善意で舗装された道
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
星露錠を譲ってもらうため、王泊からラウリエル王都へ向けて出発したおれたち。
こちらの都合でレイナを引っ張り回すわけにはいかないと考えたおれは、レイナを王泊に残していくという苦渋の決断をした。
なのにである。
おれ以外のエイル号住民は共謀し、レイナを密航させるという暴挙に出た。
これから何ヶ月も会えないと思っていたレイナが、エイル号に乗っていた。それ自体はとても嬉しいサプライズだ。
しかァーし!!
レイナがいると、『世界樹の秘密』に関わる『ヴェルディア通信』が自由に出来ない。
おれはレイナに操縦を任せ、クララベル様、ノル、ヴェルディアとおれの四人で緊急会議を開くこととなった。
「おいノル! てめえ、どういうつもりや!?」ボソボソ
「これからラウリエルに到着するまで、リュミエルとは密に連絡を取らにゃならんのに、自由に通信できんやろが!?」ボソボソ
「なんでじゃ? 取ればよかろう?」ピュ〜♪
なに白々しい口笛の吹き方しとんねん、この糞トンボ。
「世界樹の秘密がバレかねない暴挙やぞ! クララベル様の意思に反するつもりか!?」ボソボソ
――ヴェルディアは〜、『木の上位精霊』って言い訳で行きますので〜♪
――ご心配無用ですぅ〜♪ 安心してください〜、エイルさん〜♪(ピュ〜♪)
なんでこの女神まで白々しく口笛吹いとんねん。
「ヴェ、ヴェルディアも、誇り高き世界樹の精霊を『タダの木の精霊』扱いは嫌やんな!? ほれ、言うたって! 言うたって!」
「ワタシはぁ、ベル様のぉ御心のままにぃ〜♪」ピュ〜♪
ダメだこいつら! 話にならん!
「せや! マリナ! マリナの学校や!」
「マリナは学校を長期で休まなあかんから! 勉強が遅れたらあかんやん!!」
「今からでも戻って……リリリ、リエラさんに預かってもら――」
「マリナはまた観劇に行けるかもと、楽しみにしておったぞ?」
「ガッデム!」
おれは膝から崩れ落ち、床を拳でバンバン叩いた。
「みなさ〜ん♪ お昼にしませんか〜♪」ニコニコ♪
マリナがおれたちを呼びに来た。なんで君までニコニコなんや?
おれはガックリと項垂れながら、インベントリ内の帆を設置しリビングへと向かった……
おれは放心したように、力なく椅子にもたれ掛かっていた。
「エイル、ほら。あーん♪」
「…………」あーん
差し出された料理を、言われるがまま口にするおれ。
「……」モグモグ……ポロポロ……
「ほら、エイル。お口からごはん、こぼれてるよ?」ニコニコ
レイナが甲斐甲斐しくおれの口を拭ってくれている。
そんな様子をマリナたちは微笑ましそうに眺めていた。
「ほら、エイル。そんな状態じゃ操縦なんて出来ないから、あたしがするね♪」
「おーおー♪ まるで世話女房のようで微笑ましいのう♪」
「もぅ……ノル様ったら……♪」ポッ
その日は一日、おれは魂が抜けたような状態だった。
神様……どうかこの糞トンボに天罰をお与え下さいますよう……
あ、女神様もグルやったわ……
そして翌日――
過去ばかり見とったらアカン。
前を向き、何度でも立ち上がる。それが人間なんや!
オーケー。まだ終わってない。始まってすらいない。
おれはノルを探し出し、居住区二階裏手のバルコニーへ連れ去った。
「ノル」ボソリ
「なんじゃ? 忙しないのう」
「今回は『親書による正式な国家間の依頼』やん?」ボソボソ
「そうじゃな」
「そんな正式な訪問に、予定になかった人物が混ざってるのはおかしいやん?」ボソボソ
「まあそうじゃな。長耳どもも準備というものがあるからのう」
「せやからさ……『予定になかった』『レイナ』を『急に連れて行く』のは不味いやん?」ボソボソ
「そうじゃな」
よし! きたこれ!
「せやからな、レイナには悪いけどさ……エイル号で待機し――」ボソボソ
「レイナのことじゃったら、親書に書いてあるぞ?」ニヤリ
おれの言葉を遮ったノルが、悪い笑みを浮かべたように見えた……
「羅針盤が使い物にならんからのう〜、儂から〜、夜耳の王に頼んで〜、親書に加えてもらったぞ〜♪」
なんやその目ぇ見開いたひょっとこ顔。腹立つわぁ……
「『レイナも道案内で連れてゆくぞ?』とな♪」ニヤリ
おれは今までこんな邪悪な笑顔を見たことがあるだろうか? いや、ない!
「ノル、謀ったなノル!」プルプル
おれは『親友に裏切られた悲劇の御曹司』のような叫び声を上げていた……
そして夜――
「どうしたの……エイル?」
肩を落とすおれを見て、レイナは心配そうに声をかけてきた。
「…………」
(やっべ、やっべ、やっべ、どうすんべ?)
(考えろ! 考えろ! 考えろ!)
(まだ何かあるはず! 何か見落としているはず!)
(あっ! なんか見えてきた気がする!)
「エイル……」ギュッ
落ち込んでいると思ったのか、レイナがおれの顔を胸に埋めるように抱きしめてきた。
「……ちょっとはましになった……?」ギュッッ
(……なんか癒されるわあ……)
(……頭の中真っ白になってきたわ……)ホワホワ
物陰から覗く影が四つ。
「どうやら、まーた今夜も風の奴には頑張ってもらわねばならんようじゃのう♪」ニヤニヤ
――さぞ燃え上がるんでしょうねぇ~♪
「楽しみだわぁ♪」
「なにが楽しみなんですか?」
「こりゃ、お主はまだ童じゃろうが! はよう寝るぞ!」ボソボソ
「え〜〜〜……」
「早う来い!」ボソボソ
なにかを閃いた気がするが、レイナの抱擁でかき消されてしまったおれ。
まだ先は長いとはいえ、このまま何もしなければ、待っているのは地獄。
がんばれおれ! くじけるなおれ!
追い詰められたおれは、その夜、獣と化した。
洋上の月夜に、狼の遠吠えが響いていた……




