予期せぬ知らせの数日前・続(8)
「話そうかどうか、ずっと迷っていたのですが・・」
アリスは意を決したようにティアナを見ると、
「ティアナ様に深く関わる事なので、
私の知っていることを話します」
ぽつりぽつりと話し始めた。
「妹から聞いたことがあるんです」
「妹さん・・?」
(アリスに妹がいるという話は聞いたことがなかったはずだけど・・?)
「はい。前世の妹です」
「前世の・・」
「私、前世で妹と一緒に亡くなったんです。
それで、変な夢みたいなのを見て。
神様?みたいな人に妹が望んで
一緒にこの世界へ転生したみたいなんですけど」
(え?)
「何を間違ったのか、
妹が望んだアリスに
自分が転生しちゃったみたいなんです」
(え?え?どういうこと・・?)
「自分は、ティアナ様推しだったから、
こっちの世界については
妹ほど詳しくはないんだけど・・」
アリスは、ティアナの両肩を握りしめた。
「ここは、前世に本で読んだ世界に似ているんです」
「!」
(本?いま、アリスは本って言ったよね・・?)
「そこで、師匠はティアナ様を操っていました」
「え?操る・・?」
「師匠は人を惑わせる力に長けます。
ティアナ様を手に入れるために・・
師匠はティアナ様を騙して操るんです」
「え・・?」
アリスの言葉に、ティアナは思わず言葉を漏らした。
「師匠はティアナ様を操って
シリウス殿下を暗殺しようとします」
「あ、暗殺っ!?」
「師匠の言葉を信じないでください」
「・・・」
アリスも転生者で、この世界を知っていることは分かった。
でも、アリスはこの世界を本で読んだと言っていた…。
「待って、話が読めないんだけれど。
アリスは前世で、この世界を読んだと言ったわよね?」
アリスはこくりと頷いた。
「ということは、ここは・・
アリスが前世で読んだ
本の中の世界だということ?」
「申し訳ございません」
アリスは塞ぎがちな顔で、頭を下げた。
「信じられないことは承知しています。
こんなことを話して・・
気分のいい話ではありませんし、
傷つくかもしれないことも・・」
「それでも!」
アリスはティアナへと顔を上げた。
「私はティアナ様を慕っています。
だから危険な目に合わせたくありません。
それだけは、わかってください」
「・・・」
アリスの表情に、偽りを言っている様子はなった。
「アリスのことは信じているわ」
ティアナの言葉に、アリスはホッと胸をなでおろした。
「でも・・
私の知っているサラマン様は
アリスが言っているような人に見えない。
それは、アリスの方が
よく知っているのではなくて?」
「・・・」
アリスも、そう思っていたのだろう。
黙ったままだが、ゆっくりと頷いている。
「アリスの知っている世界が
たしかにこの世界と同じだとして。
それでも、
ここに存在している人たちは
本に書かれた人物とは
違うのではないかしら?」
それは、ゲームの世界に転生したティアナ自身がずっと思っていたことだ。
「例え置かれた環境で決められていたとしても
人は人との関りで変わることができるから。
アリスも言っていたでしょう?
"前世の私とは全然違う"と」
アリスはまた、こくりと頷いた。
「だから、サラマン様のことは
自分で見て自分で判断するわ」
「・・・」
「ありがとう」
ティアナがお礼を伝えると、アリスははっと顔を上げた。
「アリスは言おうかどうか迷ってたのよね?
信じてくれないかもしれないと
不安も大きかっただろうに。
それでも、私のためを思って
言う決心をしてくれたのでしょう?
その気持ちは嬉しかったわ。ありがとう」
そう、自分はアリスに何も言わなかったのに…。
「私もね、アリスに言わなきゃいけないことがあるの」
たとえ、アリスに幻滅されたとしても。
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