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【彼女の余白】――世界の隙間から生まれた世界観断章  作者: Taku


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第22話『見えなくなったもの』著:カレシ







『見えなくなったもの』


           著:カレシ



僕は、記録することで、

物事が、確かになると思っていた。


写真に、残す。文字に、残す。

それで、そこにあったことは、証明されると。



でも、あの日、

僕が持っていた写真から、

看板が一つ、消えていた。



風景は、同じだった。

建物も、道も、変わらなかった。

ただ、写真という、

いちばん動かないはずのものの方が、

変わっていた。



僕は、少し、混乱した。

記録が、現実を写し取るのではなく、

現実の方が、記録に、合わせて動くことがあるのだとしたら。


僕が、これまで残してきたものは、

いったい、何を、証明していたのだろう。



それでも、僕は、今日も、記録する。

正しさのためではない。

ただ、この違和感を、感じたという事実だけは、残しておきたかったから。



いつか、この記録を、僕自身が見返す時。

そこに、また、何かが、消えているかもしれない。それでも、構わないと、今は、思う。



記録とは、変わらないものを残すことではなく、変わっていくことに、気づくための、道具なのかもしれない。









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