予期せぬ知らせの数日前・続(6)
「こんな所で何をされているのです?」
声を掛けられ振り向くと、
そこには不機嫌な様子のギルがいた。
「おはよう、ギル」
「おはよう」
挨拶を交わしたギルは、
ティアナの手を取りキースから引き離した。
「このような人気のない所で。
お二人とも、何をされていたのです?」
お二人とも、と言いながら
ギルはティアナの手を引いたまま
自分の背中に隠し、
キースへと視線を向けた。
「どうしたの?
そんな怖い顔をして。
ティアが怖がっているよ?」
キースの言う通り、
ギルはいつもと様子が違い、
言葉にトゲがある。
「こんな人気のない所で。
変な噂でも立ったら
いかがされるのです?」
「変なって何〜?
ギルは何考えてたの?
いやらし・・」
「立場をわきまえて下さいと
申し上げているのです!」
揶揄うキースに、ギルはピシャリと言葉を返した。
「ギル?」
ティアナは二人の間に入ろうとギルに声をかけたが、
「姉さまも姉さまです!」
ギルの矛先はティアナに向いてしまった。
「え?あの・・」
「もう少し、
自身のことを自覚して下さい」
「うっ・・」
いつもとは違う、ギルの強い口調にティアナは言葉をつまらせた。シリウスの婚約者としての自覚を持てと怒っているのだろう。
「で、でも・・
まだ婚約者候補、
なんだけど・・」、
「はい?」
「それに、
キースだし・・」
「なにを・・」
ギルはティアナの言葉を訂正しようとしたが、
ティアナは、紙袋からお菓子を取り出し、
「えいっ!」
ギルの口にクッキーを放り込んだ。
「それ、昨日焼いたの」
「!」
もぐもぐもぐ
ギルは驚きながらも、口に入れたクッキーを飲み込んだ。
「美味しい?」
ティアナが首を傾げると、
「はあああああ」
ギルは長いため息を吐いた。
「え?!美味しくない?!」
ギルの様子にティアナは不安になったが、
「・・美味しいです」
そう言われて、ホッと胸を撫で下ろした。
「これ、ギルの分」
ティアナは、紺色のリボンでラッピングしたクッキーをギルに渡した。
「さっき、キースにも渡してたの」
そう言ってにっこり笑うティアナに、
ギルはまたため息を吐いた。
「姉さんは昔から無自覚過ぎる」
「それは同感」
その様子を見ていたギルと、
なぜか、キースまでもが残念なものを見るような目をむけてきて
「え?え?」
ティアナはしばらく戸惑っていた。
(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。
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