第22話
メイドさんはいわゆるコスプレメイド服を着ていて、黒のゴシック風なロングワンピースに白いエプロンを付けている、頭には白いモブキャップをして髪はほとんど隠れているが黒い髪が見える。襟は高く首は見えない。タイも黒で真ん中に赤い宝石のピンをしている。足元はスカートが床についていて完全に見えない。スカート自体がベル状になって動かないから、もしかしたらワイヤーでも入っているかも?
いやそんなにメイドさんを観察してもしょうがない、これは一体何なのか?説明があるかと思いコアちゃんを見るが、コアちゃんもこっちを見ているだけで、なにか説明をしてくれる雰囲気ではなかった。
「始めましてというのもおかしなものですが、この姿では初めてですのでこのままで行きますね。
始めましてマスター、いつでもどこでもどこにでも暮らしを見守る、汎用戦闘メイド型ゴーレム、中身は弁天さんの私です。以後よろしくお願いいたします」
「え?このメイドさんは弁天さんなの?」
メイドさんは深々とカーテシーをしつつ名乗ったのだが、汎用?戦闘?中身は弁天さん?どこから聞いて良いかわからないほど、一気にわからないことがやってきて唖然としている間に、更に扉の向こうからメイドさんが4人進み出てきた。
「今後は私がマスターやコア様たちの生活面のサポートをしつつ、ダンジョンの防衛から戦闘に偵察にと、全てのサポートをいたします。以後よろしくお願いいたします」
進み出てきたメイドさん達も同じく挨拶をするのだが、全くズレがなく挨拶をしてきた。
私達ではなく私なのが気になるが、ここは挨拶を返さないといけない。
「改めて、始めまして弁天さん。よくわからないけどよろしくね」
「では挨拶も済みましたし、汎用戦闘メイド型ゴーレム弁天さんのスペックについて説明をいたします」
コアちゃんがどこからかバインダーを取り出し、そこに挟まった資料を読みながら説明をしだす。
「まず汎用戦闘メイド型ゴーレム弁天さんは、基本的にマイコニドの弁天さんが内部に搭乗して操作をしています。」
「えとその前に何でメイドさんなの?」
「それはマスターの記憶では、男性はメイドさんが好きだと有りましたから、メイド型にいたしました」
「あーうんそうだね」
確かにメイドさんが嫌いという人は少数だろうけど。
「マスターの記憶を見たのですが、二足歩行はかなり難しかったため、脚部は多足型にしております。弁天さんちょっとスカートめくって。このように八本の足で歩行していますので、バランスについてはかなり安定しています」
なんのためらいもなくめくられたスカートの中には、ツルンとしていて先の尖った足がたくさん並んでいた。
「多足型にしたおかげで、歩行時の衝撃を最小限に抑えることが出来たため、人形で特に難しい衝撃吸収と接地角の調整を、考えなくて済むようになっています」
なるほど先の尖った足なら、接地角の調整は必要ないから足首はいらないね。
「次に手についてですが、こちらは5本指の骨格構造が割と簡単に出来ましたので、そのまま採用しておりますが、戦闘時この骨格ですと耐久力に問題が有るため、近接戦闘用の隠し腕を胴体に4本追加しています。こちらは近接戦闘用ですので、先の尖った形状にしてあり、かなりの貫通力を実現いたしました」
おお、いきなりお腹と背中から腕というか、先の尖った棒のようなものが飛び出てきた。フリル部分に穴が隠されていたのかな?
「また遠距離攻撃用といたしまして、胸部内にバレルを一本ずつ設置しており、マスターの世界で用いられておりました、APFSDSの様な攻撃が可能です。具体的には装弾筒も安定翼も有りませんが、バレル長と同じか倍の長さまでの魔力弾を秒速1800〜2000m程で発射し、魔法でシールドを発生させていても、シールドの厚さが魔力弾より薄ければ貫通し、対象を加害いたします。この時対象が鎧等を付けていても、魔力弾の長さ分貫通いたしますので、大抵の生物に有効なダメージを与えることが出来ます。面白いことにこの貫通作用は、マスターの元の世界の実体弾と同じように働きますので、シールドや鎧の防御力は、単純に厚さのみの防御効果になります」
APFSDSって私の居た世界の、戦車とかに使われる徹甲弾の種類じゃないか。装弾筒付き翼安定徹甲弾だったかな?矢みたいな形状の徹甲弾で、当たると高圧で流体の用に作用して、対象を貫通するとか言うやつだ。
胸部は大きいと思ったけどそんなことのために・・・あそこには男の夢とか希望が詰まっていたはずが・・・いやもしかしたらミサイルが搭載されているよりかはましか?ましなのか?
「外部パーツとしては、槍や剣それに盾を作っていますが、弁天さんにはそれらを使った戦闘の記憶があまり有りませんので、これからの学習次第となります。
それと防御に関してですが、弁天さんは全体のエネルギーを個体に集めることが出来るため、単純にエネルギーのゴリ押しが可能です。なのでシールドの魔法を覚えていただき、強固な防御性能も実現いたしました」
なんだろう?前に弁天さんは最大・最強の存在にってなるって考えたけど、コウジャナイコレジャナイ感が凄い。
「今は試作段階ですので5人だけですが、将来は汎用戦闘メイド型ゴーレム弁天さんの部隊運用も視野に進めていきたいと思います」
「あーうん。なんにせよ戦力はいつか必要になるかもだし、良いんじゃないかな?うん。ダンジョン防衛用ならいっそサーメートの様な焼夷手榴弾も良いかもね」
「あそれならもう作りましたよ。爆薬は難しかったのですが、あれならすぐ作れましたから」
元の世界で私は一体何をしていたのか、知りたいような知りたくないような。
なんかもうコレジャナイ感が酷いけど、このダンジョンは一体どこに向かっているのだろう。




