予期せぬ知らせの数日前・続(7)
「あ。」
クラス棟を出て、通路を歩いていたティアナとアリスはアレンと遭遇した。
アリスの声に気付いた、アレンが顔を上げた。
「アリス?・・と、」
「サラマン様。お疲れ様です」
「テ、ティアナ様!」
ティアナがあいさつをすると、アレンは慌てたようすで背筋を伸ばした。
「お昼ですか?」
「えぇ。お弁当を持って来ているので、
アリスと庭園に行こうかと。
サラマン様は?」
「私は、売店に向かっている所です」
アレンも休憩中なのだろう。剣は腰につけたままだが、重い鎧は脱いでいた。
「あ。それなら・・」
ティアナは、紙袋から青色のリボンでラッピングしたお菓子を取り出した。
「作りすぎちゃって・・
もしよろしければ、召し上がってください」
ゲームの世界で、アリスはアレンにもクッキーを渡していた。
この世界ではまだあまり関われていないが、アリスをプレイしたことがあるティアナにとって、アレンは優しいお兄さんみたいな存在だ。
優しいアレンなら受け取ってくれるだろうと、ティアナはクッキーを差し出した。
「え!私に、ですか!?」
アレンはクッキーを両手で受け取り大事そうに抱えると、
「ありがとうございます。頂きます。」
自然と笑みを溢した。
(やっぱり、アレンは良い人だなぁ)
ティアナがアレンに
にこりと微笑むと、
「!」
アレンは、顔を真っ赤に染めてその場に固まっていた。
「ティアナ様!」
アリスに袖をひっぱられ、ティアナは視線をアリスへと移した。
「そろそろ行きましょう!」
「あ、そうね。サラマン様、それではまた」
「師匠、また!」
アリスにぐいぐいと袖をひっぱられて、ティアナはその場を後にした。
「・・アリス?」
「・・・」
しばらく無言だったアリスに、ティアナはおそるおそる話しかけた。
「・・ティアナ様は、」
アリスは、意を決したように振り返ると、
ティアナへと向き合った。
「師匠の事、今はどう思われていますか?」
「え?サラマン様の事を?」
前世のティアナにとって、アレンは善人のお助けキャラ。頼れるお兄さんのような存在だった。
しかし、現在のティアナにアレンとの関りはあまりない。
“どう思うか”と聞かれても、前世の記憶にあるイメージにひっぱられて、何と答えていいのか分からなかった。
「え、ええっと…
その…あまりお会いしたこともないし…よく分からなくて……」
(あれ?前にも、こんなことなかったっけ・・)
「以前、師匠には
お気を付けくださいと
お伝えしたと思うのですが・・」
「!」
(わ、忘れてた・・!)
「師匠を誘惑しないで下さい」
(アリスは妄想癖がある子だった・・!!!)
アリスはまったくアレンの気持ちに気づいてないんだったわ。
だから、もっとハッキリ言葉にしないとダメだと言ったのに(あ、言っては無いけど)。
「サラマン様には、
他にお慕いしている方が
いらっしゃるのではないかしら?」
(アリス、気付いてあげて!)
しかし、アリスはティアナを見つめた後、長い溜息を吐きだした。
「・・前に、私の前世について
お話させていただいたことがありましたよね?」
「え、えぇ」
(はい。よおーーーく覚えています!)
「実は私、この世界ではヒロインと呼ばれる存在なんです」
「そ、そうなの?」
(はい。よおーーーく知っています!)
「そして、この世界の未来について知っているんです」
「え?未来を?」
(アリスもここがゲームの世界であることを知っているのね?!)
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