予期せぬ知らせの数日前(2)
「そんな繋がりが…」
王女の血縁者ということは、レリック商会の現代表もアビス・ド・アポストルの王族であるということだ。
「ここからは憶測なんだけど」
そう言うと、キースはポケットから1枚の古く黄ばんだ地図を取り出した。
ライトロード国は世界の中心にある一番大きな大国で、4つの国と”コンジュア・エンパイア”と呼ばれる人間が住むことを許されない大森林が隣接している。この大森林は妖精や精霊の住処となっていた。大自然の国土はライトロード国の支配下とされているが、それは他国からの侵略を避けるために名前を貸し保護するための牽制であった。言わば、ライトロード国は大森林を守るための防波堤。
そんなライトロード国に精霊は有効的で、特に王族や上位貴族は加護や恩恵を受けやすかった。魔法大国と呼ばれるまでに発展した由縁でもある。
「見て。ここ。」
キースが指さした先にあるのは、今は無き亡国の一つ。
「ここは、前国王が滅ぼした
水の精霊王が加護する国。
まだ存在しているということは、
この地図は父上が
即位する前のものだと思う」
次に指を指したのは、
「それと、ここ。」
ライトロード国に隣接する小国だった。
その国は今は辺境の地としてライトロード国に属している。
「ここは前国王が
十代の頃に制圧した。
だから少なくても
この地図は70年以上は
前のものだと言うことになる」
ふと、ティアナはおかしな点に気付いた。
5年間眠ってはいたが、幼い頃から家庭教師をつけていたため勉強についてはひととおり学んでいた。中でも、他国については次期王妃として重要視されている知識の一つだ。だから文化や言語の他に、歴史についても学んでいた。
(なぜ、古い世界地図を見たことがなかったんだろう?)
世界地図は何度も目を通したし、他国の建国についても学んできた。しかし、この国では”現国王が即位する以前の世界地図”を見たことがなかった。
「そして、ここが…」
キースが指差す先にあるのは、
「アビス・ド・アポストルだと思うんだ」
ドラゴンのカタチをした小国だった。
アビス・ド・アポストルは謎に包まれおり所在が不明とされていた。・・そう、ティアナが見てきた世界地図にはどこにもアビス・ド・アポストルが載っていなかったのだ。
「父上の部屋にあった本を
盗み見たことがあるんだけど」
「盗み?!」
ティアナの言葉に、
キースはぺろっと舌を出した。
「その本によると、
アビス・ド・アポストルは
ドラゴンのカタチをしているんだって」
キースの言葉を聞いて、
ティアナは改めて地図に目を通し始めた。
ライトロード国から大森林を隔てた先に、その国は存在している。そして、アビス・ド・アポストルと記されたドラゴンは、大森林を背にして、獅子の横顔と向かいあっていた。
「魔界の森?」
獅子の横顔にはそうはっきりと記されていた。
ゲームの中盤で、アリスたちが魔物を討伐に行くイベントがある。そこはたしかに”魔界の森”と呼ばれていた。そのイベントでは、アリスたちはワープする秘密兵器のような魔道具を持っていたため正式な場所については記されていなかった。
そのイベントの場所が、この獅子の形をした場所なのだろうか?
「ドラゴンの素材は魔界の森で手に入れたもの?」
ティアナの言葉に、
「レリック商会はベイリー様と繋がっていて
今回”ドラゴンの素材”の独占取引を提案した」
キースがかぶせる。
「もし、この地図が本物であるなら…
ライトロード国とアビス・ド・アポストルの
間にあるのはコンジュア・エンパイア」
そう言葉にしながら、
ティアナは世界地図をなぞった。
ドラゴンのカタチをした国は、コンジュア・エンパイアと魔界の森の間に位置し、周りは海に囲まれていた。
「アビス・ド・アポストルが
ライトロード国に来るためには
コンジュア・エンパイアを
通ることになる」
ティアナの言葉にキースもこくりと頷いた。
「そしてアビス・ド・アポストルの
隣に広がるのが魔界の森」
ティアナは言葉にしながら確信した。
「アビス・ド・アポストルの狙いは
コンジュア・エンパイアへの通行証?」
(※)ムーンライトノベルズに載せている作品のR15指定バージョンです。
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