
「え?あのシリーズは数十年も前に・・」
ティアナはその言葉で確信した。
ゲームには登場しなかった人物。
ゲームとは明らかに違う設定。
ずっと感じていた、この違和感・・
やはり、この世界は自分が生きていた時代にプレイした世界とは違う。
なぜかアリスは、
ティアナの言葉にほっと胸をなでおろしていた。
「私は、2×××年生まれなのだけれど」
「え?私は2×××年生まれです…」
「では、アリスは私が死んだ後に産まれたのね…」
ティアナの言葉に、アリスは何かを考え込んでいる・・
「アリス?」
アリスは、はっとしたように顔を上げた。
「?」
「あ、いえ・・。
えっと、同じ転生者だと聞けて
ティアナ様に近づけた気がして嬉しいです。
秘密は守るって約束します」
アリスはカラ元気のように見えたが、小指を差し出す仕草がかわいくて、ティアナはアリスの小指に指を絡めた。
「えぇ。二人の秘密、ね」
ティアナが笑顔をみせると、
「!」
アリスは顔を真っ赤に染めてしばらく固まっていた。
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