見えてないもの
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
まだバルガス船のみなさんが寝静まっている早朝から、ワイワイと騒いでいたおれたち。
今日からいよいよ、旧王都島の現場確認へ取り掛かる。
おれたちはバルガス船へ移り、バルガスさんから説明された。
「まずは正面に見える火山。あれが今回、『邪悪な魔素』が流れ出た火山です」
「その手前には溶岩原が広がっており、さらにこちら側には森があります。そこが我々の調査した森となります」
リュミエルはバルガスさんの説明を聞きながら地図と照らし合わせ、森と溶岩原の境界を書き込んでいる。
「ここからは少し見えにくいですが……火山と、今我々がいる場所を結んだあたり。あの森と溶岩原の境目で、我々は左右に分かれて調査しておりました」
「我々は今、東を向いておりますので、右手……南側を担当したのが第二部隊です」
「その第二部隊で、撤退が遅れた隊員が『邪悪な魔素』に接触したようです」
「もっとも……その『邪悪な魔素』自体は、我々には視認できませんでしたが」
「順は前後いたしますが、少し左手……北側ですな。我々第一部隊が担当していた区域。あの森との境目に『巨大魔獣』が出現いたしました。」
「そして今我々がいる方向へ、ゆっくりと進み始めたのです」
「もっとも……森に差し掛かった辺りで、エイルが倒してしまいましたが」
目を見開いたリュミエルが、物凄い勢いでおれを見てきた。
「い……いや、風の精霊様のおかげやで?」汗タラリ
「森から頭が抜け出るほどでした。かなりの大きさです」
「森から頭が抜け出ていた……」サラサラ
「『巨大魔獣』はこちらへ向かってきまして、洋上にいても命の危機を感じるぐらいでした……」
「エイルが倒したのち『黒い霧』となって霧散し、風向きが悪かったのか……こちらの方へやってきました」
リュミエルは地図の『巨大魔獣』出現場所と、『黒い霧』が向かった方角を確認していた。
「そして小型船の方々の一部が『黒い霧』を浴びてしまった……と」サラサラ
「小型船の方々はどのあたりでしたか?」
「あそこらへんですね」
バルガスさんが指さした場所は、この船より少し旧王都島に近い場所だった。
「森の境目からあんなに離れているのに!?」
「かなり風で流されてきたのですね……」
「ノル様の指示で、すぐに室内へ入るよう警笛を鳴らし、甲板からも呼びかけたのですが……」
「いえ……だからこそ、あれだけで済んだのですね……」
バルガスさんの説明を聞き終えたおれたちは、エイル号へと戻りバルガス船とは別行動となった。
バルガスさんたちは、これから数日かけて旧王都島をまわり、異変がないかを確認するという。
おれたちは小型船の方々が『黒い霧』を浴びたという場所の海水サンプルを採取し、王泊へと戻る予定だ。
リュミエルは、小型船の患者たちがいた辺りで海水を汲み、小さな容器へ移していた。
「これでよし……っと」
採取した場所を地図に書き込み、容器にも何やら記している。
「あそこだよ、リュミエル♪」
レイナは、おれらが大型魔獣に追いかけられた時に、木々がなぎ倒されて出来た道を指した。
ここで取れた巨大な魔核であぶく銭が手に入り、レイナと出会うキッカケになった、思い出深いっちゃあ深い場所やな……あの時は死ぬかと思ったけど。
「さすがにもう何ヶ月も前の話やし、雑草やら蔓が生い茂ってパッと見は分かりにくくなっとるな」
「でも、折れた枝とかはまだそのままだね」
レイナが指で輪をつくって、遠見の加護で確認している。
「ちょっといいかしら?」
リュミエルがレイナの前に入り、その手をとって指の輪をのぞき込んだ。
「わあ! すごく大きく、よく見えるわ!」
なるほど。エイル号住民しかおらんし、ヴェルディアさんが許可してるのね。
しかし遠目で見たら、レイナがリュミエルを後ろから抱きしめてるみたいに見えるな……
指摘したら、二人ともどんな反応するんやろ♪
「なんか二人――」ポンポン
おれは後ろから、ポンポンと肩をたたかれ声を遮られた。
振り返るとノルが、無言で顔を横に振っていた……
「こういうのはの……『自分たちで気づいて気まずそうにする』のが見てて面白いんじゃ。無粋なことはやめておけ」ヤレヤレ……
「それに見てみい。レイナのやつは既に気づいておるわい♪ あの気まずそうな仕草♪」ウヒヒ……
レイナは余った右手で、頭をポリポリしたり顔をパタパタ扇いでいる♪
「『遠見の加護』でなければ気づかなかったけど、ほんと……大きい魔獣だったのね」
「やはり実際に自分の目で見ると違うわ……」
「ほれほれ、見とくんじゃぞ♪ もうすぐじゃ……」ウヒヒ……
ノルが悪そうな笑みを浮かべている。ほんま碌でもない事ばっか思いつきよるな。
「ありがとうレイナ」クルッ
リュミエルが後ろを振り返ると、目の前にはレイナの顔が……
「!?!?!?」ドキィィッ!
驚くリュミエルに、慌ててレイナが飛び退いた。
「ごっ、ごめんなさいレイナ! 気づかなくて……」アセアセ
「だだだ、大丈夫……」アセアセ
二人とも顔を赤くして気まずそうにしとるわ……ほんまこういう悪巧みは、さすが年の功ってやつやな。
真っ赤な顔をパタパタと扇ぐ二人。そしてそれを和み顔で眺めるおれとノル。
ハッ! と振り返ると和み顔のクララベル様とヴェルディアがしっかりと見物していた。
こういうことにはホンマ目ざといな。神の力の無駄遣いしとるんとちゃうやろな……?
その後もリュミエルは何ヶ所かで海水を採取し、地図と実際の地形を照らし合わせていった。
こうして現場確認が終わる頃には、日もだいぶ傾いていた。
今から王泊へ帰るには夜の航海となるため、旧王都島から離れた沖合で一泊してから帰ることにした。
今回は何事もなく無事終わったが、ノルにはくれぐれも上陸はするなと忠告を受けた。
まだ陸上には、『邪悪な魔素』の残滓が所々に滞留しているらしい。
おれたちには見えない何かが、陸上からじっとこちらを凝視している……
そんな、『ホラー映画を見たあとに、暗い所が意味もなく怖くなる』ような気持ちになったおれは……
不安をかき消すように今宵も洋上へ、狼の遠吠えを響かせていた……




