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予期せぬ知らせの数日前

※話がとんでいたので、12/4訂正しました。

「ティア、お待たせ」


二人で話がしたいことを伝えると、キースは快く受け入れ音楽室の前で待ち合わせをすることになった。

この日は生徒会があり、ギルはサリバン先生に呼ばれていた。シリルもここ最近姿を見せることがなく、キースと二人で話せる絶好の機会だった。


「こっちこっち」

キースの案内でティアナは初めて音楽室に足を踏み入れた。


「今日はクラブが休みなんだけど、まぁ念のため」

そう言うと、キースは音楽室に飾られた一枚の大きな肖像画の前に立つ。額縁に飾られたエメラルドの大きな宝石に学生証をかざすと、額縁の中にある絵画が揺れながら姿を消した。


「この絵はプロジェクションマッピングと映像を組み合わせていて、隠し扉になっているんだ」

キースが言ったとおり、映像が消えると額縁の中に扉があることに気付いた。


「この学院には僕と兄さんだけが知る同じような仕掛けがいくつかあるんだよ」

音楽室はゲームにも何度か登場した。しかし、隠し扉があることはゲームで明かされたことがなかった。おそるおそる扉の中に入ると、そこは応接室のような創りで防音機能も備わっているとのことだった。


「こっちに座って?」

ティアナがきょろきょろを部屋を見渡していると、二人掛けのソファに腰掛けたキースが隣をポンポンと叩いた。


「あ、私はこっちに…」

ティアナが向かいにあるソファへと向かうと、

「ダメ。最近なかなか二人になれなかったから…ティア不足!」

キースは両手を広げてティアナを待った。


「僕に聞きたいことがあるんだよね?」

上目づかいで首を傾げて甘えるキースに、

(か、かわいい…)

ティアナは昔から弱かった。


「ティア補充〜〜」

言われるとおりにぎゅっと抱きしめると、

キースは頭を左右に振りながらキースの胸に抱きついて甘えた。


「キースはまだまだ子供だなぁ」

体は成長したけれど、まだ幼さを残すキースは幼馴染の中で唯一、倒れる前から態度を変えずに接している相手だった。


「えぇー。大人っぽくなったでしょ?

 ほら、身長だって伸びたし」

キースは立ち上がり自分の頭に手を置いた。


「身長は少し伸びたね」

「身長だけ?」

頬を膨らますキースに、ティアナはくすりと笑みをこぼした。


「もう13歳なんだけどなぁ…」

頬っぺたを膨らませるキースを抱き寄せると、

トイプードルのような頭を優しくゆっくりと撫でつけた。




◇◇◇


「その…今日、話がしたいって

 伝えていた件なんだけど…」


しばらくして、ティアナが本題に入るとキースは顔を見上げて返事を返した。


「うん。兄さんの婚約者の件だよね?」


キースの言葉に、ティアナはこくりと頷く。


「"レリック商会"って知ってる?」

「うん。ここ数年で勢力を伸ばし、

 "クルセイド商会"に並ぶほどに急成長を遂げた

 二大商会のひとつだよね?」


クルセイド商会は数百年以上前から存在する大商会で、数年前まで国内の8割以上の商事を牛耳っていた。しかし、突如として現れたレリック商会により商店は次々と買収され、ギルドを中心にその勢力は拡大してきた。今や、クルセイド商会と並ぶ二大商会と呼ばれている。


「そのレリック商会を

 アビス・ド・アポステルとの

 貿易の窓口にするつもりらしいんだ」


伝統ある貴族が引き継ぐクルセイド商会に対して、レリック商会は武力でギルドを制圧し牛耳ったことで私腹を肥やす荒くれ者の集団として知られている。強さこそが正義であると、勝つためなら手段を選ばない野蛮な商会としても有名だった。


「そんな重要な役をなんでレリック商会が?」


平民に対する差別意識はない。しかし、国の顔となる他国との貿易の場に関しては例外だ。

商談は、一歩間違えれば他国との間に亀裂を生み、最悪の場合は戦争に発展する恐れだってある。

そんな重要な場にレリック商会を送り込めば、相手国に侮辱していると捉えられてもおかしくはない。


「そのレリック商会の現代表が

 ベイリー様の血縁者なんだって」

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