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予期せぬ知らせの数日前・続(5)

「あれ?おはよう。

 1学年のクラスにどうしたの?」


レオン達と別れたあと、ティアナは1学年のクラスに向かった。先にクラス室にいたキースは、ティアナの姿を見つけると、真っ先に掛け寄って来てくれた。


「おはようございます。

 あの、昨日のお礼がしたくて・・」


「気にしなくて良いのに。

 あ。こっち、こっち」

キースは、人通りの少ない廊下へとティアナを案内した。


「最初に僕が言い出したことだからさ。

 ティアが気になるのは当然だよ。

 情報も、まだ十分じゃないしさ」


「でも、いろいろ調べてくれたから」


「自分自身のためなんだけどね・・」

キースのつぶやきと、

「これ」

お菓子を差し出すティアナの声がかぶった。


「え?今なにか?」

黄色のリボンでラッピングしたお菓子を差し出しながら、ティアナが首を傾げると、


「ううん。なんでも。てか、それ?」

キースは、ティアナが差し出すお菓子を指差した。


「クッキーを焼いたの」


「!」

ティアナの言葉に、キースは驚いた表情でクッキーを見つめている。


「・・ティアが焼いたの?」

「うん。マリアがほとんど

 手伝ってくれたんだけどね」

ティアナは頬をかきながら答えた。


「・・・」

キースはそっとお菓子に触れ、

「・・僕の、ために?」

上目遣いでティアナの瞳を覗きこむ。


(うっ!)

ティアナはキースの可愛さに言葉をつまらせながらも、こくこくと頷いた。


「そっか・・」

キースはお菓子を受け取ると、

ティアナが持っている紙袋に視線を向けた。


「・・それは?」


「あ、焼きすぎちゃったから

 ギル達にもあげようと思って」


「そう」

ティアナの言葉に、キースは頬を膨らませた。


「キース?」


「・・僕だけに作ってくれたんじゃないの?」

キースは言おうかどうか迷っている様子をみせたが、

しばらくして不満そうな声を漏らした。


その様子に、

ティアナはくすりと笑みが溢れた。


「でも、キースのだけ

 オリジナルクッキーを入れてるよ」


「・・僕のだけ特別?」

キースは上目遣いでティアナを見上げた。


「うん。キースだけ特別」

ティアナは笑顔でキースに頷いた。


「そっか・・」

キースは、またクッキーをじっと見つめると、

両手で抱きしめ、


「ありがとう」


そう言って破顔した。


(かっ、かわいい!!)


キースの純真な笑顔は、物語のヒロインみたいだった。


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