地獄の扉
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
『じゃあ明日には王都に着く感じね』
「せやな……明日には着いてまうな」
おれとリュミエルはヴェルディアの世界樹通信で連絡を取っていた。
『……嬉しい。久しぶりにエイルと会えるなんて』
ラウリエルへ星露錠を受け取りに行く。
こんなことでもなければ、リュミエルとおれは再会することなんて当分はなかっただろう。
言い方は悪いが、リュミエルにとっては予期せぬ幸運やったんやろう。声からも嬉しそうなのが伝わってくる。
おれも嬉しい……嬉しいはずなのだが……
おれは、妙案も奇策も思いつかないままだった。
『エイル、どうしたの? 元気ないみたいだけど……?』
やばーい! 声のトーンから、隠し事がバレそうになっとる!
なんか誤魔化さんと!!
「いや、今回の魔素病……なんか妙な胸騒ぎがしてな……」
『そうね……普通の魔素病とは違う気がするわね……』
あっぶねー、上手いこと誤魔化せたわ!
こうしておれは、なんの打開策も見いだせないまま地獄への道を進んでいった。
ラウリエル港から王宮へ続く大きな河を昇っていくエイル号。
「へぇー、これがラウリエルなんだ♪ すごいね、エイル!」
初めて見る異国の風景に、レイナは目を輝かせている。
そして――
「わぁぁ……」
王都の奥にそびえる巨大な世界樹を見上げ、レイナは呆然と口を開けた。
「すごいじゃろう。あれが世界樹じゃ」
ノルも世界樹を見上げる。
「儂らが生まれ、そして還ってゆくところじゃ」
「どぉかしらぁ?」フフン♪
なぜかヴェルディアが自慢げに胸を張る。
「すごい……」
レイナは世界樹を見上げたまま、もう一度そう呟いた。
それとはうらはらに、おれの気持ちは段々と沈んでいく……
エイル号が河を昇るにつれ、おれは一歩、また一歩と断頭台へ連行されているような気分になっていった。
「ではこちらへご案内いたします!」
近衛兵のルミエさんが、笑顔で王宮玄関へと案内してくれる。
……処刑場へ連行する執行人に見えてきたわ。
王宮玄関の重厚な扉が、『ギギギ……』とゆっくり開いていく。
多分、地獄の扉もこんな絶望的な音を立てて開くんやろな……
「エイル!」
アルヴェイン国王らと玄関で待ち構えていたリュミエルが、待ちきれず入り口のおれたちの元へと走ってきた。
「こんなこと不謹慎かもしれないけど、また会えるなんて……嬉しい♪」
予期していなかった再会。リュミエルの目には、うっすらと涙まで浮かんでいる。
「久しぶり……リュミエル」
「エイル、その人だれ?」
後ろにいたレイナが酷く事務的な声で話しかけてきた。
「レレレ、レイナ。それは、その……」
「エイル? 後ろの人は誰? 綺麗な銀髪の人」
今度はリュミエルが聞いてきた!
おれを挟んで、二人の間にバチバチと火花が散っているように思えた。
やばーい! 何か何か何か何か!
あ、せや!
「リュミエル、レイナ。その話はあと! まずはアルヴェイン国王陛下に挨拶せんと……」
無言で圧を掛け合う二人を残し、おれはアルヴェイン国王のもとへ向かった。
「お久しぶりです。アルヴェイン国王陛下」
「エイル殿、お久しぶりです。フッ……」
アルヴェイン国王が、なにかフッと笑ったような気がした。
「エイル殿。親書の方、お預かりいたしましょう」
ん? こんなとこで手渡しするのか?
おれは言われるがまま、親書をアルヴェイン国王へ渡した。
「なにかお取り込み中のようで……そちらを先にお済ませください」ニヤニヤ
「え?」
「まあまあ♪」うふふ♪
「ほうほう♪」ニヤニヤ
アルヴェイン国王、リシェリア王妃。それにエルドラン爺さんよ!
きみら、なにニヤニヤしながらおれを地獄へと押し返しとんねん!
まずは部屋に通してくれや!
あああああ!
『ぐにゃあっ』と歪む視界……
……あっ。そうか!
あの某極限ギャンブル漫画の『ぐにゃあっ』って、絶望で涙ぐんだ目から見た世界やったんや!
五十数年生きてきて、今初めて理解したわ!
へえ! へえ! へえ! じゃねえンだわ! ……どうする! ……どうする!
「こここ、こちらの方はリュミエルさん! いいい、以前、星露錠でお世話になったんよ!」
「ここ、こっちはレイナさん! ヴァルネシア王泊で猟のやり方とか、お、お、教えてくれた人なんや!」
ノルをはじめとしたエイル号の大人組と、ラウリエル王宮の面々が、ニヤニヤと悪魔のような笑顔を浮かべて眺めている。
「どうも。はじめまして、レイナさん」キッ!
キッ!とレイナを睨みつけるリュミエル。
「エイルと『お付き合い』させてもらってます、リュミエルです」グイッ!
胸に片手を添え、グイッ! と胸を張るリュミエル。
『お付き合い』ってなんやねん! 本カノ宣言しよったで!? いや、合ってるけどな!
「はじめまして、リュミエルさん」グッ!
リュミエルをグッ! と睨み返すレイナ。
「エイルとは『ただならぬお付き合い』をさせてもらっているレイナです」グイッ!
腕を組み、負けじとグイッ! と胸を張るレイナ。
『ただならぬお付き合い』ってなんやねーん!
……いや、間違いではないけどおおお!
はっとマリナを見ると、目を丸くして呆然としていた。
「マッマッマッ、マリナが呆然としとるやんけ! こんな場面、子供に見せるもんとちゃうやろ!」
ハッ! とする大人たち。
「アルヴェイン国王陛下、少しお時間をいただいて席を外してもいいでしょうか?」
おれはできる限り真面目な顔をしていたと思う。
「レイナ、リュミエル。悪いけどエイル号のリビングまで来てくれるか?」
よっしゃあ! とりあえずはこれで、公開処刑だけは回避できる!
おれは心の中でガッツポーズを取った。
おれはリュミエルとレイナを連れ、エイル号のリビングへと向かおうとした、その時。
「マリナさん、あちらに美味しいお菓子を用意してありますので、私たちはそちらへ向かいましょう♪」
美人エルフメイドのメルシアさんが、マリナを連れ出していった……
再び悪魔のような笑顔を浮かべる大人たち。
あかん……万策尽きた……
呆然とするマリナを見て、
『人の不幸を見て楽しむような、汚い大人たちの醜い欲望に巻き込ませたらあかん!』
そう思って、どうにかこの場から離れようとひねり出した策やったのに……
その奇策すら、汚い大人たちに潰されてしまった。
もう『被害を出さない方法』なんて考えている段階ではない。今は『どれだけ被害を抑えるか』を考える段階や。
『身から出た錆』
こんな言葉が頭をよぎる。
今はそんな、どうでもいいこと考えとる場合とちゃうねん! 被害をどれだけ最小限にするかを考え抜かなあかんねん!
ポーションも回復魔法も使い果たし、ようやく倒したと思った魔王。
回復手段はもうない。なのに第二形態へと進化した瞬間の――
あの絶望を、おれは今感じていた……




