第16話
「でこれが宣戦布告してき奴らか」
「ですね。これはゴブリンですが、この辺りに生息できるレベルのゴブリンには見えませんから、やはり元ダンジョンモンスターだったのでしょう」
比較対象が無いから大きさまでははっきりしないけど、緑色の肌をした毛のない猿の様な感じで、額に短い角が一本生えている。毛のないとは言ったものの、全身に太い毛が生えているようにも見える。生え方がまばらすぎて裸と変わらないけど。
宣戦布告して来た方向を調べたところ、数匹のゴブリンを発見した。
魔獣の森の外縁部山脈の裾野あたりで、茂みに隠れたり地面に這いつくばりながら、何かを探している。
コアちゃんたちが言うには、そのゴブリン程度では何十匹居た所で、魔獣の森の獣を狩る事は出来ず、隠れ方も適当なためすぐに見つかってしまうだろうとの事。
「よくわからないね宣戦布告した所で、彼らだけでここまで来れないのでは、何も出来ないだろうに」
「そうですね。おそらくなのですが、弁天さんが目当てなのでは?」
コアちゃんが言うには、ゴブリン達はかなり痩せているそうだ。ゴブリンはなんでも食べるので、本来そんなに痩せたりはしないのだそうだ。それが痩せているのは魔獣の森ではあまり餌が取れてないのだろとの事。
それがゴブリン達でも捕らえられる相手を見つけた。
しかも相手はダンジョンのモンスターだから、うまくダンジョンを奪うことが出来れば、安定して餌が食べられるようになるからだろう。
今も歩いている弁天さんをかごの中に入れていっている。
「なるほどね。でもそれなら宣戦布告なんかしなくても、仮にでも友好的なふりをしたりすれば良いのに」
「残念ながらゴブリンにそんな知能はありません」
「そう言えば最初にそんな事も言っていたね」
「おそらくはダンジョン機能も全く使えていないだろうしな」
サブコアが腕組み?(一番上の手?を組んでる)うんうん言っている。
「あれ?そう言えば野良ダンジョンもダンジョン機能が使えるの?」
「野良ダンジョンは基本マスターとコアの機能を、エネルギーを過剰に摂取したモンスターのうち、ダンジョンの存在を理解しているモンスターが、仮に使うことを言います。
とは言え、勉強しているわけではありませんから、大抵の場合ちょっとした物を作る程度かと。後は支配地の認識とエネルギーを得る方法くらいですね」
「なるほど。痩せてたから自分達のご飯は作れていない、そして支配地が接触した段階で宣戦布告してきたから、支配地の認識は出来ているってことか」
どうやら向こうからこちらに何も出来ないようだし、わざわざ弁天さんを自分達のダンジョンに持って帰ってくれたから、そのうち向こうの状況も分かるようになるか。
とは言え、実はこちらも向こうに対して何も出来なかったりする。
いくら弁天さんが数が多くても、ゴブリンは餌が来ただけの事。毒も持っていない弁天さんでは、一切攻撃もできないだろうしね。
住処がわかればそこに弁天さんの菌糸を伸ばして、嫌がらせくらいは出来るだろうけど、さてとどうしたもんかな?
「さてと、そのうち相手のダンジョンも見つかるだろうから、今のうちに相手をどうするか考えようか」
「どうするかと言われましても、野良ダンジョンは潰すだけですよ?」
「いやまぁそうなんだろうけど、その方法をどうしようかとかね」
「その事なら問題ありません。弁天さんが作戦を立ててくれました。本人はすごいやる気ですよ」
「もう弁天さんとそんなに意思疎通が出来るようになってたんだ。まぁ弁天さんがやる気ならそれで良いかな?でもどうやるんだろう?」
「マスターはそこで弁天さんの活躍を見ていてあげてください。それに今回の件をうまく処理できれば、弁天さんのレベルアップに繋がりますから」
どうするのかはわからないけど、本人がやる気なら黙ってみているのが良いかな?
コアちゃんもサブコアも作戦には納得しているみたいだし、私はここでゆっくり見ているとしよう。
でも、本当に私のやることがなくなってくるな。
暇だし終わったあとの事でも考えてみるか。今回の事で色々と修正しないといけない事も出たしね。




