再発する魔素病
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エイル君の中身はこちらのオッサンのコピーで、
女神クララベル様はこのチャンネルのマスコットキャラクターの見た目を使った。という設定にしています。
AIは日本語としておかしくないか、誤字脱字がないかの校正作業で使用しております。
エイル号に、新たな住人としてレイナが加わった。
皆は既に了承していたようで、おれはまるで『蚊帳の外のお父さん』そのものであった。
レイナは美人やし、性格も可愛らしいからまあ嬉しいけどな……
それから何日か経ち、旧王都島調査団の報酬がようやく支給されることとなった。
グロロロロ……
「おれだけ王宮で受け取りって、一体どういうことやろな?」
「エイルは巨大魔獣を倒したから、色々聞きたいことがあるんじゃない?」
エイル号を王宮の桟橋へ係留し、おれとレイナは王宮にいるバルガスさんのもとへ向かった。
「わざわざすまなかったな、エイル。巨大魔獣のことで確認したいことがあってな」
あの巨大魔獣を一撃で倒したヴェルディアボウが、実際どれほどの威力なのか確認しておきたいらしい。
今後、同じような巨大魔獣と戦わざるを得なくなった場合の指標にするということだ。
おれとレイナはバルガス船に乗り込み、巨大魔獣を撃ったときに近い条件で、標的を狙う実験を行った。
陸上の射撃場に用意された標的を、バルガス船の距離を変えながら沖合から射つ。
今回の実験では、
『三百メートル先の大型魔獣を、頭部への一撃で倒した』
『音速に近い速度まで加速すると、矢が耐えきれず破壊される』
『巨大魔獣を、かなりの長距離から一撃で倒した』
『もしかすると、近距離より遠距離のほうが威力が高いのではないか』
この四点を念頭に、検証が行われた。
まずは、丸太を射線上にいくつか並べた標的を射ち抜く検証から始まった。
同時に、矢の着弾点周囲にどれほどの影響があるかを調べるため、丸太の周囲には木の樽が等間隔に並べられた。
百メートル――矢が一本目の丸太に深々と突き刺さった。樽には影響なし。
三百メートル――矢が一本目の丸太を貫通し、後ろの丸太に突き刺さった。樽には影響なし。
五百メートル――三本の丸太を貫通。丸太に近い樽がわずかに動いた。
八百メートル――一本目と二本目の丸太を粉々に砕き、三本目に到達する前に矢も粉砕。丸太そばの樽が破損した。
そして、千メートル――
パァン!
標的へ到達する前に、矢が粉々に砕け散った。
矢が砕け散った地点を中心に、周囲の砂埃が円形に吹き飛んでいた。
また、距離によって飛翔中の矢がどのような状態になるのかも調べられた。
五百メートルでは、標的に当たる寸前、矢の周囲に衝撃波のような白い輪が生まれた。
八百メートルでは、標的に当たる寸前に四つ目の白い輪が生まれた。
そして千メートルでは、矢が粉砕する直前、矢を先端に白い霧のような円錐が生まれたらしい。
『らしい』というのは、射ったおれからは、矢を中心とした白い円盤にしか見えなかったからだ。
「ほならさ。もしも、もっと頑丈な矢があったら、射程も伸びるんですかね?」
「どうだろうな。実際、そんな頑丈な矢なんて必要ないからな……何とも言えん」
バルガスさんは片腕を組み、もう一方の手であご髭をさわりながら答えた。
『確か……巨大魔獣を倒したときは、四つ目の輪が生まれていました』
おれのこの発言と、今回の実験結果から、一つの目安ができた。
『巨大魔獣と戦わざるを得なくなった場合、丸太二本を破壊できるほどの威力があれば、対抗できる可能性がある』
全く分からなかった状態から、おおよそでも対抗するための目安ができたことは大きい。
この点も踏まえ、おれの報酬額はかなりのものとなった。
調査団としての報酬に加え、巨大魔獣を討伐した特別報奨と、今回の検証協力への謝礼も上乗せされ、だいたいレイナの倍ぐらいになった。
これでマリナに新しい服を買うぐらい余裕やな。……ついでに酒代も♪
などと妄想していたら、バルガスさんのもとへ職員が走ってきた。
「バルガス部隊長! 報告が!」
「どうした。また魔素病か?」
「……はい。さらに二名、確認されました」
「魔素病……たしか命脈錠で治るんすよね?」
「そのはずなんだが……少し妙でな」
通常、魔素病は初期症状であれば『命脈錠』で治癒させることができる。
レイゼル王国のリュウガ国王は、体内に残っていた魔核の破片の影響で重篤な状態となり、『星露錠』が必要となった。
今から思ったら、かなり無茶な旅やったで……GPSもなんもない状態で、レイゼルからラウリエルまで飛び出したなんて……
「症状はマシになったように見えるんだが……」
「早い者は一時間もしないうちに、また微熱が出始める」
「それが、一人だけじゃない。今のところ全員だ」
バルガスさんの話によると、最初に魔素病を発症したのは、旧王都島調査団の第二部隊にいた隊員の一部。
そして新たに発症したのは、自前の小型船で調査に参加していた者たち。
どちらも、あの黒い霧から逃げるのが遅れた人たちだった。
「ノルが震え上がるほどの邪悪な魔素……今回の魔素病は、なにかがおかしいんでしょうかね……」
「かもしれん……幸い、今のところ症状が悪化している者はいないが……」
おれの頭に『星露錠なら……』という考えがよぎる。
しかしおれが持つ星露錠は、リュミエルが『おれたちのため』に持たせてくれたものだ。勝手に使うわけにはいかない。
「バルガスさん、少し確認したいことができたので失礼します。」
おれはリュミエルに連絡を取ろうと決めた。
「あと、またバルガスさんに用があるときは、王宮に来たらいいですか?」
「あ……ああ。ここのところバタバタしているから、常に王宮に詰めている。」
「わかりました、失礼します」
おれはレイナと共にエイル号へと戻った。
『ヴェルディア通信』
世界樹の力を使った、リュミエルとの連絡手段。
これが『世界樹の力』だということは、レイナに知られるわけにはいかない。
おれは一旦レイナを自宅へ送り、リュミエルとの通信を試みることにした。
あくまで、世界樹の力を隠すためやし、しゃあない。
リュミエルとレイナに、お互いのことを知られたくないからでは決してない。
……決して。




