素朴な疑問
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
グォオオオオオ……
「エイル、そろそろヴァルネシア領に入るんじゃない?」
地図とコンパスを見ていたリュミエルが話しかけてきた。
「ほなレイナ! そろそろナビ代わってあげて」
「わかった。リュミエル、代わるね」
ヴァルネシア領内には火山が多数あり、磁鉄鉱を多く含む地質の影響でコンパスが安定しないため、ここからはレイナの出番となった。
「じゃあエイル。十一時の方向に噴煙が見えてきたから、まずはあれを目指して」
レイナが指差す方向へとエイル号の舵を切る。
目指すは、ヴァルネシア最西端の火山島。
ラウリエル王都を出てひと月。
ヴァルネシアへの帰りは海流に乗れるし、本来なら行きより早く着くはずなんやけど……
リュミエル用の小型研究船を、エイル号の船首で抱えるように押航してるから、行きみたいに速度は出さんよう言われてる。
てか、一回出してリュミエルに叱られた……
『エイル! もう少し速度を落としてちょうだい! 器具が壊れちゃう!』
小型研究船の調薬室には繊細な器具が載ってるし、薬材庫には星露草などの特殊な薬材も保管されてるかららしい。
それでも海流には乗れてるから、行きよりは数日遅れるぐらいやけど。
リュミエルが定期通信でヴァルネシア領へ入ったことを伝えると、新型魔素病の研究班から依頼が入った。
『王泊へ到着するまで、可能であれば海水や大気中の魔素を定期採取してほしい』
ヴァルネシア領内でも、場所によって魔素濃度に違いがあるのか。もしかすると、それが再発と関係しているのでは? という仮説が立てられたらしい。
リュミエルの小型研究船では器材に限りがあるだろうから、数箇所でも良いから採取してほしいとのこと。
あとから来る調査団本船の採取データと併せて比較するらしい。
ちなみにラウリエルでは、本格的な現地調査を行うための調査団が編成され、すでにヴァルネシアへ向けて出発したらしい。
おれたちより三週間ほど遅れて出発したらしいが、こっちは研究船を繋げている上、何度か寄り道をしてしまっている。
この調子なら、王泊に着く頃にはかなり追いつかれているかもしれんな……
違う、遊びで寄り道したわけやない!
必要があって寄り道したんや。
……せやせや!
――後ろめたい理由がある人って〜、自分に言い聞かせるように言い訳されますよね〜♪
ぐっ……
「レイナ、どういうルートで王泊へ向かうのかしら?」
「火山島や特徴的な岩山がある島を目印にするから……このルートよ」
レイナが地図の上に指を滑らせ、王泊までのルートを示した。
「じゃあエイル、レイナ。ここと……ここで一旦停船してほしいの」
火山の近く、そこから離れた海域、そして王泊の三箇所。
それぞれで海水と大気を採取して、魔素濃度を比較することに決めたようだ。
最初の火山島に到着すると、リュミエルが砂浜の方を見て申し訳なさそうに言った。
「ごめんなさい。急いでいるところ申し訳ないんだけど……砂浜に寄ってもらえないかしら……」
大気、海水に加えて、砂のサンプルも採取したいらしい。レイナは遠見の加護で砂浜の安全を確認した。
「うん。エイル、大丈夫そうだよ」
いつの間にか日は傾き、砂浜を赤く染め始めていた。
リュミエルは大気、海水、そして砂のサンプルを採取している。
その間、レイナは浜で警戒。おれはいつでも離岸できるようエイル号で待機していた。
「ありがとう。無事採取できたわ」
おれたちは浜を離れ、沖合で停泊した。
今回はサンプルを採取しなくてはならないため、少しややこしいルートを取る必要がある。
夜の間エイル号を運んでくれている精霊様に、あっちこっちと細かくお願いするのはさすがに申し訳ないので、今夜は沖合で停泊することにした。
「レイナさんが狩った大きい猪、すごく美味しい♪」モグモグ
「いや、それだけじゃない。マリナの味付けのお陰だよ♪」モグモグ
今夜の夕食は、このあいだレイナがヴェルディア・ガントレットで捕らえた大物猪の香草焼きだった。
「ほんにマリナの料理はうまいのう♪ のう、ララよ?」あーんモグモグ♪
「はい、ララ様あーん♪」ニコニコ♪
「マリナの料理はおいしいねぇ〜♪」あーんモグモグ♪
マリナはノル、リュミエルはララをお人形のように食べさせてる。
きみらつまみ食いする時は自分で食べてるくせに、リュミエルとマリナに甘えすぎやろ。
レイナはレイナで、『あーん』させるタイミングを見計らっとるし……
夕食とお風呂を終え、おれとノルが晩酌をしていたらリュミエルたちも髪を拭きながらお風呂から上がってきた。
リュミエルは薄手のキャミソールにショートパンツ。
レイナは黒い半袖のパジャマシャツにショートパンツ。
二人とも色っぺえ♪
その後ろから、ララもふわふわとリビングへ入ってきた。
「こんやはリュミエルが『たんれん』する日でしょぉ〜♪」
「ラッ、ララ様! そう……ですけど……」ゴニョゴニョ
顔を真っ赤にしてゴニョゴニョと口ごもるリュミエル。
以前ララは、おれがリュミエルを苦しめていると勘違いし、泣きながら『鍛錬』の真っ最中に乱入してきたことがある。
いちおう誤解は解けたが……じゃあ何をしていたのかという話になり言い淀むリュミエル。
そこにノルが助け舟を出し、
『それはのう、ララよ。子を成す奴らが、元気な赤子を作るための鍛錬なのじゃよ♪』
などと適当に誤魔化してくれたおかげでその場は収まったが……
それから毎日毎日、毎日毎日。
「今夜はリュミエルなのぉ~?」
「レイナぁ〜♪ 今夜は頑張ってねぇ〜♪」
などと声を掛けてくるようになった。
ま、リュミエルとレイナが恥ずかしがる可愛い姿を毎日見れるから、おれとしては構わんのやけどな。
そして今――
マリナの部屋へ行こうとしたララは、ふとふり返ってリュミエルとレイナに尋ねた。
「どぉしてリュミエルとレイナはぁ〜♪ 二人いっしょにエイルと『たんれん』しないのぉ~?」
おい、ララさんよ。それ、意味分かって言っとらんよな?
「「…………」」プルプル……
二人ともビックリして固まっとるやんけ!
「レレレ、レイナは猟師だし……その……お腹が引き締まってるから……」指で髪をくねくね
「リュリュ、リュミエルは……その……声が可愛いし……」指をくりくり
二人とも真っ赤な顔をしてモジモジしながら答えとる。可愛いなぁ〜♪(フニャッ♪)
「は!? ちょっと待ってレイナ! もしかして聞こえてるの!?」アセアセ!
『は!?』と目を見開いたリュミエルが、物凄い勢いでレイナを見た。
「ぜぜぜ、全然聞こえてないよ?」汗タラリ
レイナがめっちゃ目を泳がせながら、リュミエルからスッと視線を外しとる。まじで聞こえてるんか!?
リュミエルはリュミエルで、雷に打たれたように固まっとるし……
そうか……レイナには聞こえてるんか。
レイナの部屋は、おれの部屋に一番近いもんな……
……なるほど。
――おやおや〜♪ これはエイルさんに『体力の加護』と『持久力の加護』が必要そうですね〜♪
なんのための加護なんですかね!?
――さぁ〜? なんのためでしょうね〜♪(ピュー♪)
なに白々しい口笛の吹き方しとるんやこの女神……
まぁええわ。聞かんかったことにしよ……
噴煙を上げる火山島。その沖合に、エイル号は静かに停泊している。
火口から漏れる赤い光が、月夜をぼんやりと染めていた。
こうしておれたちは、ヴァルネシア領で最初の夜を迎えた。
王泊までは、もう少し。




